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2006年2月[Sanada発 現場から]


「今年の東アジア景気予測と日韓草の根ビジネス」
[東アジア景気予測]
 私は毎年、年初に日本経済の年間見通しと東アジア経済の年間見通しというものを私なりに試みています。そしてその為に、多くの機関やエコノミスト、研究者が推測するデータやコメントを注目します。そして、こうした予測をしていく中で、ここ数年、というよりも私がこうした年初予測を開始した1984年以来一貫して感じることがあります。
 それは、日本と主要東アジア諸国の経済は、そのデータから見ても、実体経済から見ても、一般的に言えば、明らかに、
「米国経済の動向に左右される。つまり米国経済に大きく依存している。そしてその結果として、米国のパワーゲームの中で利用されることがしばしばある。」
ということであります。

 もちろん、日本をはじめ、東アジア諸国の経済発展は著しく、その結果として国が富み、内需部門が国家経済に与える影響力の度合いは相対的には拡大しています。

 しかしながら、第二次世界大戦の日本と東アジアの主要諸国の経済発展過程を見ると、国内産業の工業化を推進、輸出主導型の経済を構築した上で外貨を着実に獲得、この間に借り入れた対外債務を返済することに努めつつ、余剰を以って国内の各種インフラの更なる整備と拡大を図る、そして更に余裕ができてくると、東アジア諸国自身が対外投資を開始するといった発展の歴史を、一般的には眺めることが出来るかと思います。

 そしてこうした発展過程に於いて
米国を中心とする欧米先進国から先ずは外資を受け入れ、資本と技術、経営ノウハウ等の各種ノウハウを受け入れた。
米国を中心とする先進欧米諸国に生産物を販売(輸出)し、その対価として外貨を獲得した。
こうして獲得した利益を国内に分配し、社会インフラ開発を行った。
更に、獲得利益が賃金等の形で国民各個人に分配され、国民の生活水準向上が見られ、これが各国経済の内需の発展に繋がった。
米国を中心とする先進欧米諸国から高度製品を高価で買い入れることも行うようになった。
等々の現象が見られ、俗な言い方をすれば、
「日本や主要東アジア諸国経済は米国経済とは切っても切れない関係となった。」
と言えるのではないでしょうか。

 従って、今も日本や東アジア諸国の経済動向を予測する際には、その発展の一つの大きな源泉となっている米国経済の予測が大切なチェックポイントとなっているのではないかと考えます。
 さて、それでは最近の米国経済と今後暫くの動向についてはどのように予想をしたら良いのでありましょうか?
 年初から申し上げておりますとおり、様々なコメントや分析を見ると、米国経済については現状、楽観論、悲観論が入り混じり、なかなかその方向性が見極められません。
実際に私自身が最近米国本土に上陸し、この眼でその実態を把握していないこともあり、書面や画像の情報による分析ではミスリードすることになりかねず、ここでは迂闊な発言をするつもりもありません。

 しかしながら、私自身が尊敬し信頼し、かつ米国経済に直接触れている友人達のコメントを基に米国経済の動向を私なりに眺め見ると、次のような簡単な纏め方をすることが出来るのではないかと考えています。即ち、
二期にわたって続いているブッシュ政権は当初弱いといわれていた経済運営に成功し既に四年以上4%を超えるGDP成長率を達成するという実績を残しており、米国財界もその結果に満足している。
この結果として、国内の雇用環境も改善、これが米国国内の内需を支える一つの原動力になっている。
国内雇用環境の改善と共に米国企業の多くは労働生産性の改善に強め、基礎体力を強化する動きに出ている。
こうした企業体力強化の為に、ブッシュ政権は減税と規制緩和の更なる拡大を行い政界・財界の強調が見られている。
一つの典型的な懸念派インフレ問題であるが、ここは通貨の番人であるグリーンスパン氏の力量に任せながら、経済発展と物価の安定を図る政策運営をバランスよく実施してきた。(今年はこのグリーンスパン氏の勇退の年となる。)
その一方で双子の赤字問題などの弱点に焦点を充て、米国経済に不信感を向ける見方もあるが、現状の国際経済情勢を見ると、軍事外交問題も含めて米国経済の悪化を期待する声は弱く、結局がこうした見方が米国経済に不信感を突きつけるような決定的な要因とはなりえない。特に基軸通貨・米ドルを軸とした国際金融社会に於ける「米国経済と米ドル」に対する評価は引き続き、相対的に見れば堅実であると考える。即ち、米ドル安はあっても「暴落」はない。
といったコメントで纏めてみたいと思います。

