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2008年8月[Sanada発 現場から]


「ものづくりに於ける競争優位」

 

 日本には多くのものづくり系下請け企業(今は下請け企業という言葉は使いませんが、ここでは尊敬の念を込め、また通称ということで使わせてください。)があり、これらの企業が高い技術を持ち、柔軟性のある生産活動を展開しながら、ものづくり大国・日本のブランドを作る大企業を底辺から支えていると言われており、最近ではまた、この「支えている」ことを象徴する意味で、下請け企業という言葉を使うことを止め、
「Supporting Industries」
という名称を使うことが多くなっていることはご高承の通りであります。
  私も全国を行脚し、文字通り、日本経済を支える、これらSupporting Industry各社を訪問、そしてその経営者の皆様方とお会いしています。
 そしてまた、そうした中、大企業の中には、或いはこれらSupporting Industryの中で中核の位置を占める企業の中には、
「OO会」
といった組織を構成し、雑誌を編集、発行したり、機会があるごとに懇親会や勉強会を開催しながら、年に何回かの顔合わせを行いつつ、Supporting Industryと大企業、Supporting Industry相互の連携を高めて、
「共存共栄」
ができるような、様々な工夫がなされていることを拝見しており、私もしばしばこうした会に呼ばれてお話をする機会なども戴いています。
 こうしたOO会といった組織は、当然に、
「単なる仲良し倶楽部」
的な中途半端なものではなく、参加者相互が真剣な議論をしつつ、懇親を深めていくもので、
「相互の誤解を無くすことはもとより、相互に阿吽の呼吸で、同じ目的意識を持ち、より効率を高めるような相互支援体制を構築していく。」
ことに大いに貢献していると、外部者である私にもはっきりと分かるものであり、更には、 「こうしたソフトでの仕組みがあるからこそ、日本のものづくりの底辺の技術は支えられている。」
と強く感じています。
  ところで、このレポートをお読みになるものづくり系関係者の皆様方は、こうしたことは、
「当然」
とお考えになられましょうが、私の知る限り、東アジア諸国や米国にはこうした効率的なソフトの仕組みはあまり見られず、また、ここにこそ、正に日本のものづくりの強さの秘密の一つがあるものと思われ、更には、
「東アジアや米国の企業には簡単に真似の出来ない差別化のポイント」
の一つであると確信しています。
  そしてまた、各社の交流が緊密化していくことにより、例えば、
「納入先のOOO自動車では何故、今、この精度の、この規格のこの製品を、わが社にこの単価で製造して欲しいと言ってきているのか?」
といった背景を、多くを語らずに理解し、その上で納入先の意向をしっかりと汲み取りながら、新しい製品を開発する、その結果として、自社の技術力も向上するという、
「正の好循環」
に入ることが出来ているのであると私は思います。
  これこそが、日本のものづくりの真髄を支える重要なポイントの一つであります。
  筆者がお世話になる工作機械関連Supporting Industryの会長は、世界各地の製品展示会に出席しても、
「日本と同じく、ものづくり国家を自負しているドイツやイタリア企業の製品には、最近、目新しい、面白いものが見られなくなりつつある。
  欧州の人々はこれでよいと言っている。
  何故なら、東欧諸国が市場として成長している現在、苦労して新しいものを作る必要が無いからであると欧州の人々は考えているからである。」
とコメントされていましたが、もしそうであれば、
「欧州の企業には新技術開発のモチベーションが落ち、結果として、技術力が落ちる可能性もある。」
ということに他ならないと言えましょう。
  一方、わが国は、共存共栄体制の中で更に、
「市場が求める品質と価格水準のものを作り続けていけば、常に国際社会に於いて差別化の出来る技術水準を維持することが出来る。」
のではないだろうかと思います。
 そして、こうした上で、もう一つのポイントがあります。
 それは、皆様方が作られる製品の価格ですが、原材料その他のコストから割り出した価格設定ではなく、
「世界的に見たマーケットでの適正価格」
から算出して戴き、その中で、
「よいものを高く売る、少なくともよいものを適正利潤が上がる水準で売る」
ことが必要であると思います。
  そしてこうしたマーケットでのFair Priceを認識する上からも、マーケティングなどを強化してそれを確認する必要がある、よってものづくり企業は、「ものづくりの生産工程」以外の分野での会社の実力を向上していく必要があるのではないかと私は考えています。
  ものづくり大国・日本を今後も維持していくためにも、是非とも、こうした日本独自の仕組みは大切に守り、強化していきたいと思います。
  皆様方は如何、お考えになられますか?

 

 来月号もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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