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2006年4月[Sanada発 現場から]


「米国の敵産管理法について」

 国際金融の視点から国際情勢を見ていると、最近注目されることは、国際社会の中で厳しい目を向けられる国に見られる共通点は、
* 人権問題
* マネーロンダリングや偽造紙幣製造などの金融問題
を抱えていることにあります。
 先日も中国政府関係者の方にお会いしましたが、かの大国・中国ですら、
「米国の金融制裁は脅威である。」
とし、強い警戒感を示されていました。
 それほど、この米国の金融制裁は影響力のあるものと言えましょうが、それではこの金融制裁を発動する根拠として大変重要な法律は一体何でありましょうか?
 その法律とは、米国の敵産管理法(=U.S. Foreign Assets Control Regulations)であります。
 この敵産管理法とは、先ずは米国の国内法であります。そして、米国大統領により国家の安全保障を脅かすとして、米国の敵対国に指定された国への仕向送金については送金資金が没収される可能性があり、一旦没収された資金は米国財務省内の機関(OFAC=Office of Foreign Assets Control)による特別の許可がない限り、どのような理由があっても返還されないというものです。
 これが、米国人(在米外銀、米銀の在外支店を含む米国法人、及び米国人、米国居住者)に対して、敵産管理法対象先関連の在米資産凍結の義務を課している法律となるのであります。
 具体的には、仕向送金をする際、受取人の取引銀行の所在国及び受取人の所在国が「OFAC対象国」となっている送金を取組む場合、米国系金融機関を経由すると、たとえ日本の外為法の資産凍結対象となっていなくとも、「米国敵産管理法」により、当該資金が凍結され、
解決までに時間を要することとなりましょう。
そして、一旦当該資金が没収されてしまうと、OFACの特別の許可がない限り、どのような理由があってもその資金は一切返還されなくなってしまいます。
 因みに、2005年10月1日現在のOFACの対象国は以下の通りとなっています。
「ミャンマー、北朝鮮、イラン、イラク、シリア、セルビア、モンテネグロ、リビア、スーダン、ジンバブエ、キューバ、リベリア及びシエラレオーネ(ダイヤモンド輸入案件) 以上13カ国。」
 この法律では、日本の銀行在米支店を含む全ての米国内の銀行が、この法を厳守する義務を負っていると規定しており、対象となる米ドル建送金資金の凍結を怠った場合は厳しい罰則が課せられます。
 さて、皆さん、ここで大きなポイントとなるのは、
「国際基軸通貨」
であります。
 米国の金融制裁は原則として「米国の」国内法でありますから、日本は関係ない、中国は関係ないとも言えるのでありますが、しかし、国際基軸通貨が米ドルとなっている以上、国際ビジネス社会で多く使用される通貨は米ドルであり、国際金融業務を行う世界各国の多くの金融機関はその決済を行うために米ドル預金を抱えることになります。そして、その米ドル預金は、当該金融機関の資金効率と利便性の問題から著名な米銀の米国内本支店に置かれることとなり、その預金口座が米国国内にあることから、これが資金凍結の対象にもなります。
 そして、もしその金融機関がOFAC対象国の金融機関となれば、資産凍結の対象となる可能性も出、その場合、通常の米ドル決済はほぼ不可能となる訳であり、実際に例えば、現在こうした金融制裁の対象になった北朝鮮はマカオのBanco Delta Asiaの資産が凍結され、その結果として、北朝鮮の通常貿易はかなりダメージを受けていると見られています。
このように、米国の敵産管理法は米国国内法規であるにも拘らず、大きな影響力を持っている、だからこそ大国として拡大トレンドにある中国も米国の金融制裁を警戒しているということを、国際ビジネスをしている人々はしっかりと認識しておくべきでありましょう。
 今月は国際金融ルールについて、ご参考まで、ご報告を致しました。
 来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京 三菱銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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