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2007年1月[Sanada発 現場から]


謹賀新年

 

謹賀新年

皆様、新年、明けましておめでとう御座います。
本年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回は年初、米国、日本、そして中国本土、韓国の経済概況を眺めた上で昨年末に訪問したマカオについて、簡単にご報告をしてみたいと思います。
 先ずは米国経済について。
 今年もやはり世界経済は米国経済の動きを一つの基軸に動くものと考えています。
 そうした意味で米国経済の現状認識は大変重要でありますが、最近の米国経済に関するトピックスを簡単に列挙すると次のようになるものと思います。
(1) 米国政府が2006年末発表した2006年第3四半期の国際収支統計によれば、経常収支の赤字額は前期比+84億米ドル拡大して2,256億米ドルとなり、名目GDP比率も過去2番目となる6.8%まで上昇したとコメントされており、米国経済の先行き不安の一つの背景となっています。
(2) また所得収支の赤字傾向も見られていますが、資本収支を見ると、米国による対外投資、海外からの対米投資がともに増加している点は注目されます。
(3) 一方、半期為替政策報告書を見ると、中国本土経済、人民元問題に対する批判を弱めています。私は民主党の中間選挙勝利により、今後中国本土経済に対しては圧力を強めると見ていましたが、やや意外な感がありました。本当に今年はこうしたスタンスで米国政府が中国本土政府に接するのか注目したいと思います。
(4) そして、財政に目を向けると、連邦財政赤字の削減などが進展、貯蓄・投資バランスの悪化に歯止めが掛かってきたとの見方がなされています。そして国際金融市場では、この流れを強化する政策が加えられるなら、経常収支赤字は国内経済への悪影響を伴わずに調整されようし、米ドルの底を堅くする結果にもつながる公算が高いと見られています。

 次に日本経済について。
 日本経済については、2006年末に内閣府と財務省が2006年10〜12月期の法人企業景気予測調査結果を発表しましたが、これによると、大企業全産業の景況判断指数は6.4となり、同7〜9月期に比べて4.1ポイント悪化しました。
指数悪化は2四半期ぶりとなっており、IT(情報技術)分野の在庫調整局面への懸念などが背景にあるとみられています。
しかし、本年1〜3月期の景況判断の見通しは上昇するとの回答が多く、内閣府では、 「企業活動は当面、好調を持続する。」 とコメントしています。(尚、今回の調査は2006年11月25日時点で実施し、約11,400社が回答、ご高承の通り、景況判断指数は自社の景況が前期より「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を差し引いて算出しているものであります。)
 こうした状況下、わが国の通貨の番人である日本銀行では月内利上げの方向で調整に入っているようです。
 景気回復、いざなぎ景気を超える好景気と言われながら、何故、日本の金融世界は低金利に留まるのかと不審の目を向けてきた海外勢に対して、これで日本も普通の国に向かった方向性を示せるのでありましょうか?
 特に私の見るところ、史上最高の純益を上げたと言われながらも本業の利益を示す業務純益の改善に力強さが見られぬ中、金利を反転、引き上げていくと、一般事業法人のみならず、多くの金融機関がまた経営に四苦八苦しないか、これがひいては日本経済に悪影響を与えないかとの懸念があります。
 日銀では昨年度の主要経済指標を詳細に分析した上で、景気回復に底堅さを感じたとの背景から利上げに向けた環境が整ったとの判断をしているようでありますが、経済成長路線を標榜している現政権内部にはまだ利上げには慎重論もあるそうで、もう少し、状況を見守りたいと思います。

 そして中国本土経済の2006年の経済速報について。
 中国本土政府・国家統計局は2006年の経済成長率について10.5%成長を記録したとの暫定推計を発表すると共に、経済は安定的であり、今後も経済政策は基本的には不変、ビジネス環境も安定的に運営していきたいとコメントしています。
 加熱経済の破裂が懸念されながらも、今年も中国本土経済は高度経済成長を維持しつつ堅調に推移するのではないかと見られている点、注目しておきたいと思います。
 尚、国務院が発表した2006年の主要経済指標は以下の通りであります。
国内総生産成長率: 10.5%
消費者物価指数: 1.3〜1.4%
固定資産投資増加率: 26〜27%
工業生産増加率: 17%
貿易収支黒字額: 1,700億米ドル
前年新規与信額: 3兆人民元
財政収入: 3兆9,000億人民元〜4兆人民元

