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2006年11月[Sanada発 現場から]


「欧州金利から見た円米ドル為替について」

 

[欧州金利から見た円米ドル為替について]
欧州中央銀行(ECB)は去る10月5日の定例理事会で、ユーロ圏12カ国の最重要政策金利を現行の年3%から3.25%に引き上げました。
インフレ懸念が強いと判断したことが利上げの理由であり、10月11日から利上げが実施されたのであります。
欧州金利の利上げは2カ月ぶりで、また2005年12月から5回目となっています。
そしてECBでは、
「2007年にかけて消費者物価上昇率は2%を上回るであろう。」
との予測をしています。

  欧州では、原油価格の急落で、やっとインフレ圧力がやや緩和してきており、9月の消費者物価指数が前年同月比1.8%増と、2%を下回っているが、8月のマネーサプライが同8・2%増、金融機関の民間への貸し出しが同11.3%増と高い伸びを示しており、ECBはこれらを背景に利上げに踏み切ったものと言えましょう。
そしてこうした状況下、今月については、景気動向も睨みつつ金利は3.25%に据え置かれました。
しかし、国際金融市場では、
* 12月7日の定例理事会での追加利上げの可能性がある。
* 来年には追加利上げの可能性が更にある。
と見ており、実際にトリシェ総裁は12月の利上げの明確なシグナルを出し、来年の利上げについては、明確なコメントは回避したものの、
「金融政策について必要な対応を行う。」
とコメントし、その追加利上げについては、その可能性は弱いながらもここで一旦示唆したと受け止められています。

 そして今月の動きについて、国際金融市場では事前に12月の利上げ(レポ金利3.25%→3.50%)を織り込み、また来年半ばにかけての0.25%程度の更なる利上げについてもある程度織り込んでいたため、今回は市場金利、為替相場は共にほとんど変動がなかったと言えましょう。
 但し、私の見るところ、欧州が利上げを明確にすればするほど、欧州勢は米ドルと比較的パラレルな動きを示す「円」に対しては不満をぶつけてくるものと思われ、日本の低金利状態が続く中、対米ドル円高圧力をかけ、調整を促す可能性もあると思います。
  もちろん、朝鮮半島情勢など不確定要素が多く、簡単に、また一方向での円高トレンドは具現化しにくいとは思いますが、欧州勢の金利情勢を意識した上での「円米ドル相場に対する関心」といったものは為替相場を見る上では今、一つの重要な切り口となると見ておきたいと思います。

[強い日本のモノづくり]
  国際金融の世界にいた私から見ると、上述したような金融情勢がマクロ経済に与える影響は大きく、またこれがモノづくり企業も含めて企業業績にも影響を及ぼすと考えていますが、日本のモノづくり企業は大変強いと最近感じています。
  そして私のところには定期的に、皆様方の地元である埼玉県川口市に本社を置く企業様からいつの日か「産官学」の橋渡しの為の情報紙・繋情報という資料をご送付戴くようになりました。
  この繋情報には毎回様々な情報が満載されており、最新号にも、
「サトウキビからバイオ燃料生産」
「相次いで高度医療機器事業に進出」
「自動車用組み込みソフトウェア開発を支援」
といった見出しの下、具体的な企業情報、行政の支援体制、大学や研究開発機関のSeeds情報などが出ており、とても参考になっています。

 ところで、この繋情報では、技術情報のみならず、
「人材」
にも焦点を充てた紙面作りがなされており、これに対して、私はとても高い関心を持って拝読しています。
  私も仕事柄、色々な業種や規模の日本企業を訪問しておりますが、こうした皆様方とお話をしていると、日本のモノ作りを支えているのは高度な技術であり、その高度技術を支えているのは「人材」である、よって今、日本では、歯を食いしばってでも良い人材の育成に努めなければならないというお話を最近はしばしば伺うようになっています。
  そしてこうした状況下、今回の繋情報によると、
「厚生労働省が専門学校などの教育訓練機関と企業が一体となって人材育成を進める“実践型人材養成システム普及のための地域モデル事業”を2007年度予算に約200百万円で盛り込むことになった。」
との情報が掲載されています。
  このプログラムは正に人材不足に悩む地方の中小企業の即戦力を養成することに繋がっていくものと思われ、その効果が期待されます。
  今後もこのような「人づくり」に向けた動きが日本国内で高まっていくこと、そしてこれが日本経済の再生の為に役立っていくことを期待したいと思っており、またそのためにも繋情報のようなビジネスの橋渡しが出来るような情報がたくさん発信されていくことを望みたいと思います。

 また核拡散問題と日本の産業技術力を意識して、私が尊敬する大学の大先輩であり、また名古屋の技術力の高い中堅企業の経営者でいらっしゃる方からは次のようなコメントを戴きました。(全文ではなく要点のみとし、私がその要旨を纏めてみました。)
「核拡散は、防ぎようがない状況になってきました。
これをブレークスルーするには、核兵器を無力化できる”盾”の様な兵器、ピンポイントで、核兵器、関連施設を無力化できる(例えば、レーザー)兵器の開発に当たることなどが必要であり、こうしたことは日本にとってはチャンスかもしれないと思います。
科学が発達すれば、エスカレートは、止まないと思います。核廃絶より、現実性があると考えます。」
 優秀な人材を背景とした「モノづくり」の側面から見た安心、安定的な世界構築に日本が日本の特性、強みを生かしてよりコミットしていく、産官学連携の中でこうした技術開発を国家プロジェクトとして推進することも面白いのではないかと私も思います。

 国際金融市場の動きも意識しつつ、読者の皆様方には是非「強い日本のモノづくり」を更に具現化して頂ければと思います。
 またその為に私も何かお手伝いができれば幸いであります。
 来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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