SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2020年8月[Sanada発 現場から]


株式市場に対する懸念と社会に対する不安


  今月は、
「企業業績を反映していないと見られている、世界の主要株式市場に対する不安」
に関するコメントと、
「人権に関する市民の不安」
という、
「二つの不安」
について、コメントをさせて戴きたいと思います。

[主要株価とバブル崩壊懸念]
私は、例えば、日本の一部上場企業が、新型コロナウイルス問題を主たる背景にして、今後の業績見通しもしっかりと示せぬ中、日経平均株価が、新型コロナウイルス問題発生前の水準にほぼ戻りつつある理由に、
「世界各国政府は、企業を倒産させず、雇用を守り、税収の一つの大きな源ともなる法人税を守ろうとしていることが、国際金融市場からは、
それでは、企業は倒産しない、
そう考えると、株式会社となっている企業の株価はゼロにはならない、
特に、各国経済に様々な意味で影響力の強い大企業、就中、上場企業は倒産せず、株価はゼロにはならない、
すると、株価が下落した際は買い、様子を見て利益確保の為に売りと言うディールを繰り返してきており、先進国株式市場である日本の日経平均も一旦、16,000台に下落した後には、反発、様子を見ながら、じわじわと押し戻し、今や、新型コロナウイルス問題発生前の水準にまで近づいている。」
と見ており、また、世界の株式市場の中で、特にこうした状況が顕著に見られる市場は、
「日本と米国」
であると見ています。

即ち、敢えて、大胆な表現をすれば、
「上記の理由から、企業業績とはあまりにも乖離した日米の株式市場はやはり、異常であり、バブルとなっている。
従って、何かの理由、例えば新型コロナウイルス第二波襲来などが顕在化すると、一気にバブルは弾け、株式市場は暴落、これを契機に国際金融市場は混乱に陥る危険性もある。」
と考えています。

こうした中、世界中から信頼されている、国際機関たる国際通貨基金(IMF)は6月25日、新型コロナウイルスの感染拡大が一段と広範囲に及び、ロックダウン(都市封鎖)措置が再導入されたり、通商面での緊張が再び高まったりすれば、株式などのリスク資産が新たな暴落に見舞われる可能性があると警告しています。
即ち、IMFは
「国際金融安定報告書の改訂版」
に於いて、
「金融市場の楽観論と世界経済の動向との間にずれが生じている。
このずれは、リスク資産が再び調整するリスクを高めている。
大半の株式市場や社債市場の価値が過大評価されているようである。」
と総括しています。
更に、調整のきっかけとしては、
「現在想定されている以上の景気後退の長期化および深刻化、新型コロナの感染第2波、封じ込め措置の再開、通商面での緊張再燃などを挙げたほか、経済格差の拡大に伴う世界的な社会不安の広がりも投資家心理を損なう可能性がある。」
とも指摘しており、その上で、
「これまでも経済的圧力が大きな弱気相場下で反騰したことはあるが、その後はよく下落していた。
また対国内総生産(GDP)対比で歴史的な高水準にある企業債務や増加する家計債務に関するリスクもある。
高水準の債務を抱える多くの経済圏が急激な景気減速に直面することが想定される。」
との懸念も示し、こうした状況に近い市場として、日米の主要株式市場が念頭に置かれています。 

IMFも懸念を示す日米の株式市場、私は、対処療法ではなく、やはり、市場の先読みの思惑と共に、基本は業績をきちんと反映した株式市場に戻さないと、私たちは今後も、
「世界の株式市場は大混乱に陥るリスクに怯え続けないといけない。」
と言う事態となるのではないかと懸念しています。
痛みを伴う、膿みを出し切るオペレーションがそろそろ必要かと私は考えています。
株式をお持ちの方々はお嫌でしょうが?

尚、IMFはまた、
「国際金融安定性報告書」
では、クレジット・サイクルに対する警鐘も鳴らしており、
「大多数の先進国では債務返済能力は向上しており、企業のバランスシートは、緩やかな景気後退や金融状況の徐々なタイト化には耐えうると見込まれる。
しかしながら、総体としてみると債務も金融上のリスクテイクも拡大しており、信用力が低下した債務者も見られる」
ともコメントしている点にも留意しておきたいと思います。

[市民の声]
株式市場に対する不安と共に、世界の市民からは、社会そのものに対する不安の声も出ています。

黒人男性が白人警官に首を抑えられ、死亡したと言う事件を発端に、全米各地で広がる平和的デモ活動の中に、人種や老若男女、宗教を問わず、
「Silence is golden」
ならぬ、
「Silence is violence」
と言う言葉が米国社会で広がっています。
そして、傍観していることは必ずしも良いことではない、
「皆で立ち上がろう!」
と言うシグナルが発せられてきているのです。
「自分には関係がない。」
「下手に関わると悪いことが起こる。」
と言った考え方をやめ、自らの信条、倫理観に基づいて、
「真理を求めて言動していこう!」
と言う動きとも取れます。
こうした、一般大衆の動きは強いかもしれません。
そして、こうした動きの結果、過去に見られたものの例として、例えば、
「フランス革命」
などが挙げられるかもしれません。
しかし、一方で、こうした大衆の立ち上がりは、その時の、
「既得権益層」
にとっては脅威ともなります。
従って、これを取り締まる、例えば、今の中国本土で言えば、
「香港に対する国家安全法の施行」
の動きなどが出て来ることになる、また、民主主義国家の雄・米国のトップであるトランプ大統領までもが、
「デモの鎮圧のための連邦軍の投入示唆」
を行うなど、一般大衆の水面下から湧き上がる、盛り上がりは警戒されるべき対象のようです。
そして、既得権益層は、洋の東西を問わず、今、情報技術の発展の中で、
「情報をモニタリングしながら、既得権益層に不利な動きを示す動きを暴き出す姿勢を示し始め、未然にこうした大衆の動きを防ぐ。」
と言う方向に動き、暴いた人たちを社会的に葬ることも視野に入れて始めていると思われます。
即ち、統制国家的な動きが強まる中、既得権益層に反する者は処罰すると言う恐怖政治的な動きとも見える動きも拡大しつつあるように私には見えます。
大衆の声と既得権益層の戦い、情報技術の進展の中で、今後、どうなるのか、私たちは注目しなくてはなりません。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会分科会
Copyright (C) 2019 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved