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2008年6月[Sanada発 現場から]


「為替相場見通しと米国大統領選挙の影響」

 

−為替相場は?−
 読者の皆さん、皮膚感覚でも既にお感じになっていらっしゃると思いますが、今年は年初より、米国のサブ・プライム・ローン問題を主たる背景として、景気見通しについて様々な見方が流れ、これにより各国の為替相場も大きく変動をしています。
 こうした中、中国本土の通貨・人民元の為替レートは更に上昇ピッチを速めていると言えましょう。
 中国本土の中央銀行である中国人民銀行は、人民元の対ドル相場(中間値)が、年初来既に約5%は切り上げられているということを認識した上でも、インフレ対策を念頭に金利引き上げなどを実施していること、また更には米国のポールソン財務長官がここにきて、
「人民元は更なる切り上げが必要。」
との主旨の発言をしていることなどから、一層の人民元高も実際には想定しているものと見られ、また、国際的な投資銀行も人民元の先高感が強いと見ています。
 中国本土の輸出が引き続き好調さを示している上、人民元上昇を予想する海外投資家のホットマネーの流入が続き、更には上述したとおり、人民元金利の引き上げが続いていることが人民元高の主たる背景となっており、また4月末時点の中国本土の外貨準備高は1兆7,000億米ドルとなり、当面、短期的には人民元の対米ドル相場が更に人民元高に推移する可能性は高いと見ておくことが順当ではないかと思います。
 いずれにしても、今後の動向を注視していく必要がありましょう。
 そして、ここで更に為替相場見通しについて、私の友人である為替のプロのコメントを引用させて戴きます。
 ここは円・米ドル・ユーロ相場を中心としたコメントとなります。
「先週の相場は通貨当局者のコメントで主要通貨が大きく揺れた。
 まずはバーナンキFRB議長が米ドル安懸念ともとれる発言を行い、米ドルが買われ、その後トリシェECB総裁が来月の利上げを示唆する発言を行いユーロが買われた。
 主要通貨間において金融政策の方向性が見えず新規材料難の中、レンジ内での取引が続いていたが、中央銀行トップのコメントに市場参加者がとびついて相場が変動した形となった。
 先週は最終的には雇用統計で米経済の足腰の弱さが印象づけられ米ドル全面安となった。
 以上の先週の3つの材料で重要度を示すと以下の通り。
「トリシェ利上げ示唆> 米雇用統計悪化 > バーナンキUSD安懸念」
 まず、ユーロについてトリシェECB総裁がG3通貨圏のなかで唯一利上げ方針を明確にしたことは注目すべき。
 それまでの予想では"次のアクションは利下げ"とする向きもあっただけにインパクトが大きい。
 今後ユーロは買われやすい。
 米ドルについてはバーナンキ発言があったものの、本丸の米景気が腰折れとなれば米ドルは買いにくい。
 円については日本発の材料に相場が反応しにくいものの、テクニカル分析が有効に機能しており、現在は昨年高値124.14を起点とするレジスタンスラインが市場参加者の注目を集めている。」
とのことであります。
 米ドル安、ユーロ高が進展する中、円についても特段の切り札がなく円・米ドル相場は拮抗、ユーロが米ドル、円両方に対して強含みで推移していくものと見ておくべきでしょうか。
 また、色々とチェックをしていきたいと思います。

−拉致問題と米国大統領選挙の関係?−
 ところで、ここにきて、六カ国協議準備の進展に合わせて、日朝両国による拉致問題に関する協議が開催されました。
 そして日本政府は、北京で開催された日朝公式実務者協議に於いて、
「北朝鮮が拉致問題の再調査開始に同意した。」
と伝えています。
 日朝両国政府は、生存者を早期に発見し、帰国させる為に今後の調査を実施することを再確認していると見られており、これによって、新たな拉致被害者の帰国の可能性も出てきていると日本政府は強い期待感を示しています。
 そして日本政府は、こうした協議の進展と北朝鮮の実際の対応動向によっては、
「北朝鮮に対する各種制裁の一部を解除する可能性もある。」
ことを示唆、また、北朝鮮が日航機「よど号」乗っ取り事件の容疑者や妻ら計6人の身柄引き渡しに応じる意向を示したことも日本政府は発表しています。
 日本国民としては、我が国政府のここまでの交渉を誇りに思い、またその更なる成果拡大を期待するところであり、この点は今後の動向を待ち、ここではこうした事実のみを確認しておきたいと思います。
 その上で、違った角度からの見方を一つ。
 私は朝鮮半島のビジネスに関与してから約25年、韓国に住み、北朝鮮を訪問した経験もあり、また北朝鮮のこれまでの動きを見ても、北朝鮮が日朝関係からのみ検討して、こうした姿勢を日本政府に対して行ってきているとはとても思えません。
 即ち、今回の拉致問題に関する北朝鮮の動きの背景には、
「何としても早期に米国からテロ支援国家の指定解除を勝ち得たい。」
と考えていることがあり、その為には、現在のブッシュ政権が、
「日本の拉致問題解決の方向性を、北朝鮮が示すことも重要な要素である。」
との姿勢を示し、日米がこの点で固い結束を示していることがあるからであると私は考えており、また朝鮮半島専門家といわれる方にもこうした見方をしている人が少なくないものと思います。
 しかしながら、北朝鮮がもし、今年11月の米国大統領選挙に於いてブッシュ・共和党政権から民主党政権へと確実に交替するとの見方をしているのであれば、この時期に敢えて、事実上、日米に一部譲歩する形で、拉致問題にまで、動きを示すことは無かったのではないかと私は考えているのであります。
 即ち、北朝鮮も、来るべき米国大統領選挙に於いて、
「マケイン氏が勝利する可能性が高まっており、その場合、ブッシュ政権と同様、或いは軍需産業にも強いとされるマケイン氏がブッシュ大統領以上に北朝鮮に対する圧力を強めるのではないか、だからこそ、今の段階で、一定の進展を拉致問題についても示しておく必要があると考えているのではないか?」
と私は見ているのであります。
 米国大統領選挙の行方とその影響は様々な角度に当てはめながら、今後も情勢分析を図っていく必要があるのではないでしょうか。

 

 来月号もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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