 最後に韓国経済概況について。
 韓国の主要紙である朝鮮日報が纏めた国内主要研究機関発表の主要経済指標の平均値は以下の通りとなっています。
 景気減速が見られた韓国経済は、ウォン高、原油高、原資材高、国内不動産投機問題、海外への資本流出懸念などを背景に今年は更に経済成長に鈍化傾向が出ると見られている点、留意しておきたいと思います。

  2006年 2007年
経済成長率(%) 4.6 4.11
一米ドル当りウォン為替相場(ウォン) 1,037 913.5
失業率(%) 4.1 3.9
原油価格(ドバイ1バレル当り米ドル) 52.85 60.6
コスダック指数 1,456 1,490
主要経済ニュース項目 原油高 不動産市場不安

 さてまた昨年末は1999年にポルトガルより中国本土に返還されたマカオに行って参りました。
 ご高承の通りマカオの経済は賭博を含む観光産業と、織物や花火の生産に大きく依存してきましたが、経済分野の多角化政策が推進された結果、小規模ながら玩具や造花、電子機器の製造業も始まっています。
 また衣類が輸出金額のおよそ4分の3を占めており、最近ではブルージーンズの生産が活発化し、中国本土生産の衣類よりも高品質の衣類が生産されていると言われています。 更に域内総生産の40%以上は賭博に依拠すると推測されています。
 そして2000年には800万人を越える観光客がマカオを訪れ、近年では、本土の中国人が賭博と観光の成長を押し上げる主な要因になっており、また今回の訪問でも改めて感じましたが香港からの観光客も引き続き最も重要なマカオ訪問客となっています。
 ところで1998年頃には経済の暗黒面である暴力団の抗争により治安の悪化が伝えられましたが、観光産業はそれほど影響を受けず、今は外資系資本のカジノ・ホテルやご存知・ジャッキーチェン氏がオーナーである英国式ホテル・娯楽施設ビルも繁盛するなど、現在の観光産業を支える中核となっています。
 特筆すべきは2002年に、それまでスタンリー・ホー氏が経営する「マカオ旅遊娯楽有限公司」が独占してきたカジノ産業を、香港系の「ギャラクシー・カジノ」社と米系の「ウィン・リゾーツ」社にも開放したことで大きく発展、その後は外国からの投資が増え、観光客も1999年の750万人から2005年には1900万人と倍増しています。
 この間、マカオタワーも建設され、また埋立地は続々と増え、そこには新しい娯楽・宿泊施設や観光施設が建設され、こうした観光関連産業の隆盛でマカオ経済は大きく発展していると感じました。
 そしてまた経済は全くの自由体制が続いているとのことで、こうした状況下、例えば今も北朝鮮ビジネスは動いていると聞いています。  こうして聞いてみると、北朝鮮ビジネスを金融面から支えていたといわれる BANCO DELTA ASIA に対する米国の金融制裁は大きな効果があったと言えましょうが、それでもなお、マカオには北朝鮮関連ビジネスは残っているのではないかと感じました。
 そして未確認情報ながらも、北朝鮮は国連の経済制裁前にタイに対して1.3トンの金を売却したようなのですが(4,5月に売却された模様で、タイは1,030百万バーツを北朝鮮に支払ったと見られています。)、これも実際にはマカオに於いても一部のビジネスコンタクトがあったのではないかとも見られているようです。
 予想以上の大発展を続け、域内市民の生活水準は大きく改善したと言われるマカオではカジノや観光業の他、今も様々なビジネスが存在しているのではないかと改めて感じました。
 皆さんも一度、香港に行かれた際にはどうぞマカオに足を運ばれその発展をご覧になってください。

 

今年も一年、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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