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2004年11月[Sanada発 現場から]


埼玉産業人クラブの皆様、愛知淑徳大学の真田で御座います。

「中国/ワンポイント経済レポート」

中国本土経済に対する皆様方のご関心は高いのではないかと思います。
そこで、今月は中国経済に関するワンポイント経済情報をお伝え致します。

  先ず、ここでは皆様に、中国本土政府の国家発展・改革委員会・マクロ経済研究院が、
「中国本土政府の推進するマクロ経済政策は今後、物価と経済の安定維持を同時に図るという課題に直面するであろう。」との見方を示している点をご報告申し上げたいと思います。

  そして、「ここ数カ月、中国本土経済は、経済成長が失速気味の中で、著しい物価上昇が続いており、インフレと景気停滞が同時に発生するスタグフレーションが懸念されている。

  その為、今年7−12月には、政府は物価上昇によるインフレの抑制と同時に、投資過熱の抑制調整などの措置が更に要求されることとなろう。」との分析をしており、中国本土経済が厳しい状況に置かれていることを示すコメントが発表されています。

  しかし、こうした一方で、世界貿易機関(WTO)のスパチャイ事務局長は、北京で開催されたビジネス・ウィーク誌第八回最高経営者会議の開幕式に出席した際に、「WTO加盟後の中国の政策対応姿勢は高く評価できる。」との主旨のコメントを示し、中国本土のここ数年の「国際化」に向けた経済政策対応を高く評価しています。

  また、米国・モルガンスタンレー証券は、チーフエコノミストの分析として、「中国本土では現在、全国規模での不動産バブルは見られておらず、上海地域を中心に限定的に見られる。 そして、他の沿岸地域の不動産価格上昇も見られるが、上海ほど深刻ではないと考えられる。」と分析、国際社会で懸念されている中国の不動産バブルは限定的であるとの見方を示していることは注目しておかなければならないでしょう。

  尚、上海証券報は、2005年産業景気調査を行った結果として、

*石油・天然ガス採掘業
*石炭業
*観光・ホテル業
*繊維サービス業
*水道・電気供給業

の五業種で景気指数が上昇するであろうと分析しており、当面、こうした分野での中国ビジネスには不安がないのではないかと見られています。

   さて、上述したとおり、中国本土経済については不安と期待が相半ばする見方が示されていますが、こうした状況にあって、中国本土政府はアセアン諸国との経済・貿易関係の強化に注力しているものと思われます。そして、今般、広西チワン族自治区の南寧市に於いて「中国―アセアン博覧会」が開催され、中国本土政府・商務部は、この会議の開催に当たって、「こうした地道な経済交流が中国とアセアンの経済関係拡大に結びつく。」と期待感を示すと共に、薄商務部長(長官)は、「中国の今年の輸入総額は5,000億米ドルを突破する見込みであるが、アセアン諸国からの輸入の重要性が今後、益々増していくこととなる。」と発言、中国本土にとってアセアン諸国が重要な輸入パートナーとなっていくという見方を示した点も留意しておく必要がありましょう。

  また筆者は、中国本土政府は国家を上げて対外投資を促進する方針をとってきていると見ていますが、今般、中国本土政府・国家発展改革委員会と中国進出口銀行(中国輸銀)は、「対外投資向け融資支援制度を創設した。」と発表し、今後、対外投資を希望する企業等に対して特別融資枠を設けて海外投資重点プロジェクトを徹底的に支援するという姿勢を明示しました。そして、特別融資では優遇金利などが受けられる見通しとなっています。

  以上のようなことから、中国本土は今後も東アジア地域を中心に対外関係の拡大を図り、中国本土のスタンダードを機軸とした国際化の推進に注力してくるものと見ておきたいと思います。

  またこのような流れにあって、例えば、韓国で経営不安に陥った双龍自動車を外資によって再建するという方向性が確定したことに伴い、中国本土の有数企業の一つである上海汽車グループが双龍自動車に資本参加することが内定したのでありますが、こうした動きは正に中国本土企業の更なる国際化に繋がっていくものと思われます。

 上海汽車グループの動きに対して韓国内では、双龍自動車に対して今後約10億米ドルを投じて現在20万台となっている生産ラインを2007年までには40万台にし、新車開発も積極化したいとの姿勢を示しているとこれを前向きに捉え、また、双龍自動車から上海汽車に一部部品供給することも検討されていると予想されており、更に、韓国国内では、「上海汽車グループは今後、世界的な自動車業界再編に積極的に参画してくる。」 ものと見られており、韓国国内での上海汽車グループの動きを睨みながら、自動車業界の国際化の動きもチェックしていくといった姿勢も見られているのであります。

  尚、上海汽車グループの国際投資状況は以下の通りとなっています。ご参考まで。

出資対象 出資比率  出資に関する世界的自動車メーカー主要パートナー
上海GM 50%  GM(50%)
上海フォルクスワーゲン 50% ダイムラークライスラー(50%)
GM大宇  10.6% GM(44.5%)
双龍自動車 48.9%  

  また、現在交渉中の投資対象先は以下の通り。
* 大宇ポーランド工場
* 英国・ローバー社

  ところで、今年の中国本土経済に関しては、「電力問題」もまたスポットライトを浴びていました。しかしこの問題に関しても、中国本土政府は、「国内全体の発電能力が約4億キロワットに達し、米国に次ぐ発電大国になった。」と発表し、中国本土国内の発電能力に問題が無いことを内外に示しています。中国本土政府はまた2010年には発電能力を6〜7億キロワット、2020年には9〜10億キロワットにまで拡大する計画であるとも発表しています。

  中国本土政府は更にまた、こうした発電能力と共に、中東はもとより、CIS諸国・カスピ海や西アフリカなどを睨みつつエネルギー資源開発にも具体的な取り組みをしており、エネルギー源の安定確保(量、質、価格の安定確保)に向けた政策展開をしていることから、こうした総合的計画を以って、「中国本土のエネルギー問題、電力問題に大きな懸念なし。」ということを内外に示しています。そして、国内石油消費に占める輸入依存度も約4割となっていることもあって、先ずは中国本土の電力問題については、大きな心配をするまでのことはないとの見方が出てきていることを、ここではご報告しておきたいと思います。

  最後に、華僑・華人系マスコミ誌である亜州週刊は、中国本土の上場企業トップ100社(2004年6下津基準)を発表しました。時価総額基準で見たトップ10企業を見ると、石油化学、電力、鉄鋼、金融が中心で第十位に上海汽車が入っています。また、これを本社所在地別で見ると、上海が5社、北京が4社、そして深セン1社となっています。

  トップ10企業名は以下の通りとなっています。ご参考まで、同レポートのデータを転記し、今回のご報告を終わらせて戴きたいと思います。
単位:億人民元
  時価総額 売上高 当期純利益 総資産
中国石油加工
3,349.3
4,171.9
190.1
3,902.1
華能国際電力 
867.6
234.8
54.6
532.8
寶山鋼鉄
787.0
444.6
69.8
609.2
中国聨合通信
679.5
598.0
23.3
1,500.6
中国長江電力 
666.2
29.9
14.4
296.2
招商銀行 
580.7
135.9
22.3
5,038.9
上海浦東発展銀行
344.1
120.3
15.7
3,710.6
中国民生銀行
324.1
120.4
13.9
3,610.6
中国石化上海石油加工
292.7
295.7
13.9
275.8
上海汽車
279.1
68.9
15.2
120.9

また、来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上

 

愛知淑徳大学ビジネス学部
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール

真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京 三菱銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。

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