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2008年5月[Sanada発 現場から]


「実需原則の提唱と新素材開発、これが日本の果たすべき役割」

 

 読者の皆様は最近のビジネス環境をどのように分析、或いは実感されていらっしゃいますか?

 昨年前半までは日本経済復活を感じさせる状況にもありましたが、中盤以降は「サブ・プライム・ローン」問題なる、国際経済問題に直面し、直接、間接両面で日本もその悪影響を受けはじめ、今や、この問題を背景にして日本経済も減速するのではないかとの見方が主流になりつつあります。
 そしてまた実際に、例えば日本経済新聞社調査を見ると、上場企業の2008年3月期決算概況は、
「前期年間の連結経常利益(但し、金融セクターを除く)は2.1%の増益を維持したが、本年1〜3月には前年同期対比約18%の減益になっている。
 サブ・プライム・ローン問題を背景とする米国景気の減速や円高の進展、原油高などにより企業の収益環境が急速に悪化していることが背景である。
 これにより、拡大を続けてきた企業業績は四半期ベースでは、ここにきて減益に転じた。」との主旨のコメントが見られ、この影響の更なる拡大も懸念されています。
 特に、これら企業の当期純利益ベースで見ると1〜3月は、やはり約28%の減益となっており、日本経済を支える、また日本を代表する輸出産業の自動車や電機・電子部品分野での業績悪化が目立つとも分析されています。
 私の各地の実態調査でも全くこれと同様の感触を得ていますが、より強く感じることは、

  • 上場企業の業績は悪化したとはいえ、多くの非上場の中堅・中小企業よりは、相対比較をすると総じてよい。
  • こうした中堅・中小企業の業績悪化の背景には原材料高がかなり深刻な要因の一つとなっている。
  • また、かつて言われた三業種(不動産、建設、ノンバンク)はDEBT FINANCEに苦しみ、不渡りを出すところが増え始め、今後も増加トレンドを続けるものと予想される。
  • 但し、地方や都市部の一部中堅企業には上場企業よりも業績がよく経営の積極展開を画策している企業がある点は注目しておきたい。
といったことが感じられます。
 政治の混迷の中、経済までもが混乱すると、この国は一体何処へ行くことになるのでしょうか?
 最近はこうした点が気になって仕方ありません。

 そして、このような国内情勢を見るにつけても更に気になることは、世界的な資金余剰の中、資金運用先に悩む富裕層の一部は、たとえ投機をしても、その証拠がつかみにくく、不満が出にくい原油市場や金、一部希少金属市場などを対象に、
「市場原理」
を縦にして投資や融資を拡大していることにあり、また国際社会に於いても、
「だからこそ、原油価格や希少金属の価格は、市場であるから変動はするものの、基本的には高止まり状態が続く。」
との見方が強まっていることにあります。
 これは日本経済、否、世界経済全体を直撃する問題であり、だからこそ、ここで日本政府は、日本国民と日本経済のために、そして何よりも世界経済のために、政治的な動きを採るべきであると思っています。
 そして、以前にも申し上げており、しつこいようですが、また、その効果がすぐに出るとは思いませんが、
「こうした状況にあるからこそ」
人類がきちんと共存共栄をするためという崇高なる視点から、ここで勇気と叡智、そして倫理観を以って、我が日本国も戦わなければならないと考えており、
かつ、その為に日本という国が自覚と自負を持って世界に訴えていかなければならないと私は考えています。

 少し前ですが、私がご指導を受けているご当地・埼玉県有数、否、日本有数のものづくり企業経営者の方に、
「エネルギーコスト高、原材料コスト高で、日本のものづくりは大変な状況にありますよね?」
と伺ったところ、
「いえ、皆が必要なものは仲良く使えばいいのです。
 そして、新しい原材料を探して、或いは作って使えばいいのです。」
と淡々と答えられました。
 私はそのコメントを伺ったとき、私ははっとしました。
 「本当にその通りである。」
と。
 だからこそ、ものづくり大国を標榜する日本という国家のリーダーは今、ここで、全世界に対して、環境問題と共に、
「人類が最低限必要なもの、食糧やエネルギー源、最重要な原材料を全世界が話し合い、客観的な判断基準から指定し、実需原則を訴える。
 そして、それを具現化するための具体的な国際システムを提言する。」
と共に、
「日本は世界が必要とする新素材の開発に対して、国家としては、先行投資も辞さず、これを推進、民間の力をフルに利用し、産官学連携で、世界の為にお役に立つ新素材開発大国ともなる。
 こうした役割を担い、世界経済の共存共栄に日本として役立ちたいと思うので、人類が必要な食糧(米、小麦、塩、砂糖等々)や原材料(鉄鉱石、ニッケル、クロム、マンガン、リチウム、モリブデン等々)、エネルギー源(原油、天然ガス等々)については、実需分だけきちんと分配して欲しい。
 但し、これは統制・管理ではなく、実需の中であれば当然に市場原則に基づいた価格体系となるものである。
 そして、これら実需原則を遵守することを約束する仲介人を国際社会で選定、この仲介人にのみ、その売買を行うことを許可し、更にまた、その仲介人の行動を監視する国際監視機関を別途設置することとすべきである。」
と訴えていくべきではなのです。
 平和国家を高らかに宣言する日本としては、こうしたことを行っていかない限り、世界から尊敬され、世界とのきちんとした差別化をすることができないと私は考えています。
 そして、日本の政界は、つまらぬ政争に終始せず、こうした国のため、国民の為に、そして何よりも世界の共存共栄のために、骨太の国家運営方針と外交政策を示して戴きたいものであります。
 皆様方は如何、お考えになられますか?

 

 来月号もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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