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2006年6月[Sanada発 現場から]


「岐阜と鳥取、地域経済活性の動き」


 私は私自身の銀行員であった経験を基にして考えると、日本経済の基礎は「製造業」にあると考えています。そして、その製造業分野を各地域に於いて拡充していくことが日本経済再生の道であると認識しています。
 ところが、広く世界経済を概観すると、中国はもとより、ベトナムやインド、ロシア・東欧地域の発展もあり、日本の製造業分野の多くの企業はこれら後発の追い上げに苦しめられており、単なるコスト・パフォーマンスだけでは太刀打ちすることができないという現実の課題が、残念ながら、そこには横たわっています。
 そこで、後発に対抗するキーワードは、「パッケージ化できない技術力を保有すること」であると考えます。パッケージ化できる技術は、例えば中国企業のように、後発の中でも資金繰りが良くなり高級機械を購入できるようになった企業がこれら機械を購入、使いこなし、これに安価で比較的質が高い人材をフル活用してしまうとすぐにキャッチアップしてしまうので、自社の差別化を維持する為には、パッケージ化できない独自技術を開発し続けていくことにありましょう。更にパッケージ化できない独自技術の開発を継続するためには各社が各社に於いてマイスター・親方的技術者のフル活用が必要不可欠となります。
 また、社内のマイスター・親方のみならず、社外・顧客企業のマイスター・親方にも技術開発協力を求め、自社の技術発展に資するアレンジを行う、一方、親方は技術分野のみならず営業分野にもおり、営業分野のフリーランサーも置き、提案業推を行いながら、新規顧客の開拓と既存顧客の取引深耕を推進するという努力を行う、これを行って初めて、技術と営業という企業発展の両輪を拡充し、総合力をつけることができるようになるといったことを感じており、こうしたことを意識した地域経済の活性化を推進していく具体策が必要であると考えています。

 さて、こうしたことを理念として考えていても、実践を伴わないと全く意味がないこととなりますが、最近、岐阜と鳥取でとても素晴らしい動きを目の当たりにしました。
 今日はそのお話をご紹介させてください。

[岐阜のNPO活動]
 岐阜には20歳代の若手の志ある人々が、地域経済活性化を目指してNPO法人を設立しており、
「岐阜にある若い元気な企業の経営者たちが必要とする若い人材のファイトとアイデアを上手に引き出し、それを地域の企業のビジネス拡大、ひいては地域経済活性化に結び付けていきたい。」
との意識から、3〜6ヶ月の期間に亘って大学生をインターンシップの形で岐阜や名古屋などの中堅・中小企業に派遣するという活動を行っています。
 私の認識では、最近では学生の教育の為に手間隙も掛かり、コストもかかるインターンシップを受け入れることを希望する企業は少ないはずであり、一方、そうした中、インターンシップを受け入れる企業の中には、時に、ごく安いコストでアルバイト代わりに学生を受け入れようとする企業もあると見ていますが、お話を聞くと、このNPO法人では、きちんと「目的意識」のある志の高い企業を、面接をして選び更に学生に対してもこのNPOに対してもきちんとコストを支払わせています。一方、学生達にも厳しく接し、企業がコスト(インターンシップに関わる活動支援費と交通費など)を支払うことを前提に、その企業が支払うコストに見合うだけの仕事をきちんと行うように指導し、社会人疑似体験をさせようとしており、こうした企業、インターンシップ生双方の「真剣勝負」がこれまで成果を挙げてきているように思います。
 例えば、廃棄物処理会社が多角化事業として進める「思い出リサイクル」ショップの店長をこの学生たちに責任と権限を持たせて任せて結果を導き出させ、企業にとってもメリット、学生にとっても自信と経験というメリットを付けさせようといったアイデアが当該インターンシップには散りばめられており、そうした活動を通して地域企業の活性化を図りつつ地域の若者達に経験という最高のプレゼントをしています。
 このような地域に根を張った活動が各地で拡散していくと「元気で住みよい地域」が更にこの日本で増えていくのではないでしょうか?
 このような活動が拡大していくことを期待したいと思います。

[鳥取の勉強会]
 一方また先日は鳥取県に伺い、国際ビジネススタートアップセミナーで講演をさせて戴きました。
 鳥取大学の留学生も含む学生さんたち、地元の多くの財界人の方々と四時間に亘り、講演とケーススタディーに基づくディスカッション、そしてその後の懇談会とじっくりと皆さんたちとのお話を楽しみました。
 そして、こうした対話の中で強く感じたことは、鳥取の人々が地域を愛し、地域の発展を意識しつつ、自社や地元企業の発展のどのように関わっていくかを真剣に考えていらっしゃることにあります。
 即ち、高い目的意識を以って地域発展の方策を考えており、厳しい経済環境の中、発展の道を模索するため、様々な立場の方々が知恵を絞っていらっしゃいます。
 そして例えば実際に金融機関を辞められ、ジュエリービジネスを立ち上げたばかりの若い女性経営者をはじめ、多くの財界人にも今回、お会いすることが出来ました。
 こうした土壌のある鳥取には、今後も更なる発展の可能性が潜在的にあるとわたしは感じています。
 色々な地域を見ていますが、直感的には、この鳥取、例えば宮崎県などと比較すると物価は高いそうですが、人間的生活を送るには過ごしやすそうな地域であり、ここに「職場機会」がより多く造成されていけば、より魅力的な街となるものと感じられ、そうした視点からの地域経済活性化(即効性のあるものとしてはやはり企業誘致と県民の起業・創業支援でしょうか?)の方策を組み立てていけばよいものと感じました。
 またホテルでNHKの中国地域の番組をみておりましたら、かつての学生服の産地・岡山県児島市のジーンズメーカーの活躍を捉えていましたが、家内工業的でかつ、その家内工業の皆さんが組織化された縫製さんを上手に使い、ジーンズに模様を入れたり、わざと傷をつけたりしながら、高くても品質の良い個性的に物を買おうとする消費者の意識変化に敏感に掴み、国内の消費構造の変化に合わせた「付加価値の高い」製品造りに励む姿を捉えていました。
 人件費を含む生産コストが相対的に高いと言われる日本では、やはりこうした高付加価値化に伴うビジネス拡大がもっとも時代に即した対応の仕方である感じました。
 そして更に私が重要であると感じたことは、例えばジーンズメーカーがこうした高付加価値化に走ると、縫製機械の高度化や染料の品質高度化なども求められ、周辺産業にも新たなビジネスチャンスを生み出すことであります。
 こうした地域、そして日本全体が国内と世界の上層部の消費層を狙ったビジネス拡大に入れば、日本・地域を拠点としたグローバルビジネスがもっともっと幅広く展開できるのではないでしょうか?

  来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京 三菱銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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