埼玉産業人クラブの皆様、愛知淑徳大学の真田で御座います。
今月もモンゴル・中国出張紀行文や岐阜地域訪問記録など、皆様にお伝えしたいことがたくさんあるのですが、今回は去る8月31日に上田埼玉県知事に提出させて戴きました「経済振興プロジェクトチーム」の提言について、この紙面をお借りして、若干の補足説明をさせて戴きたいと思います。
私たち、経済振興プロジェクトチームは昨年11月に8人のメンバーでスタートし、昨年年末には、「中小企業・ベンチャー企業支援策」を中心とする第一次提言を行いました。そして、この延長戦上で、埼玉県は創業ベンチャー支援室の設置を決定されたことはご高承の通りであります。
今年に入ってから、私たちメンバーは、皆様方のような県内企業経営者の代表として男性経営者と女性経営者のお二方をお迎えし10人で議論を推進、埼玉県の経済新興に資する「具体策」作りに努めたつもりであります。その結果として、上田知事に提出申し上げたのが、8月31日の提言書であります。
その骨子は、
* 埼玉県が行う情報発信・情報収集に関する具体策
* 埼玉県が行う企業と大学等との連携(産学官連携)に関する具体策
* 金融・経営指導に関する支援策
* 知的財産の想像・保護・活用に関する支援策
* 海外に目を向けた具体策
* 埼玉県職員の専門家としての育成策
となっております。(詳細は県のホームページや各紙の報道などをご覧ください。)
さて、ここで私は読者の皆様方に改めてご説明申し上げておきたいことが御座います。それは、「私たちプロジェクトチームのメンバーは単なる評論家として提言を申し上げたつもりはない。」ということであります。だからこそ、私たちは提言書を作成するに当たっては、「こうした具体策を実現できれば、県の雇用機会の拡大にどの程度貢献するか?県全体の税収増加にどの程度貢献できるか?」を強く意識しながら作成したつもりであり、
また、「今後、埼玉県が具体策を遂行されるに当っては、我々メンバー自身も必要に応じてその事業に参画していく覚悟がある。」
「一方、具体策の推進が不可能である埼玉県が判断されるとすれば、それは如何なる理由で推進が出来ないのか、その理由を県民の皆様に対してきちんとフィードバックして欲しい。」との姿勢表明とお願いを上田知事に申し上げました。
埼玉県が行う直接投資による金融支援策については、
「埼玉県自身が廃止の方向にある。」
「メンバーの一部や県内企業の経営者の一部からは“公”が直接投資を行うことは相応しくない。」
とのご意見やご批判があったにも拘らず、敢えて提言書に盛り込ませて戴きました。
私も国際金融の世界で生きてきた経験から、本来は公的機関による「金融支援」などというものは排除すべきであり、特に企業の(倒産を防ぐような)セーフティーネットの為の金融支援の必要性をあまり感じていません。
それでも、今回の提言書に直接投資を盛り込んだ理由は、
「今後、地域経済の新興を図る上で頑張ってくれそうな、しかし、今のところ、その企業規模や実績などから、なかなか民間金融機関では融資や投資をしてもらえそうもない一定の企業の支援・育成を目指して公的機関が果たす役割は世界でも見られている。例えば、アジア開発銀行は最近、アジアの開発途上国で行われている様々なプロジェクトに資本参加し、地域経済の活性化・差別化に貢献している。」といった事例もあり、
また、日本の金融システムは間接金融の社会であり、米国のようにリスクマネーを投じてこうした将来に期待できる企業を育てていくような金融システムに欠けていることをその背景としております。
即ち、将来は無くなって欲しい具体策ではありますが、今現在は埼玉県の経済振興には必要な具体策であり、また、皆様方のご懸念を払拭できるような監視システムも付与した形で具体的な提言を申し上げたつもりで御座います。
いずれにしても、この提言書は皆様方のビジネスをサポートし、その結果として埼玉県民、埼玉県内企業が元気となることを目的として提出致しました。
どうぞ、皆様方も提言書の内容、そしてその内容に拘らず、様々なご意見を直接、そしてもっともっと県にお伝えください。
県の皆様は出来る限りの対応をしてくださるはずです。
来月もまた、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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