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2019年1月[Sanada発 現場から]


日本に向けられた目


 謹賀新年
本年もどうぞ、よろしくお願い申しあげます。

 本年最初のコラムのテーマは、
「日本に向けられた目」
として、日本の国家債務に関して、私見を簡単に述べてみたいと思います。

[日本に対する見方について]
 日本の国家債務に対する国際金融筋の目は厳しいと言うのが、私の実感です。
 本年9月の様々な国際会議に於いても、水面下では、外国人から、日本に対して、
「日本はそもそも国家債務を返済する意思があるのか?」
と厳しい質問を受けたとも聞いています。
 そして、その直後に、日本政府は、来年予定されている、消費税引き上げを、
「今回こそは、予定通りに実施する。
即ち、国家債務を少しずつでも返済していく意志を持っている。」
と海外に向けてメッセージを発信したように見えますが、そうであるとすれば、
「消費税引き上げ実施後に、日本の国家債務が減少トレンドに本当に入るのか否か?」
が次の焦点ともなりましょう。
 さて、その日本の国家債務ですが、
「高齢化に伴い医療や年金など社会保障費の拡大に歯止めがかからず、日本の政府債務は国内総生産(GDP)の2倍を超してしまった。
太平洋戦争末期とその後、日本は巨額の累積債務を、結果的には、敗戦による過酷なインフレによって払拭、結局は、その国家債務の代償を支払わされたのは国民となった。」
と言ってしまうと、やや行き過ぎですか?
日本の政府債務残高は既に1,000兆円に達しており、日本の名目GDPの約2倍となっており、これは、
「事実上の国家破綻をしたギリシャよりも悪い数字である。」
とも言えます。
 こうしたことから、国際金融筋が、日本の国家債務の現状に目を向け、日本はリスクが高い国であるとの認識を本格的に強めれば、日本に輸出をしても金額を支払う可能性は低くなる、これにより、日本に対しては輸出をしてこなくなる、こうした結果、
「円安と物価高」
が誘引され、最終的には、日本国債の外国人保有者が、一気の、
「日本国債売り」
を仕掛け、日本国債の利回りは、2012年頃のイタリア国債金利高騰のような状況が起こる、つまり欧州財政危機のような現象が日本で起こっても、実は不思議はないのです。
 そうした意味で、私たち、日本国民は、
「日本の国家債務問題」
には大いに意識を払う必要があると思います。

尚、こうした中、私が名古屋でテレビを見ていますと、名古屋の国税局が、大学で学生たちの前にして、
「今の日本の国家債務状況を考えると、納税の義務を果たしていくことは大切である。」
との趣旨のセミナーを行ったと聞きました。
 これは、大変に大切な動きであると思います。
 しかし、私は、これでは、若い人たちに対する指導は不十分であると考えます。
 即ち、若い人たちには、
「納税の義務」
ばかりを教えるだけでなく、
「納税者として、税金の使い道についてもしっかりと考えるよう指導する。」
ことをして初めて、指導は完成するものと考えます。
 日本国民は名実ともに、大人の立派な納税者=Tax Payerとならなくてはいけないのではないでしょうか?

[日本の国家債務について]
 上述したように、
「外国人の目」
という視点から、
「日本の国家債務」
に関するコメントを述べさせて戴きましたが、こうした視点とは異なるコメントを戴いていますので、それを次にご紹介させて戴きます。

その1
「日本の国家破綻は、99%位は起きないだろうと最近はIMFまで言い出しているようです。
 理由は簡単で、日本は純資産が多くまだ借金ができるし、なおかつ国債の保有者は外国人が殆どいないからです。
またそれとは別途、日銀が国債を買っているから(結果として通貨供給量が増えていますが、国際基準でまだ大丈夫)、問題が起きないと言っている人もいます。」

その2
「国の借金について。
 負債と資産双方増えているのであり、自国通貨建国債しかない日本が財政破綻するはずはないと思います。
 それにも拘らず、日本の財務省が国民の不安を煽り、緊縮財政を進め、デフレが継続、自由貿易と規制緩和というグローバリズムのトリニティが進められ、国家が壊されていっています。」
というご視点です。

 先ず、はっきりと申し上げます。
 私は、いずれのご意見にも、基本的には、
「同意」
します。
 いずれも、その通りであると思います。
 特に、後者のポイントのように、国民は、必要以上に煽られてはいけないと感じます。その上で、私がポイントアウトしておきたい点は、
1.それでも、資金繰りを間違えると一時的な債務不履行は起こり得る。
 それは、国家版の黒字倒産である。
 そうした時に瞬間的に起こりうることは、日本国債の急激な金利上昇と共に急激な円安も起こる。
2.          財政赤字の拡大傾向は留まらず、日本政府に国家負債を減少させる意思が弱いと見られていることは、日本そのものの、国際社会からの信頼を損なう危険性があること。
従って、国際社会に対して、特に国会議員などの要職の人が、日本の国家負債は問題
にならないと強調し過ぎるとそれは逆効果となり、何かの日本売りのきっかけによって、国際金融社会から、突然一気に資金を引き揚げられる危険性が起こる。
という点であります。
 そうした点を踏まえ、私たち、日本国民は冷静、客観的に私たち自身の国家負債の問題を考えていくべきであると思います。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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