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2005年6月[Sanada発 現場から]


「地域経済活性の進展と埼玉県、さいたま市」

[GLOCALの動き]

皆様は既にGLOCALという言葉が定着していることをご存知でいらっしゃるかと思います。
GLOBALとLOCALを組み合わせた造成語ではありますが、この言葉には、
「市場や各種取引に於いて、地域性も考慮に入れながら地球的視野に立った行動を採ること。」
といった意味が包含されています。

私の見るところ、国際化・Globalizationが進展する中、各種スタンダードが強者の論理によって確立され、押し付けられていくことに対して、国際社会の一部には、

* NGO組織などを通して反グローバリズムを唱えて、これを論理的・平和的に阻止する動き。
* 国際テロなどの活動を通して、これを感情的・暴力的に阻止する動き。

などがあるものと思われますが、GLOCALという言葉とその背後にある論理は、正に国際化に対する課題を論理的・平和的に解決しようとする動きの中で示されているものと私は見ており、ユダヤ人や華僑の人々の中にもこの論理を高く尊重する方々がいらっしゃることは有名な話であります。

そして、最近ではまた、こうしたGLOCALの流れの中で、
「Local to Local、いわゆるLLと言われる地域間交流の積み上げによって国際的なDe facto Standardを構築することが最も現実的ではないか。」
との議論が出てきています。
こうした考えの下、私も例えば中国本土・東北三省の一つである遼寧省と埼玉県の皆様方の交流拡大に向けたお手伝いをさせて戴いており、現在、埼玉県と遼寧省はLLに基づいた国際交流拡大に向けて両地域のスタンダードのすり合わせをしながら経済的な相互メリットを獲得できるよう、その可能性を模索されていらっしゃいます。(実際には様々な課題も多く相互の関心が異なることからその進展はなかなか見られないようでありますがーーー。)

そしてまた、私は皆様方のいらっしゃる埼玉県にはこのGLOCAL推進を一つの軸として地域経済を活性化していく素晴らしい動きがあると感じております。

[埼玉県・さいたま市の地域経済活性化]

 私はご縁があり、皆様方の地元・埼玉県、さいたま市の皆様方とのお付き合いをさせて戴いておりますが、その経験から次のような大きな動きがあると感じています。

* 地方自治体の機能的連携による戦略作りが地域経済活性化策をより効果的にする!!
* 地元企業、地元住民とのコンタクトの中から活路を見出す現場主義、具体策に現実味有り。
* 具体策作りに向けた熱意を継続する行政の粘りが地域経済活性には不可欠、現場主義に基づいたアフターケアの必要性。

さて先日、地域経済活性化プロジェクトの一環で私がいつも大変お世話になっている埼玉県とさいたま市の皆様方との県・政令指定都市合同の会議に参加させて戴きました。

 日本の中心地・首都圏の中で首都・東京に隣接し全国でも人口構成が若くバランスが取れ、また東日本の鉄道の玄関口としてさいたま市・大宮を抱え、幹線道路も拡充しているなど首都圏交通・物流の要所を占め、また東西南北、様々な地域がそれぞれの個性を維持している、そして今正に創業立県、新産業創造都市として経済活性化を基盤とした県・市の更なる発展を目指している皆様方とのお話には正に、

「新しい息吹と活力」

が強く感じられます。また、県や市の方々からは、
「特徴のないことが、最大の特徴である。」
とのコメントがあった現状についても、むしろ社会が安定成長化している現在にあっては、

「県や市の様々な意味での資産ポートフォリオが適度に分散されていることに繋がっており、不況に強く安定的であるとの利点を生み出している。」

といえ、更に素晴らしいことは、県や市の方々がこうした現状をしっかりと認識した上で、一層の発展を目指して、

「現状のビジネス環境と県内・市内企業の意向や方向性をきちんと事前調査した上で、重点支援対象業種の認定を産官学・住民のコンセンサスを基に設定し、更なる発展の起爆剤として育成強化しようとしていること。」
にあるのではないかと考えます。

