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2007年3月[Sanada発 現場から]


東南アジアと南アジア地域を含む広域地域のHUB

 

 今回はつい先日長期海外調査に入った雲南省の中心都市である昆明市とラオスとの国境都市である景洪市、そしてラオス国境口岸(出入国・通関事務所地域)の見学をした際の簡単な印象をご報告申し上げます。
 万一、より詳細なる報告が必要な方は直接、或いは事務局様を通じてご連絡ください。
 より詳細なる報告は事務局様にはお伝えしております。

 さて先ず景洪市は、昆明市とタイの首都・バンコクを結ぶ「南北経済回廊」の中国本土側の要衝であり、今後、飛躍的な地域産業発展が期待される地域であると私たちは認識していましたが、この地域、私たちの予想をはるかに上回る「東南アジアと南アジア地域を含む広域地域のHUB」として発展、更にこれに伴い、観光産業や花などの農産品、或いはタバコなどの農業関連の製造業のみならず、機械工業や冶金鉱業、バイオ、アグリ産業などの発展も急激に進んでいることを確認して参りました。
 もちろん、これまで、そして現在、東アジア地域のビジネス界のみならず日本のビジネス界でもタイ〜ラオス〜ベトナムを結ぶ「東西経済回廊(東西回廊と第二東西回廊の二本のルートが現在、検討、計画されています。)」の方が相対的に高い関心が向けられていることは十分に認識していますが、上述したような現状からして、私たちはこの中国本土〜ラオス〜タイを結ぶ「南北経済回廊」の発展も意外に早く、整備が待たれていたラオス国内の国道が中国本土、タイの協力により本年・2007年中には開通する見込みであることから、今後はこれまで以上に、雲南省を大いに注目することが出来ると考えています。
 特に、初期段階では、ビジネス面というよりも、中国本土政府の外交政策機軸のひとつとなっている周辺外交という側面から、インド洋と直結するミャンマー、そしてその周辺国となるラオスやタイなどとの国家安全保障面も含めた経済外交の動きが活発化するのではないかと感じられました。
 そして、これまで課題のあったラオスの環境整備に伴い、雲南省を含むメコン河流域地域は東西南北の幹線交通網(道路、水路、鉄路)が整備されることになり、これによる広域地域の経済発展も更に期待される訳であります。
 今回はその更なる発展に向かう広域地域の中核都市として発展している昆明市、景洪市の地域産業振興政策及び優良な地域企業の経営実態を正しく理解することが重要であると考え、現地に入りました。

 さて、今回の調査対象である雲南省は中国本土の南西部国境地帯に位置し、南部辺境の発展地域のひとつとして注目されています。
 総面積は39.4万平方キロメートルとなっており、中国本土全体の国土面積の4.1%となっています。西部はミャンマー、南部、南東部はそれぞれラオス、ベトナムと接しており、東西・南北回廊の中核としてもまた注目されています。
 地域全体はほぼ高原となっており、大部分は海抜1000メートル以上となっています。高原のほかにはまた、山地や丘陵、平原、砂漠、河川、湖などの地形もあり、風光明媚な観光地域としても、もちろん有名であります。
 更にまた、広く、雲南省・広西壮族自治区、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムに目を向けると、この広域地域には約3億人がおり、1991年のカンボジア和平以降はこの地域の共同発展に向けた国際的な関心は高まり、2000年には国連に於いて「メコン地域開発協力の10年」が決議されるなど、アセアン域内格差の是正などを意識した本格的な開発が進み始めています。(因みに、2005年基準で、アジア開発銀行が示した貧困率を見ると、カンボジアが34.7%、ラオスが32.7%、ミャンマー26.6%、ベトナム19.5%とアセアンに後発組とした参加した四カ国の貧困率は高く、またアセアンの経済的優等生であるタイでも貧困率は9.8%となっています。)
 更にまた、今年のアセアン+3の会合に於いて、中国本土がより強いコミットをこの地域の開発に対して行っていくという明確なメッセージを示し、この地域の開発の主役として中国本土が一躍注目されるようになってきていることを忘れてはなりません。
 ところで、中国本土辺境地域の課題としてはしばしば交通・物流網の脆弱性が指摘されますが、ここ雲南省の交通・物流網も、これまでのところは必ずしも「よい」とは言えない状況にあったと思います。
 しかし現在、既に国有鉄道幹線が14本、支線が12本、地方鉄道が5本あり、総距離は7,083キロメートル余となっており、北京―通遼鉄道、北京―包頭鉄道、包頭―蘭州鉄道などが東西の方向に走り、東北地方、華北地方と西北地方を結ぶルートが一応は確立されており、道路網も道路総延長は63,000キロとなっています。 また産業面に目を向けると、雲南省政府は以下のような産業に注力しています。

1. 農産物・畜産品を原料とする加工産業および農業・牧畜業の総合開発
2. 水利、電力、交通、対外窓口、小都市などの基盤産業およびインフラ整備、その他の公益事業
3. 希土類を原料とする製品、バイオプロジェクトの開発、生産および自治区科学技術庁に認可された他のハイテク製品の開発、生産
4. 観光資源および観光地の開発、建設
5. 荒れ山、傾斜地、谷間の整備、砂漠化対策プロジェクト、耕地を林地(草地)に戻す経営プロジェクトおよび他の環境保全プロジェクト
6. .鉱産資源の探査、採掘、加工
7. ファインケミカル、石油化学、石炭化学の付属製品の生産加工
8. 新型建材の開発、生産および廃棄物リサイクルプロジェクト
9. 買収、合併、株式保有、持ち株などによる内蒙古企業に対する資産再編

 そして、日本との関係を見ると、雲南省住民の日本に対する印象は一般的に見ると悪くないようであります。
 こうした中、例えば、日本政府の「利民プロジェクト」の無償援助により、雲南省の辺境地に村民診療所2か所が建設されることになり、現地の人々の医療衛生環境の改善が進むことを期待する声が出ています。
 日本の「利民プロジェクト」の無償援助を現地の教育、医療衛生、インフラ建設に繋ぎ、これらのプロジェクトの実施で人々の生活環境が改善されている、或いはされていくであろう点が高く評価されているものと思います。
 このような対日意識は、現地の様子を調査する上で、私たち日本人にとっては大変心強いものでありました。
 尚、今回の海外調査出発前日の2月28日にちょうど、第10期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第26回会議が開催され、武大偉外交副部長が昨年10月10日に北京で署名した、中国・ベトナム・ラオスの3カ国国境交差地点の確定に関する条約の批准を決定したと報告されました。
 これにより、中国本土・ベトナム・ラオスは改めて3カ国の国境交差地点の確定を行い、更に正常なる経済活動を推進する基盤が強化された、よって更に経済的な発展が期待されるという認識が出ている点も注目しておきたいと思います。

 雲南省、そして東南アジアとの国境付近のビジネス環境には、まだまだいくつかの根本的な課題や現状での問題があるものの、今後様々な意味で発展の可能性、潜在性があると思われ、引き続き、大いに注目をしていきたいと改めて感じた次第でありました。

 

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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