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2005年3月[Sanada発 現場から]


「日本経済活性化の道」

「光華明日日(こうけみょうじつじつ)」

(人は誰もが等しく、もともと仏としての本性を有している)

 日本経済に関しては、日本政府は引き続き強気の発言をしており、また私の大学がある名古屋では日銀名古屋支店長が今後の景気先行きについて、やはり強気の見方を示しています。

 特に、IT半導体景気については大きな懸念はなく、また在庫調整も順調に進んでいる、賃金の下げ止まりも期待されているといったこともあり、現状の景気不冴え状況だけを見て必要以上に今後の景気動向に関して一喜一憂することはむしろミス・リーディングであるといった声も聞かれています。

 そしてこうした考え方を象徴的に示すように、日本政府筋の経済成長率見通しを見てみると、1月の閣議では、 「2004年の経済成長率は2.1%、2005年は1.6%となる。」

との見方が示され、今年は経済成長率が低下するものの1.5%を超える経済成長が見込まれると発表されており、内外の不安を払拭するような内容となっています。

 また、景気の先行指標といわれる株価もここのところ強気の上昇を示しています。

 ところで、日本政府筋がこうした見方や意見を持っていることを承知していますが、私が国内企業の皆様方とお話をしておりますと、私がコンタクトする過半数以上の方々は必ずしもこうした政府の見方を強く支持されてはおらず、もう少し弱気の見方をしているものと思います。

 そしてまた最近発表されている民間調査機関のデータを見ると、政府見通しよりは厳しい見方をしていることが分かります。

[主要調査機関の経済成長率見通し]
単位:年間成長率%
2004年度
(名目) 
2005年度
(名目)
日本国政府 2.1 1.6
日本総研 1.5 1.2
三菱総研 1.6 1.1
UFJ総研 1.6 0.6
電力中央研 1.6 0.8
信金中金総研 1.6 1.1
明治安田生命 1.5 1.2
野村證券 1.5 1.1

 本来、こうした係数を羅列し、各機関の数値の差だけを見てコメントしているのでは意味はなく、各機関の数値算出の根拠・手法と分析結果の内容などにも意識を払わなければならないのですが、上記のデータを見て明らかに分かることは、民間の調査機関はこぞって政府よりも厳しい見通しを示しているという点であります。

 各機関のデータ発表のコメントを私なりに読みくだいてみると、政府と民間のこの見方の差には、
「金融引き締めに伴う米国と中国の経済減速の幅に対する見方・評価に差があり、民間調査機関はその影響が大きいと見ていることから、結果として日本の輸出鈍化に関する見方にも温度差が出ていること。」
が先ず挙げられるものと思います。

 また総じて、

「今年は雇用や所得に安定感が戻る。」

との見方をしているものとは思いますが、

「果たしてその結果として期待される民間消費が輸出鈍化部分をカバーして日本経済の成長を支えきれるのか?」

というポイントでの見方の差が政府と民間の間にあるように思われます。

 中国政府や国際復興開発銀行(IBRD)、アジア開発銀行(ADB)などは、

「アジア地域に関して言えば、中国を中心にインフラ開発の必要性に伴う基礎インフラ投資意欲が強いこと、民間経済の発展と持ち直しによる民間設備投資意欲も強いこと、景気拡大に伴う国内消費意欲が強いこと、中国を軸とした域内貿易拡大が期待されることなどから、今年も中国経済を軸としてアジア経済は堅調である。」

との基本的な見方を示しており、アジア経済に対する不安は少ないのかもしれませんが、米国経済が日本政府の見方よりも悪化、民間調査機関の見通しに近い形で推移するとなると、日本の今年の経済成長は1%前後となるものと私も思います。

 そうした意味で、予想がつけにくい米国経済については今後も大いに情報収集していく必要があると感じております。

 また、その米国経済の行方に間接的に影響を与えるイラク情勢、北朝鮮情勢を中心とした国際的な政情についてもやはり意識を払うべきであると考えます。

  さて、このように先行きの読みにくいマクロ経済情勢の中、日本各地の様々なお話を伺っておりますと、大手メーカーの役員をされた経験のある技術系・理科系コンサルタントの方が各社の側面アドバイスをされていることに気付きます。また米国の大学で研究をされたマーケティング・サポート会社の方などもいらっしゃり、民間の方々が地域の企業活動を側面サポートされている姿も見られています。こうした「素晴らしい経験と技術的ノウハウ」に支えられた、「社会貢献をしたい」と仰る紳士・淑女ビジネスマンがこの日本には意外にたくさんいらっしゃると思います。