 従って、米国経済は今年については堅調に推移、米ドルの大きな信認低下もないと見ておきたいと考えています。
 そして、ポイントは来年に向けて嵐が発生するトレンドに動くのか、嵐が収まるトレンドに動くのかを見ておくべきではないかと考えます。
尚、アジア開発銀行の最新分析による本年度GDP経済成長率見通しは以下の通りであり、参考まで記載しておきたいと思います。
単位:前年対比%
   2004年   2005年推定値   2006年予測 
 中国本土  9.5 9.3 8.9
 台湾  5.7 3.7 4.1
 香港  8.1 5.4 4.3
 韓国  4.6 4.0 5.0
 シンガポール  8.4 5.2 6.0
 マレーシア  7.1 5.1 5.3
 タイ  6.2 4.5 5.0
 フィリピン  6.0 4.7 4.8
 インドネシア  5.1 5.5 5.9
 インド  6.9 6.9 6.8
 日本  2.3 2.3 2.6
 米国  4.2 3.6 3.4
 ユーロ地域  2.1 1.4 1.9

[日韓草の根ビジネスの事例]
 さて、上述したようなマクロ経済動向を睨みながらも、日韓の間では、草の根レベルで様々な小ビジネスが芽生え始めています。
 私もこうした中、ご縁があって昨秋より一つ、面白いビジネスのお手伝いをさせて戴いています。
 そのビジネスは昨年9月に、欧米生活15年の経験を持つ美人女性社長と韓国ケーブルTV局の韓国人経営者、そして地域経済活性化を推進する鳥取の実業家のコラボレーションにより、OBSTV(//www.obstv.com)という会社が設立されて始まりました。

 そしてこのビジネスは、各国のTV放送を他国にリアルタイムネット放送する技術を開発し、まず韓流ブームの韓国テレビの日本国内全国放送に着眼され始まったものであり、「IPテレビ」によって、綺麗な画像による韓国番組を韓国と同時放送する、更に10チャンネルの韓国番組を自由に視聴できるというもので、スカイパーフェクトテレビなどによる日本における韓国番組の放送との差別化を明確にしながら、じわじわとそのシェアを拡大しています。

 当初は、韓国メーカーと様々な試行錯誤と協議の上、共同開発したSTB(セットトップボックス)を貸与、これをテレビに接続して消費者に韓国放送を配信するというものでありましたが、韓国人技術責任者の努力に日本人外注技術者の活躍が加わり、日韓技術陣の協力がなされた結果、最近ではUSBにIP電話機能が焼きこんであり、加入者同士国内国際電話無料にすることに成功、また現在特許申請中であるこのUSBをパソコンに差し込むとインターネット環境が整っているところであれば、いつでも何処でも韓国放送を楽しむことが出来るようになっており、更にその付加価値が高まっています。

 更にまた、このビジネスはプロパー社員が僅か4人で行われるという文字通りのベンチャービジネスでありますが、上述した韓国人技術者は、例えばこのお正月も返上、韓国に帰省もしないで、会社に泊まりこみ、配信に不備がないよう細心の注意を払うなど「顧客第一」のビジネスを展開しており、こうした様々な差別化が顕著になるにつれ、顧客の評価が急速に高まり、今年に入ってから、先行する韓国放送配信会社を友好的に買収し、この15日から放送も統合しこの機会にゴルフチャンネル等を増やして上述したとおり10チャンネルになっており、更には、日本人向けに韓国語講座、既に契約をした聯合通信より入手する韓流芸能ニュース、テレビショッピング、ミュージックチャネルを2月放映開始に向けて準備中でもあります。

 また、聞くと、在日韓国人約70万人に加えて23万人にも上る日本に駐在したり移り住んできた韓国人が同ビジネスの潜在顧客となり、同社の配信放送を視聴したいとアプローチをしてきているとのことであり、また面白いところでは、横田や沖縄など在日米軍基地の中で米国人兵士に嫁いだ韓国人妻達が、同社が配信する韓国放送を是非見たいと言ってきています。また最近では韓流ブームに乗る日本人の関心も集まり、急速に日本人視聴者が増えているなど、私が昨秋予想した以上のビジネス拡大を遂げています。

 そしてまた、こうした勢いを受けて、今般、OBSTVはシンガポール・マレーシアに於いて今回のビジネス・モデルでビジネスを開始することにもなりました。
 日本人と韓国人が知恵と力を合わせて日韓友好に繋がるビジネスを草の根レベルで拡大する、今後もこうした日韓ビジネス・アライアンスが各分野、各所で拡大することを私は強く願っております。 来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京 三菱銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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