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2008年2月[Sanada発 現場から]


「拡大する中国本土経済」

 

 政治・外交大国であり軍事大国である中国本土は、ここに来て急速な経済発展を遂げ、国内総生産基準世界第四位、経済大国の中での経済成長率で世界第一位、貿易総額で世界第三位、外貨準備高で世界第一位を記録、経済大国としても注目すべき存在となっています。
 そしてまた中国本土政府・国家統計局は、2007年度・暫定統計の中で、
「2007年の国内総生産(GDP)は24兆6,619億人民元となり、前年対比11.4%増となり、経済成長率は5年連続で二桁台となった。
  国民経済は急速な成長、構造の最適化、利益の上昇、国民生活の改善などが進む良好な運営状況にある。
  農業生産が安定的成長を続けており、穀物生産は再び豊作を記録、通年の穀物総生産量は5億150万トンに達して、前年対比350万トン増加している。
  工業生産は急速に増加し、企業利益も上昇した。
  通年の一定規模以上の工業企業(国有企業または年商500万人民元以上の非国有企業)の生産額は前年を18.5%上回り、増加率は前年比1.9%増となった。
  また、固定資産投資も急速に伸びており、不動産開発投資も伸びが目立って加速、通年の固定資産投資は13兆7,239億人民元で前年を24.8%上回っている。
 通年の不動産開発投資は2兆5,280億人民元で前年対比30.2%増、一方、市場での売り上げも急増、通年の社会消費財小売総額は8兆9,210億人民元で前年対比16.8%増加した。」
と総括、速報どおり、昨年度の中国本土経済は、やや過熱気味ながらも、順調に拡大したと見ることが出来るのでありましょう。
  こうした状況下、中国本土政府・商務部はやはり暫定基準ではありますが、対外交易状況について、
「中国本土の対外貿易はここ5年間で発展を遂げ、輸出入総額は2002年の6,208億ドルから2007年は2兆1,738億米ドルに増加し、年平均増加率は28.5%に達した。
  この5年間は改革開放以来、最長の成長周期、最速の成長ペースを実現しつつ、最も安定した成長ペースを維持した時期となった。
  また世界貿易ランキングでは2002年の6位から2007年は3位に、特に輸出は2位に躍進している。」
と発表しています。
  また、貿易拡大と密接な関係がある外資導入と対外投資協力についても、中国本土政府は、
「新たな発展を遂げた。」
と総括した上で、外資導入額は2002年の527億米ドルから2007年には747億米ドルに増え、15年連続で発展途上国のトップに立つ一方、対外投資額は2002年の25億米ドルから2007年には約7倍の200億米ドル(推計値)に増加し、世界ランキングは26位から13位に上昇し、特に発展途上国の中ではトップに立っているともコメントしています。
 こうした中国本土の対外交易の発展は当然に中国本土の世界経済に対する影響力の増加にも繋がり、更にまた、私の認識では、
「中国本土政府は、こうした拡大する交易実績を背景にしながら、世界の貿易のルールに中国本土の考え方、商習慣といったスタンダードを更に反映させたい。
 そうした意味でも開発途上国同士の連携を高めていきたい。」
としており、その影響力は、実態そのものはもとより、貿易ルールやスタンダードにまで拡大していくものと予想しています。
 引き続き、中国本土の対外経済状況についても関心を持って見ていきたいと思います。

[拡大する中国本土と共に注目されるアセアン諸国、そしてフィリピンの潜在力は?]
 さて拡大する中国本土と共に注目すべき地域として、インド、東欧、そしてやはりアセアン諸国が上げられるではないかと私は考えています。
 特にこのアセアン諸国10カ国各国は、中国本土との経済連携を強化しつつ、インドや豪州、ニュージーランドとも上手に接近し、その経済競争力を向上させてきています。
 そして、総製造コスト面では一般的には中国本土やインドには適わないものの、ビジネス最適地として捉えた場合、総合得点では、業種や商品、或いは投資規模などによってはアセアン諸国が中国本土などに勝ると言う可能性は十分にあり、やはり最適地選択に際しては、人件費などのコスト面ばかりでなく複合的な判断が必要となってくるものと考えています。
 また、こうしたアセアン諸国にあって、政治、社会情勢では一抹の不安があり、そうした意味でカントリーリスクが決して低くはないと思われる、しかしながら、優秀な人材を安価で確保でき、また英語能力も高く、古くから日本経済との関係が深いフィリピンをどのように見ていくかということは、今後、世界的視点から見た「ビジネス最適地」分析を行っていくうえでは重要な対象国となると私は思います。
  また、そもそもフィリピンの場合、国家としての評価と共に国内各地の地域差が大きいことから、先ずはフィリピンの何処にターゲットを置くかという判断をしていくことも重要となります。
 そしてそのフィリピンは2006年には、実質GDP成長率で5.4%の成長を記録していますが、これは当初の政府予測(5.5〜6.1%)を下回る水準でありました。
  台風による被害の影響が背景としていますが、治安問題なども若干影響したものと考えられます。
  いずれにしても、マクロ経済を見ると、財政赤字問題などが存在しているものの、比較的に堅調に推移しているものと言えましょう。
 そして、ビジネス最適地を考える上で重要な動きは、

  1. 2006年12月、安倍首相、およびアロヨ大統領立ち会いのもと、山崎駐フィリピン大使とテベス財務長官との間で租税条約改正議定書の署名が行われ、投資収益(配当、利子、使用料)に対する源泉地国課税の限度税率が大幅に軽減されることとなった。
  2. 2006年9月、小泉首相とアロヨ大統領はフィンランドのヘルシンキで日比経済連携協定(JPEPA)に署名、日本にとっては、シンガポール、メキシコ、マレーシアに続いて4ヵ国目、フィリピンにとっては初めての2国間EPA協定が締結され、日本企業にとってはフィリピンでのビジネスに於ける待遇が改善されていく可能性が高まっている。

ことなどが挙げられると思います。
 これからもこうしたフィリピンの動きのその後をフォロー、ビジネス最適地を検討するうえで、フィリピンもその対象として意識をしながら、分析を加えていきたいと考えています。
 皆様方も是非、中国本土と共に、こうしたフィリピンも注目をしてみてください。

 

 来月号もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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