 そして、こうした県や市の皆様の姿勢は必ずや効果を上げると私は確信をしています。その理由は、

* 首都圏という地の利、時代の先端産業を抱える時の利、優れた意識との能力を持つ人の利があること。
* 有名無名を問わず地域に優れた技術力と経営基礎体力を持つ地域企業が存在するとともに、優れた経営者が存在しており、またそうした企業が地域にしっかりと根を生やしていること。
* こうした地域企業と大企業のバランスが取れており、相互サポート関係が確立していること。
* 団塊の世代にある都市型地域住民の多くが地域に定着をし、新たな人生を歩むため、その活動を開始していること。
* 従来からの地域住民に地域を愛する心が浸透していること。
* 地域には埼玉大學や芝浦工業大学といった大學や理化学研究所といった研究所があり、またこうした機関に産官学を繋ぐ志を持った素晴らしいコーディネーターの方々が存在すること。
* 県や市に地域を愛し、地域の発展を目標として現場を歩き。現場の心を知り、現場の実態に合わせた戦略代替案をいくつも掲げ挙げることが出来る政策マンが存在していること。
* そして県知事や市長がこれら政策マンの皆様のアイデアや意見をきちんと聞き、また良いものに対してはきちんと評価する姿勢を内外にはっきりと明示されていること。
* 更には、県と市区町村の政策方向に一体感が出てきており、更にこれを強化しようとしていること。そしてまた、埼玉県、埼玉県、或いはさいたま市、さいたま市と言わず、近隣の都県や市区町村との適切な競争と協調を受け入れる度量が埼玉県・さいたま市全体に醸成されていること。
* また、国の機関との上手な協調をされており、またそうした国と地方自治体の活動を繋ぐジェトロなどの優れた方々が地域に存在している。
などが挙げられます。

 もちろん、こうした特徴は最近元気のある地域に共通して見られる現象であり、埼玉県・さいたま市だけではないが、またそうした地域が一つでも増えること望んでおります。
一方、埼玉県やさいたま市に課題があることもまた事実であり、だからこそ、埼玉県・さいたま市に於かれては、現状に満足せず、他地域に負けぬよういい意味での競争を続けられると共に、地域住民、地域企業の声を聞き続けるという草の根ベースでの不断の努力をする一方、鳥瞰図的に情勢を分析し、時には英断もするといった思い切った政策展開をされることを一層期待したいと思います。

尚、最後に以下、冒頭に少しご紹介を致しました遼寧省の概要をご参考まで、箇条書きにて簡単に纏めておきたいと思います。ご覧ください。

(1) 遼寧省は省都・瀋陽市、港湾都市・大連市、北朝鮮との国境都市・丹東市をはじめ、14省轄市が存在している。
(2) 面積は145,900平方キロメートル、戸籍人口41.4百万人、人口密度283人となっている。尚、常住人口は増加基調にある。
(3) 域内総生産は約5,100億人民元、産業構造は第一次産業が10%、第二次産業が49%、第三次産業が41%となっている。また一人当たりの域内総生産は12,070人民元となっており、中国本土国内でも上位に位置する。また、こうしたことを背景に都市部住民の一人当たりの可処分所得は約6,000人民元と見られている。
(4) 工業付加価値額は約1,240億人民元、また固定資産投資総額は約1,200億人民元となっている。
(5) 一方、社会消費財小売総額は約2,100億人民元となっており、マーケットとしても拡大している。
(6) 物流面も比較的インフラが充実していると見られており、貨物輸送総量は約800百万トン、うち鉄道は140百万トン、道路640百万トン、水運20百万トンとなっている。
(7) 尚、大連の港湾貨物取扱量は約100百万トンとなっている。
(8) 遼寧省としての輸出総額は約200億米ドル、輸入総額は約110億米ドルとなっており、省の貿易収支は約90億米ドルの黒字を記録している。
(9) 一方、直接投資は契約基準で年間約1,700〜1,800件、約40〜50億米ドルとなっている。
(10)遼寧省の国家級開発区は大連に集中していると言え、大連技術開発区、大連高新技術産業園区、大連保税区、大連輸出加工区などがある。

 来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学ビジネス学部
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール

真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京 三菱銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。

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