 そして、こうした人材を持っていることこそが、アジアNIE’Sやアセアン諸国、中国本土などには見られぬ、「成熟国家・日本」が持つ一つの大きな「宝」・「アドバンテージ」であり、また比較的安く(こうした人材はボランティアのようにただで働いてもらってはなりません!!こうした人材を利用する側は通常のマーケットよりは安いでありましょうが、きちんとその対価を払い、また利用される人材はある意味での責任感を持ってもらいながら、ビジネス活動に参画してもらうことが大切であります。)、高度な各種ノウハウを提供してくれる質の高い労働力(労働力という言葉は品がありませんが、ここでは分かり易くこの言葉を使わせて戴きます。)として、こうした人材が活躍してくだされば、それは日本社会の更なる発展を推進する力となり得るものでありましょう。そしてまた、こうした新たな形の「労働力」が快く活動できるような環境を作り出すことが行政の一つの役割であると考えます。

 ところで、こうした人材を如何に発掘するかと考えると、私は最近流行のインターネットなどを利用するだけではなかなか発掘できないと考えています。

 ここはむしろ、なかなか民間ビジネスにはならない分野であり、行政の側が地道な活動をする必要があり、例えば、私は、

「行政が各地域の企業がお取引をしている大企業を聞き出したうえで、その大企業の人事を地道に回って自県・自市に戻るリタイア社員の情報を秘密保持をするという念書を当該大企業に対して差し入れた上で頂戴し、その情報に基づいてこれも地道に、それらリタイア社員の自宅を行政の立場で回って登録に協力してもらう。

 あるいはまた、地域内の自治会やマンションの管理委員会の総会などに参加し、そこに出てくる企業をリタイアした住民を対象に、まずは老後のライフ・プラン計画をサポートしてあげるという”Give”の行政サービスを提供する。

 この過程で、そのリタイア人材の特質と希望を聞き出したうえで、それではあなたの特質をこうした分野で活かして欲しいと誘い、人材登録をしてもらい、”Take”の社会活動をしてもらう。

 行政はこうした登録人材を活かす上で、先ず人材登録をした人を、*経営企画・戦略立案*海外展開・国際化*情報・IT化*販売・マーケティング*技術・製品開発*生産管理*物流管理*経理・財務管理*人事・労務管理*法務・特許といったカテゴリーに分類して情報管理をする。

 そして、例えば県内企業・市内企業A社がある具体的計画を持ち、アドバイスを求めてきた際には、登録された人材の中から必要性があると思われるノウハウを持った人材を可能な限り複数名で選択、チームを構成してA社に派遣し、アドバイスをしてもらう。

 この際に行政は行政コストの中から、当該派遣人材が必要とする交通費等のコストと、一定の小額謝礼を負担、支払うという体制をとる。」

ことを行っていけば、着実に成果が上がってくるものと考えています。

 更に、最近では信用金庫業界の皆様方を中心に「コラボ産学官」という組織が立ち上がっていますが、この関係者の方にお会いしお話を聞いても、やはり地域経済の活性化と産学官連携については王道は無いようで、

「優秀なノウハウを持った人のコラボレーション・連携を適材適所の方針の下、上手に行っていくことが重要である。

 そして、こうしたシステムが出来てくれば、これに伴い各案件に対するファイナンスも必ずついてくる。」
との発言をされており、「人」と「資金」の有効活用に向けた民間金融機関・地域金融機関の地道な取り組みも始まっています。

 日本経済の底辺を支える地域経済、様々な知恵を出している地域では少しずつ、しかし着実に進展してきているものと感じております。

 人は誰しもが等しく、社会のお役に立つべく「使命」を帯びてこの世に生まれてきている、だからこそ、それぞれの持ち場、持ち場でその差別化された能力を生かして活躍してもらえるような「場」さえあれば、皆、生き生きとした人生を過ごされるものと思います。

 皆様は如何お考えになられますか?

以上
 
愛知淑徳大学ビジネス学部
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール

真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京 三菱銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。

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