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2009年1月[Sanada発 現場から]


「日本経済、世界経済、その今後の動向や如何?」

 

皆様
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今年初のレポートのご送付です。
今年も色々とご指導を戴ければ幸いでございます。

[2008の回顧と今年の見通し]
 昨年、2008年は、米国で大統領が代わり、ロシアでもプーチン大統領が首相に転じて新体制が出来る、中国本土では待望の北京五輪が開催され、わが国では八年に一度のサミットが洞爺湖で開催され(注:次回は八年後に日本で開催されるかどうか分からないと言われています。即ち、G8に中国本土やインドなども加わり、G8そのものの体制や意義といったものが向こう8年の間に変わるのではないかと言われる中で、日本の相対的な地位も変化=低下するのではないかとも言われています。)、更にまた、韓国では大統領、台湾でも総統が代わり、時代の変化が顕著に見られた一年でありました。
 そしてまた、年前半にはサブ・プライム・ローン問題が顕在化し、米国経済を中心に世界的な景気鈍化が懸念され、わが国でもこの問題と建築許可基準の厳格化などが加わり、金融機関の融資スタンスの厳格化が本格化し、金融面を起因とした資金循環の悪化が見られ、景気鈍化が顕著となりました。
 そして、9月に発生したいわゆるリーマン・ショック以降の世界は、それまでの、過度の信用創造を否定するが如く、極端な信用収縮が発生し、世界経済は一気に混乱、そして混沌の状況へ、文字通り、奈落の底へと落ちていきました。
 今もなお、そうした状態は続き、今年は一年間、世界経済は回復が見られず、日米欧三極経済圏共にマイナス成長か?とも言われています。
 本当に事態は深刻です。
 ところで、こうしたことと共に、昨年一年間で顕著に見られた現象の一つとして私は、
「ブラックホールのように世界の様々なものを飲み込んできた米国経済に課題が見られ、消費大国・米国に依存した世界経済体制との決別をすべきではないか?との意見が聞かれるようになった。
 そして、その過程で、米国主導の国際金融を軸とする市場経済化に対する疑問が提示され、基軸通貨・米ドルの存在意義に対する疑問も投げ掛けられるようにもなった。」
という認識の下にあって、基軸通貨・米ドルの相対的地位が弱まる可能性が指摘される中、投機性の資金が、昨年中盤まで、

  • 天然資源価格
  • エネルギー価格
  • 食糧価格

に流れ込み、その高騰の直接的、間接的原因となったということが指摘されていた点を注目しています。
 私は、今後、この資源や環境問題を背景に、新たなバブル経済が形成されて世界経済、米国経済が回復していく可能性があると見ていますが、そうした場合にあっても、日本経済に目を向けると、原材料価格の高騰とエネルギー価格の高騰が企業収益の悪化に繋がり、その結果として、設備投資も減速し、中長期的に見た新たな問題点となるのではないかという点を危惧しています。
 本年後半になり、米国経済が若干持ち直す一方、原材料やエネルギーの価格上昇もさほどは顕在化しないとの見方があるため、物価上昇も甚だしくはならず、私もとりあえず、今年の日本経済は上述したような問題は具現化せず、持ちこたえると見ていますが、様々な意味で不安が残ります。
 こうしたことから、今年のみならず、中長期的に見た日本経済というものを考え、新たな対策が必要であると私は考えています。
 尚、各機関の経済見通しを基にして見た今年の日本経済の概況(前年対比)は以下のようになるのではないかと思われます。ご参考まで。

2007年実績
2008年速報
2009年見通し
実質GDP成長率
0.6%
0.0%
−0.2%
民間消費支出
1.4%
0.3%
0.1%
民間企業設備投資
−0.1%
−1.7%
−5.3%
民間住宅投資
−13.3%
0.9%
−1.2%
輸出
9.5%
2.6%
−2.0%
輸入
2.0%
−0.8%
−1.2%
鉱工業生産
2.6%
−1.8%
−3.4%
消費者物価
0.4%
1.6%
0.8%
失業率
3.8%
4.2%
4.3%
年度末コールレート
0.50%
0.50%
0.50%
10年もの国債平均
1.6% 
1.5%
1.3%
平均為替レート(1米ドル)
114円
101円
90円
原油価格(1バーレル)
78米ドル
99米ドル
70米ドル

 また、米欧中、新興国の経済成長率見通しは以下の通りであります。

2007年実績
2008年速報
2009年見通し
米国
2.0%
1.6%
−0.7%
欧州
2.6%
1.1%
−0.5%
中国本土
11.9%
9.7%
8.5%
新興国
8.0%
6.5%
5.5%

