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2008年7月[Sanada発 現場から]


「洞爺湖「エゴ」サミット開催に想う」

 

 私は最近の世界経済について、資源・エネルギー価格の高騰と食糧価格の上昇が、世界的なインフレを引き起こし、そのインフレが世界的な景気減速を生む、結果として世界的なスタグフレーションを生む危険性も出てきていると考えています。
  特に、昨今の世界的な資金循環から見た国際金融市場の動きには行き過ぎたところがあり、私たちが生きているこの世の中を概観すると、私には、以下のように映ります。
 即ち、「米国を世界的な消費市場として捉え、米国消費者に対する販売とその結果として生み出される売上高、そして利益を当てにして、世界経済は現在、大きく拡大してきている。
  ブラックホールのように世界のものとサービスを飲み込む米国の巨大消費市場はいまや世界経済の大きな牽引役となっている。
 そして、米国はその対価として、自国通貨であり、かつ基軸通貨である米ドルを世界に対して支払う。
 その段階で、米国は貿易収支と更には財政収支も悪化させるが、基軸通貨・米ドルを発行している国家ゆえ、世界はその米ドルを信頼できる通貨、そして対価としてこれを受け取る。
 こうして、現段階では、米ドルの流通量が世界的に増えても、顕著な米ドル暴落にまでは発展しない。
 この結果、世界には米ドルが流通し、その資金が再び、開発途上国の投資や株式市場などにも流れるが、国際決済銀行(BIS)の投融資基準の厳格化や株式市場のバブル化に対する不安拡大なども背景にして、世界的な資金余剰状態を引き起こす。
 その余剰資金は、新たな資金運用先を求めて動き出すが、そうした投資先の一つとして、例えば、原油市場が選択され、そこに急速に資金が流れ込み始めた。
 そして資金運用は投機性の資金も含めて動き始め、原油市場の市場規模だけでは吸収しきれず、その資金は非鉄金属などを中心とする商品市場に、更には食糧品市場にも流れ込み始め、資源、エネルギー、食糧価格高という現象を引き起こす。
 更に、この価格上昇は世界的なインフレを懸念させるような状況にまで発展、世界的なインフレにより消費が萎縮するのではないかとの不安心理を拡大、ここに本格的な景気減速を思わせる雰囲気が世界全体に拡散、スタグフレーションになる可能性すらあるとの声も出始めた。
 そこで、原油価格高や資源価格高、食糧品価格高を是正するために、それぞれの市場の先物取引を規制してはどうかといった声が強まっているものの、既に世界の主要投資ファンドが原油や資源を含めた市場をファンド運用の中に取り組みはじめており、先物取引の規制はファンドの運用利回り低下を引き起こし、今度はファンドの運用原資である年金基金などの運用失敗にも繋がりかねないので、簡単には規制できないとの声が出る。
 こうして世界経済は、資金循環の流れから見ると、八方塞の状態になりつつあり、その結果として、世界経済は米国の消費市場を軸とした発展サイクルから離脱、その段階で米ドルが暴落し、世界的な同時不況となる危険性もあるのではないかと囁かれ始める。
 しかし、基軸通貨を持ち続け、世界的な経済システムを維持しようとする国際金融社会は、これを回避するため、再び、原油や天然資源、食糧品市場から徐々に資金を引き上げ、株式市場を中心とする証券市場に呼び戻す。」 のではないかといった、大胆な見方が出来るのではないかと私は考えています。

 さて、このような見通しはともかく、先日、日本でG8が開催されました。
 私はこれに大きな期待をしていましたが、今回のG8では結局、国益と称して各国が卵とにわとりの議論をし、何の具体策も見せぬまま玉虫色の声明を発表しました。
 これでは今回のサミットはエコ・サミットではない、エゴ・サミットではなかったかとすら私には感じられます。

 さて、私は常々、教え子たちに、
「競争の心を持ち、常に切磋琢磨して世界のレベルそのものを引き上げる努力をしなさい。
 その一方でまた、世界ときちんと協調し、世界が仲良く調和の取れた体制となるように優しい心を以って生きていきなさい。
 そして、その競争と協調のバランスを採ることがもっとも大切なことであり、それを支えるのが、人間としての正義感、即ち、倫理観である。
 君たちは倫理観を持って、競争と協調の心が分かる人間になり、考え、そして具体的な行動を起こしなさい!!」
と申しております。
 しかし、こうした行動をだれよりも率先して取るべきは、世界の現職リーダーたちであり、行き過ぎた国益の下で動いてはならず、世界の適正な競争と適切なる協調で地球環境を守っていかなければならないと考えています。
 そして、そうした精神の下、更に、埼玉産業人クラブの会長でいらっしゃる住田会長が仰った、
「人々が必要なものを仲良く使い分けましょう。
 そして足りないものは新しい素材を作り出しましょう。」
という名言を受けて、
「だからこそ、人々が使う必要最低限のものについては、実需原則が必要だ。」
と説いても、それにより余波・副作用がある云々と、結局は何も行動を起さない、世の中には副作用のないものなどほとんどなく、後は大局を見て、大義を考えて、先ずは行動を起すべきであると私は思いますが、それが出来ない。
 私が考えてきた一つの柱は、残念ながら、そしてまた予想通り、もろくも崩壊し、
「世界のリーダーは人々が必要なものを仲良く使い分ける。」
という考え方に対して、今回のG8では具体的なアクションを起しませんでした。
 こうなると、日本がとるべき道はもう一つの道、
「必要なのにないのであれば、新しいものを作りましょう!!」
であります。
 詳細は今日ここではご紹介できませんが、ものづくり大国・日本には、例えば、
*鉄鉱石や非鉄金属を使わないで特殊鋼を作る技術
*温度差を利用した新エネルギーの開発技術
*帆立貝の貝殻を利用した肥料や飼料、薬品の開発
などなど、これに限らず様々な潜在性のある技術が眠っています。
 これらのものづくり技術を生かして、如何に世の中の役に立つものとして、商品化デビューをさせていくか、ここに日本は注力すべきであります。
 私たちで何とか立ち上がりましょう!!

 

 来月号もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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