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2007年5月[Sanada発 現場から]


「韓国から見た米国と日本」

 

 私のこのレポートでは、これまで米国に関するご報告をあまり申し上げておりませんが、先日、久しぶりに米国・西海岸を訪問して参りましたので簡単に皮膚感覚で感じた米国の雰囲気を、やはり先日訪問をした韓国から見た米国と日本と合わせて、ご報告申し上げたいと思います。

[韓国から見た米国と日本]
 米国などでの報道にも、先の安倍首相の訪米時に開催された日米首脳会談の際に、慰安婦問題が取り上げられたことに関してのコメントが出ていましたが、韓国国内では、これに関して、
 「慰安婦問題について信じられないことが起こった。
 安倍首相はブッシュ大統領に対して、慰安婦の方々を非常に困難な中でつらくて苦しい状況に追いやったことに対して、人間として首相として、心から同情しており、申し訳ない思いだと謝罪した。
 これに対してブッシュ大統領は謝罪を受け入れると応えた。
 しかし、日本の首相はなぜ慰安婦の人々ではなく米国の大統領に謝罪し、また米国大統領は何の資格があってその謝罪を受け入れるというのか。
 第2次大戦当時、日本軍に連行され集団で性暴行にあい、強制的な堕胎、電気拷問などの蛮行を受けた被害者はブッシュ大統領でもなく米国国民でもない、韓国や中国などアジアの女性20万人だ。
 ところでまた、安倍首相は官房長官だったときに日本軍慰安婦について、虚構であり、マスコミが作り上げた話であると語っていた。
 首相になってからは慰安婦を強制的に連行したという証拠がないとも語った。
 安倍首相はこのように事実を歪曲したことから米下院に日本軍慰安婦決議案が提出されると、突然あわて始めた。
 そしてブッシュ大統領に電話をかけて説明し、米国に行くとブッシュ大統領に謝罪する前に議会の指導者たちにも説明した。
 これに対してブッシュ大統領は安倍首相の率直さを評価するとこれを評価した。
 しかし実際には安倍首相の態度が変わる気配はない。」
 と厳しい目を向けています。
 これはアジアに存在する日本としては、大変難しい問題であり、きちんとした対応を取らなければならないと思いますが、私が更に気にしておりますことは、こうした日本に対する厳しい、また日本は米国の属国ではないかとの見方の延長線上で、
 「事実上、米国の信託統治国となっている日本は、米国の指示の下、米国のコントロール下で自衛隊の強化に入っている。
 そして、その自衛隊の強化を合法化するために、現在、憲法改正作業を推し進めている。
 これは、日本の軍事的侵略を受けた韓国や中国本土にとっては、今後は米国と北東アジアの間に緊張関係が万一発生すれば、日本軍(自衛隊との表現ではなく軍との表現が出ています。)は間違いなく、今度は米国の先兵部隊として東アジアに入り込んでくる。
 日本は米国の指示を受けていることを隠して、国際貢献という優しい言葉を使って周辺国を納得させ、自衛隊の強化、そしてその背後にある改憲を進めようとしているが、我々はこうした日本を信用できず、更にはその背後にある米国の動きにも注意を払わなければならない。」
 との更に厳しい目を日本に向けている人がいるということであります。
 私はこうした厳しい批判に触れるにつけ、日本という国家は、第二次大戦の敗戦を乗り越え、真の主権国家として米国とも開発途上国などを含むその他の全ての国家とも対等なる外交関係を結べる、そして日本というアイデンティティをきちんと守れる国際外交をもっとはっきりと展開していかないと、上述したような形で韓国人が言うとおり、日本は本当に信託統治国となる、そしていつの間にか国家としても体を失ってしまうのではないかと危惧しています。
 そして、やや自虐的な見方かもしれませんが、東アジアでの仕事をすればするほど、東アジアに於ける日本の「国家としての品格」は低く見られ、日本は尊敬されていないのではないかと感じてしまいます。
 もちろん日本は米国と喧嘩をする必要は無い、しかし、日本国はきちんと日本国としてのスタンダード、視点から是々非々で、米国、そして世界のあらゆる国々と意見交換をしていけるような外交スタンスを持つべきであり、その結果として「平和的」な解決策を見出していく術を見つけていくべきであると私は考えています。