[日本経済再生の一つのポイント、それはGDPの約60%を占める国内消費]
 さて、昨年末発表されたデータによると、日本の1人当たり名目国内総生産(GDP)が、一昨年となる2007年には、世界19位となり、先進7カ国(G7)の中でもイタリアにも抜かれて最下位となったと、内閣府が発表した2007年度の国民経済計算によって発表されました。
 何が理由であっても、国を思う気持ちが強い私にとっては、面白くない数字でありますが、冷静にその背景を見てみると、同報告書の中では、

  • 2007年はユーロ高だったので欧州各国のGDPが米ドル換算で大きくなったこと。
  • 一方、日本は相対的な円安であった為、米ドル換算のGDP規模が相対的には小さく表示された。
  • 更に、日本は2007年当時は、デフレ脱却が遅れて成長率そのものが伸び悩んだこと。
が挙げられ、更にデータの詳細を見ると、
「貯蓄志向が世界的には強いと言われるわが国にあって、家計の貯蓄率が前年度対比1.8ポイント低下し、2.2%となり過去最低になった。」
とコメントされ、
「低成長で日本経済の競争力が落ちている。」
とも結論付けられています。
 尚、2007年の日本の名目GDPは4兆3,850億米ドルとなり、世界全体のGDPに占める日本の比率は24年ぶりに10%を割り込んだ前年(9.0%)より、更に低下し8.1%となり、GDP基準で見ると、米国に次いで世界第2位の経済大国の地位を維持したものの、国際的な存在感の低下は鮮明となっていると見られています。
 今年はこうしたことを払拭する為にも、
「日本経済復権に向けた転換の年」
としたいものであります。
 そして、その為にも、まず日本のGDPの約60%を占める民間消費を拡大する、即ち内需拡大は不可欠、まだまだある国内の資金を源泉に、日本の国内で日本の将来に向けた消費を拡大していくことが大切であると私は考えています。
 私たち一般の日本人はその収入の中で、クレジット・カードによる買い物も含めて、借金はせずに、消費を拡大していくべきであり、
  • 若い人は自らのスキルアップに繋がる「内面を磨くことを意識して」、国内での消費を拡大する。
  • 高齢の方は子供や孫に資産を残すことを意識せず、思い切って日本国内での消費を拡大する、その消費意欲こそが新たな日本成長の活力の源となる。
  • しかし、そうした国民の消費拡大のためには、何と言っても、将来に対する不安が解消されなければならず、国家は何を置いても先ず、国民が安心して消費が出来るように、先ずは年金問題を始めとする中長期的な社会保障問題をいち早く解決する。

といったことが大変重要ではないかと考えています。

[世界経済を見るチェック・ポイント]
 2009年は、世界の三極経済、即ち、日米欧経済がいずれもゼロ成長、或いはマイナス成長になるのではないかとの予想、否、危惧がされています。
 基軸通貨・米ドルを背景に、国家も個人も借金体質に漬かり、金融を中心とする「市場主義」を巧みに利用しながら、過度の信用創造に基づくバブルを形成して世界経済を牽引してきた米国経済が、9月のリーマン・ショックを大きな分岐点として(但し、それ以前にも既に兆候は見られていたと言われていますがーーー)、急激な信用収縮が発生し、一気に世界経済は拡大均衡から縮小均衡へと奈落の底に落ち、例えば、2007年には史上最高益を出していた世界のトヨタ自動車までも赤字決算になるのではないかとの状況にまで追い込んでいるのが、今回のバブル崩壊であり、このバブル崩壊の後遺症は稀に見る大きさであると言われています。
 私もその通りであると思いますが、米国国内では、或いは国際金融市場でも、
「バブル崩壊の処方箋はバブルしかない。」
との考え方の下、本年後半には、
「環境バブル(=米国・オバマ新大統領は、これをGreen New Deal Policyと呼んでいます。綺麗な言葉ですね。)」
を一つの基軸に、世界の、
「ひと、もの、かね、情報」
が再び動き始め、新型ビジネス・モデルのバブル経済を形成する、この段階で徐々に、先ずは世界の株式市場に資金が戻り始め、そして不動産市場へと展開、新たな資産効果拡大を生み、再来年から本格的な経済回復が見られるのではないかとの希望的観測も含めた見方が出始めていることも事実であります。
 いずれにしても、今後の世界経済の回復の契機が一体何になるのか?その動向を注目しつつ、フォローしていきたいと思います。

 

来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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