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2007年2月[Sanada発 現場から]


日本経済、東アジア経済を考える上での国際経済動向あれこれ

 

―半導体景気と東アジア経済―

 日本経済、東アジア経済をチェックする際には、自動車関連景気と共に、半導体景気がどのような推移を示すのかについても注目をしていく必要があると考えています。
 こうした中、米国半導体工業会は2006年の世界的に見た半導体業界の売上高について、前年対比8.9%増の2,477億米ドルとなり、3年連続で過去最高を更新したと発表しています。
 そして、市場拡大トレンドが鈍化したパソコンに代わって、携帯電話など一般消費者向け機器が半導体関連需要をけん引したとの総括がなされています。
 また直近の状況を見ると、12月の売上高は前年同月対比9%増の217億米ドルとなっており、半導体市場では2005年夏に在庫調整局面を過ぎて以降、ずっと成長が続いているとの見方が顕著になっています。
 携帯電話のほか、記憶容量の増加が続く携帯音楽プレーヤー、高品位テレビ向け半導体の需要が増えており、更に今年はウィンドウズ・ビスタの登場によりパソコンの需要も若干拡大するのではないかと見られ、増加トレンドが今後も続くのではないかと見られています。
 こうしたことから、2007年の世界全体の半導体の売上高は前年対比10%増の2,738億米ドルと予測されており、米国半導体工業会では、
「世界的に半導体景気は堅調である。」
と、成長持続を期待する見方を示しています。
 これをベースに考えると、半導体関連産業に依拠するウエイトの比較的大きい東アジア経済にとってはこれがプラス材料に働くと見ておきたいと思います。

―米国景気と東アジア経済、そして円相場展開―

米国経済との関係が深いことから、日本を含む東アジア経済を見る上では、米国景気をチェックすることが重要なポイントとなると私は考えています。
そしてまた現在、そうした意味で米国景気をチェックする際にはやはり、物価動向とこれに絡む原油・原資材価格動向、そして金利動向が気に掛かります。
さて、こうした視点を意識しながら米国の1月のFOMCの議論の動向を見てみると、

(1) FF金利誘導目標を5.25%のまま不変に留めた。昨年8月以降5回連続の政策金利据え置きである。
(2) 最近は経済成長が少しずつ堅調になってきた。住宅市場でも暫定的ながら安定化の兆しが現れている。更に向こう数四半期にわたり、経済は緩やかなペースで拡大しておりソフトランディングできるであろうとコメントしている。
(3) また、物価はインフレがここ数カ月、若干改善してきている。
(4) 但し、高水準にある生産資源の利用率がインフレ圧力を加え続ける可能性がありいくらかインフレリスクが残るとの厳しい見方も付言している。

との状況にあることが各所より報告されています。
  こうした米国金融当局自身の自己評価も意識しながら、今後も堅調推移が期待されている米国経済の詳細分析を続けていく必要があると思います。

 また、米国商務省が発表した2006年の米国の貿易収支動向を見ると、その貿易収支はサービスを含む国際収支基準に於いて763,588百万米ドルの赤字となっており、前年に比べて赤字額が6.5%も増えています。
 米国政府では、原油高による輸入の拡大が響いたことが大きな背景であるとしており、また5年連続で過去最大の赤字を記録しています。
 更に注目すべきは、対中貿易は5年連続の赤字となっており、また対日貿易も2年連続で過去最大の赤字を記録しています。
  即ち、2006年の貿易収支の赤字を国別(但し、サービスを除く通関基準)で見ると、対中貿易収支の赤字は15.4%増の232,549百万米ドル、対日貿易収支の赤字は7.2%増の88,442百万米ドルとなっており、米国にとっては大きな課題となっています。
  こうしたことを背景に、また昨年11月の中間選挙の結果を受けて歴代、通商問題、為替問題には厳しい姿勢を示す民主党が米国議会を制したことから、今後、中国本土、そして場合によっては日本に対しても、米国は貿易不均衡の是正を、そして人民元高、円高を要求してくる可能性はあると見ておきたいと思います。

―欧州景気と円為替相場見通し―

 一方、欧州連合の統計局は、
「2006年10〜12月期の域内総生産(GDP)速報値を発表していますが、これによると、EURO12カ国域内のGDPは実質経済成長率が前期対比0.9%増となり、通年では同2.7%増と6年ぶりの高い経済成長率を記録した。」
と発表しています。
 国別では、ドイツやイタリアが好調であったと言われており、10〜12月期は、域内の約3割と域内最大の経済規模を誇るドイツが、輸出のみならず設備投資が好転、これに続いて個人消費も改善したことなどから0.9%の成長を記録したことが全体の成長を押し上げる大きな要因であったと分析されています。
 こうしたことから、米国、日本と共に欧州でも景気が堅調に推移していると見られ始めており、今年前半の世界経済にも好影響を与えるものと期待されています。
 またこうしたことから、欧州通貨高は更に進展するのではないか、その一方で、欧州は更に堅調となりつつある日本経済を反映すべく改めて円高を要請してくるのではないかとも見られています。

―円相場動向と日本経済―
また、日本経済を考える上では円為替相場動向に対して関心を払っていく必要がありますが、その円為替相場動向については、今回の七カ国財務省・中央銀行総裁会議を経て、少しずつ、「潮目」が変わる可能性が出てきているかもしれませんので注目しておく必要がありましょう。
  そして、その七カ国財務省・中央銀行総裁会議の内容をここで簡単に総括してみると、

米国経済は堅調に推移、日本経済の回復も順調、そしてユーロ圏経済も回復の基盤を強化しており、先進国経済は総じて好調に推移している。
昨年、世界経済に悪影響を及ぼした原油・エネルギー価格が下落安定化、インフレ圧力の緩和が見られる中、金利上昇トレンドにも一服感が見られている。但し、インフレに対しては引き続き慎重な見方をしておくべきである。
為替相場は実体経済を反映しつつ市場に於いて決定されている、或いは決定されていくべきであることが再確認された。欧州からは円安に対する懸念、そして全体的には人民元の切り上げ圧力、更に人民元のみならず、経常収支黒字を有する新興国・地域に対する為替相場高圧力が見られた。
エネルギーの多様化に関する国際協力の必要性が再確認された。

といった形となるのではないでしょうか?
  こうした中、日本経済については、
「経済成長の持続と円安の調整に対する期待が一層強まる。」
ものと考えておくべきであり、更にエネルギー・環境問題に対する日本の国際貢献が更に求められる、そしてここに日本が国際社会に於いて差別化を図り、存在感を持ちながら生き残っていくポイントがあるのではないかと考えます。

 今後の様々な角度から世界動向を注視し、日本経済の見通しも行っていきたいと思います。

 

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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