[皮膚感覚で感じる米国の現状]
   今回は久しぶりに米国の西海岸に入り、こちらから見た東アジアの見方に触れましたが、いつも感じることながら、東アジアに対して、こちらの一般庶民はやはりあまり関心を持ってない、またビジネスマンも特殊な人を除き、あまり深い関心を東アジアには向けていない、但し、東海岸の人よりは関心が高い、そうした中で日本に関しては、相対比較において、韓国や中国本土よりも信頼感を置いている、よって外交パートナー、ビジネスパートナーとしては相対的には高い評価がつけられている、しかし、当地でも最近、人民元高やウォン高などを背景に、韓国人や中国人のプレゼンスが、いい意味でも悪い意味でも更に強まる中、日本人に対する関心が弱まる傾向にあることは否めないといったことを感じました。
 更にまた、米国が慰安婦問題を通して安倍政権に揺さぶりを掛けている一つの背景としては、安倍政権に対して全く違う問題から揺さぶりをかけつつ、憲法改正を急がせたいという戦略的な動きが見られるといったコメントが米国人のごくごく一部からはあり、私としては興味を持ってこうした意見に耳を傾けました。
 また、米国経済の動向については、ロスアンジェルスから眺める限り、景気の力強い回復はやはりあまり望めないのではないか、もちろん大幅な減速は無いにしても、決して好調とは言えず、米国経済が東アジアの景気を牽引するほどの牽引力は感じられないと思いました。
 やはりニュースにて報じられている通り、一般的に見ると、不動産関連景気が不振となってきており、これが一つの大きな背景となっている、またガソリン価格の高騰と国内景気の不透明さを背景に新車自動車販売台数は各社とも軒並み減少、4月には前年同月対比7.6%減(各社別に見るとGMは9.5%減、フォード12.9%減、トヨタ4.3%減、ホンダ9.1%減、日産18.0%減となっており、ダイムラークライスラーは1.2%の微増となっています。)となるなど、やはり米国経済の実態は決して好調とまでは言い切れないようであります。
 そしてまた、労働者一人当たり生産性が本年1〜3月に1.7%と、巷の予想よりは良かったようですが、昨年10〜12月の2.1%を下回り、また金利を5.25%に意識的に据え置きつつ、そして多分今年秋までは少なくとも金利をこのままの水準に据え置きつつ、物価を何とかコントロール出来ていくであろうことから、取りあえずの問題は顕在化していかないであろうが、不動産関連景気が厳しい、また労働コストも今年は平均3%程度引きあがる見通しがあることなどの状況にあることから、米国の景気先行きにはやはり不安感が存在していると感じました。
 更にはこうした中、米国政府、議会共に最近では、対中貿易のインバランスをしばしば指摘するようになってきており、財務省なども対中貿易は正しい方向に向かうべきとの姿勢を強めており、国家として、対中貿易赤字是正に向けた動きを更に強化、特に議会からのこうした動きが今後一層強くなるのではないかとのコメントが示されていた点も注目されました。
 引き続き、米国経済と米国から見た東アジア情勢については、細かく分析を続けていくこととしたいと思います。

[円米ドル為替相場]
 今月のレポートの最後に、円米ドル為替相場動向について、簡単にコメントをしておきたいと思います。
 為替のプロである私の友人によると、
 「為替市場参加者が新規材料を決めあぐねる中、改めて“金利"、そして“YENキャリートレード"に沿った相場展開となっている。
 このような中、向こう1,2ヶ月の利上げの可能性が高いGBPやEURが金利見通しに即して買われ、政策金利引下げ観測が高まっているUSDや絶対的水準が極端に低いYENが売られるのは説明がつきやすい。」
 との見方が示され、更に、
 「USDとYENの“2弱通貨"においてUSDに比較優位があるのは、本邦個人投資家による旺盛な外貨資産購入意欲があるからにほかならない。
 投資信託協会の統計によると本邦投資家の外貨建て投信の残高は遂に3兆円を超えた。
 今週もこの傾向が続きやすい。通貨オプションのボラティリティが低下傾向にあることもYENキャリートレードを助長する環境となっており、USD/YENは堅調推移となろう。」
 との意見を貰いました。
 アジア通貨とは異なる動きを示す「円」、私が予想していた以上に円の弱含み推移は長いようであります。
 為替相場動向は、皆様方のビジネスに直接影響を与える可能性もあり、今後も更に分析を加えていく必要がありそうです。

 尚、雑談になりますが、今回はラスベガス(因みに、ラスベガスの街は今も不動産開発関連工事が多く、依然として拡大中とのことで、他の米国の地域経済とは少し様子が違うと現地の皆が口を揃えて言っていたのが印象的でありました。)に入り、そのままグランドキャニオンに入りましたが、その雄大さは中国やモンゴルとはまた異なるものでありました。
   私の友人がかつて10代の頃、このグランドキャニオンに入り、トレッキングとキャンプをし、その時に、
 「自分の人生は、このままではいけない。
 米国に渡り勉強をしてスキルをつけよう。」
 と感じ、決意をし、その後、米国で博士号を取り、現在は日本で活躍していますが、このグランドキャニオンには正に、大自然の中で人の心を動かす何かがあるように、私も強く感じました。

 

来月もまた、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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