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2021年8月[Sanada発 現場から]


中国本土、ロシアとNATO


今年6月には、英国で先進7カ国首脳会議が開催されました。
今回は、
「覇権主義的言動を強める中国本土」
を強く意識した会議となったものと思いますし、英国のエリザベス女王も、
「中国本土の影響力拡大を危惧している。」
との見方も出たほど、中国本土は名指しで様々な指摘を受けました。
こうしたことを受けて、中国本土の在英大使館報道官は、このG7サミットに関連して談話を発表し、
「ルールとは少数の国が定めるものではない。」
と主張し、G7に対して反発、批判を示していました。
即ち、G7サミットが中国本土を念頭に、「ルールに基づく秩序」を守ることの重要性を確認する見通しであることに反発したものであります。
そして、今後、中国本土の開発途上国を巻き込む動きは拡大するものと見ておかなくてはならないかと思います。

さて、こうしたG7を受けて、米国のバイデン大統領は、米国個人情報保護に向けた大統領令に署名し、一部の中国本土系アプリに対して、米国事業の継続を認める条件として個人情報保護を強化するように要求するものと見られています。
一方でまた、米国のオースティン国防長官は、
「米国は中国本土が台湾の統一を目指していると信じている。」
との主旨のコメントもしました。
即ち、オースティン国防長官は、米国と台湾の関係を深めていくことについての議題について米国上院の公聴会でこのようにコメントした上で、
「まだ、その期限がはっきりとしている訳ではないが、台湾統一は中国本土の最終目標である。」
との認識を示したのであります。
そして、
「中国本土の台湾統一に向けた動きに関する我々の対応姿勢はまだまだいくつも考えられる。」
ともコメントしています。
但しまた、米軍制服組トップであるミリー統合参謀本部議長は、米国上院の歳出委員会の公聴会にて、中国本土が台湾に対して軍事的圧力を強めている問題に関して、
「中国本土が台湾全体を掌握する軍事作戦を遂行するだけの本当の能力を持つまでには、まだ道のりは長い。
中国本土による台湾の武力統一が近い将来に起きる可能性は低い。」
ともコメントしており、従って、オースティン国防長官が言うように、我々(米国)にはまだいくつも対応策が考えられると言うコメントになったものと思われます。

 さてさて、中国本土を巡っては、このように、厳しい見方が出ていますが、ここで、NATOとロシアの関係を考えてみたいと思います。

[NATO首脳会議について]
上述したように、
「先進7か国首脳会議(G7サミット)」
は大いに注目されたかと思いますが、それと同様に重要な会議が、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議ではなかったかと思います。
今回のNATO首脳会議は、ブリュッセルで開催され、2030年に向けたNATOの改革方針を採択しています。
そして、とりわけ、軍事的にも存在感を増す中国本土への対応を強化する方針を、NATOとして初めて明記した点が特筆されます。
NATOに関しては、ご高承の通り、米国のトランプ前大統領が
「自国第一主義」
を宣言して、欧米関係に亀裂が生じていましたが、そのトランプ大統領後退陣後の最初となった今回のNATO首脳会議の最重要のシグナルは、
「NATO30か国が再び結束したこと。」
にあると評価されています。
そして、
「会議の雰囲気は明るいものであり、米国は、再び国際協調、大西洋同盟に戻って来た。」
と欧州メディアから礼賛されもしました。
但し、NATO全体の意見が必ずしも完全に一致した訳ではないようです。
即ち、もとよりバイデンは、NATO規約第5条に言う国際協調義務立脚する姿勢であり、基本的には、欧州諸国にも応分の負担を求める姿勢は崩していないからであります。
しかし、バイデン大統領が、現在、最も関心ある事項,焦点を置いていることは、中国本土との紛争であり、中国本土への対応であることから、この点は、今回は前面には出てきませんでした。
よって、今回のNATO会議では、
*加盟国の国防予断がGDPの2%以上であるべきこと
*アフガニスタンの問題
などは主たるテーマではなく、
「中国本土に対するNATOとしての対応のあり方に終始したのである。」
と見られています。
そして、NATOのストルテンベルグ事務総長は、実際に、
「中国本土と言う国は、我々の価値観を共有しない。
NATOは、中国本土からの組織的挑戦に対応して行く必要がある。」
と明言したのであります。
尚、今回のNATO首脳会談では、
「中国本土と同様にロシアに対する警戒感は示している。」
「中露を意識しつつ、制宙権争いを意識しつつ、宇宙空間への攻撃に対抗する方策も議論された。」
などと言った点は付記しておきたいと思います。
 日本としても、こうしたNATOの動きを意識しつつ、国際連携の道を検討していく必要があると思います。

尚、念の為、上記を総括しておくと、
「米国のバイデン大統領の提案を受けて、NATOは、中国本土に対抗することを骨子とする“新戦略概念”の準備に取り掛かった。」
ということは世界の新たな動きとして考えておく必要があります。
 冷戦時代に旧ソ連の脅威に対抗するため発足した、
「常備軍も持つ多国間軍事組織・NATO」
が、ロシアと共に、否、現状ではロシア以上に中国本土を仮想敵として認知し始めたとも言えるかと思います。
そしてこれは、米国のバイデン大統領が大統領就任以来、発言してきた、中国本土を意識した、
「民主主義対独裁」
という覇権争いの構図を世界に改めて示しているとも言えます。
 さて、日本としては、如何に対応していくべきか、ここはじっくりと作戦を立てる必要がありますが、今回は問題提議だけに留めさせてください。
 そして、日本の中には、「新冷戦」とも呼ばれるこうした事態の中、日本はG7加盟国として、米中両者の間を仲介するのに適しているとの意見も出ていますが、果たして、そう簡単に米中の狭間で立ち居振る舞うことが出来ますでありましょうか。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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