[地方に必要な行政主導の金融支援とは?]
私は最近も日本各地を回らせて戴き、地域経済界のリーダーの皆様方や各地の企業経営者の方々とお話をさせて戴く機会を頂戴し、様々なお話を伺っておりますが、こうしたディスカッションの中で、各地に共通し、そしてただ一点、私が皆様方に強く、強くご報告を申し上げておきたいことは、
「日本経済を支える中小・零細企業、特に地方の中小・零細企業の多くは資金繰りに苦慮している。」
ということであります。
これは、景気がよい会社であっても一部には見られることであり、場合によってはこうした会社の「黒字倒産」もあり得るということを含めての私のObservationでありますが、こうした状況に対して、地方自治体としては、もしも金融支援策を立てる余裕があれば、或いは財政が苦しい中にあっても金融支援を実施する気があるのであれば、
*起業支援も含めた前向きの金融支援
と、
*セーフティーネットとしての金融支援
を、もっともっときちんと、より明確に分類して、具体的な金融支援策を立案すべきであり、前者は金利や融資期間をはじめとする融資条件を、後者は担保条件やキャッシュフロー分析・審査を甘くするといった融資条件をそれぞれ緩和・調整しながら立案していく必要があるということを改めて感じております。
そして、願わくは、小額でもよいので、地方自治体が、雇用面や今後の産業展開面でその地域経済の基幹となる中小・零細企業に対して、出資をし、またそれを呼び水として地域金融機関の運転資金融資を当該中小・零細企業に呼び込む仕組みを構築することが必要であると感じました。
先月も申し上げましたが、定性分析で見た地域経済は決してよいものとはなっていないと私は感じています。
[新規ビジネスを生み出す行政主導の経済支援とは?]
さて、地方自治体の経済政策の中には、セーフティーネット的な支援と共に、地域経済に活気を与えるような支援策が必要であり、皆様方のお住まいになる埼玉県や埼玉県の各基礎自治体・市町村は、他地域に比べると、そうした支援の厚い、即ち、行政マンの方々が民間企業の側に立ったアイデアと行政サービスを実施している地域ではないかと私は感じておりますが、例えば、愛知県でもそうした支援策の拡大に注力されています。
例えば、現在愛知県では、Greater Nagoya Initiativeの枠組みの中で、
「中国は今後環境問題に注力してくるはずである。」
との認識の下、先ずは中国政府に対してアプローチ、中国側に環境関連技術を受け入れたいとするニーズがあることを確認した上で、今般、上海に地域の環境関連企業をミッションとして派遣されることを決めており、これまで各地で見られた単なる投資ミッションや視察団から脱皮し、こうしたTarget Projectを推進されることを計画されています。
そして、更に愛知県では、
「中国ビジネスは決して簡単なものではなく、地域企業が技術だけ吸い取られて、実際の利益・メリットを享受できないことを回避するために」
今回のミッションに参加される企業(今回は18社が参加の予定だそうです。)に対して、事前の中国勉強会を実施、中国ビジネスの基礎を学ぶ会を数回に亘って開催すると共に、地域の総合商社やメガバンクにも声をかけて、実際にビジネスが展開をする際には、地域企業のビジネスを実務面からもサポートするというきめ細かい行政サービスを準備されています。
そして、このような動きは皆様方の埼玉県や愛知県のみならず、熊本県や鳥取県、福島県など、あちこちで見られ始めるようになっていると私は感じています。
こうした地域の動きが、前述した金融支援と共に、もっと充実してくれば、まだら模様の日本経済が、各地で特色を持ちつつ、再拡大してくるものと私は確信しています。
皆様方は如何、ご覧になられていますか?
来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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