急激な信用収縮を背景とした需要低迷によって拡散している世界的な経済危機がなかなか回復の兆しを見せません。
読者の皆様方は如何、お過ごしですか?
いつも、申し上げております通り、こうした時期は焦らず、
「慎重な論理的に考えた上で、大胆に行動する」
ことが大切であり、先ずはキャッシュフローを確保し、倒産しないようにすることが大前提ですが、その上で、余裕さえあれば、
「むしろ足元を固め、弱い部分をここで一気に強化、きたるべき、反転に備えて、体力を充実する時期であると。」
とも考えます。
そうした意味で、私はこれからの日本のあり方をしっかりと考えなければならないと考えていますが、私の一つの考え方を今日は皆様方にご覧戴き、ご指導を戴ければと思っています。
さて、政治学の世界では、世の中が安定する体制は、大きく二つしかないと言われています。
即ち、
(1) 極めて、強い権力を持つ人(組織)がいて、その権力機構の下に多くの人々が準じる体制
(2) 個人、或いは組織の権力者間での力のバランスが取れている体制
が構築されている際に、社会は初めて一定の安定を示すと言われています。
また、実態的には、こうした(1)と(2)の体制が移ろいながら、社会は安定と不安定を繰り返すとも言えましょう。
そして、今回の米国の大統領選挙を見ていると、共和党の目指す統治システムは(1)の体制を、民主党の目指す統治システムは(2)の体制を志向しているように感じられ、また、オバマ新政権は、こうした統治システムを米国国内の統治システムにだけ適用しようとするのか、国際社会に対しても適用しようとするのか、注目されると思います。
これまでのブッシュ大統領・共和党政権は、特に(1)のシステムを構築、確立していくために、人々が生きるために最低限必要としている分野である、食糧、水、原材料、エネルギー資源とこれを束ねる金融の分野に、民間企業の巨大権力者を確立していこうとしてきたとも見られ、具体的には、強者と弱者の二極化が進む中、業界再統合の名の下に、例えばカーギルやBHPビリトン、JPモルガンチェースやゴールドマン・ザックスといった世界的な企業が巨大権力者としてそれぞれの分野での地位を確立することを背後から実はサポートしていたのではないかとも見てとれます。
そして、そうした考え方を持っている私にとっては、今後、オバマ新大統領がこうした米国のこれまでの世界戦略を踏襲するのか、世界戦略についても、(2)のシステムを適用していこうとするのか、注目をしているところであります。
更に、そうしたオバマ新大統領の政策姿勢は、
「通貨は国家の主権の象徴である。」
と言われている通貨システムを通して見られる、即ち、今後の国際通貨体制の中に反映されてくるのではないかと考えています。
ところで、こうした見方の中で、私は、どちらかと言えば、(1)ではなく(2)のシステムを志向しています。
しかし、日本自身が、「権力者」として世界の中でパワーゲームの中に巻き込まれていってしまうことを必ずしも志向しません。
即ち、私は、日本は国際社会のパワーゲームの争いの中で、その影響を受けないように、上述した、
「資源、エネルギー、食糧、水」
といった世界の人々が生きていく為に必要な分野で、比較競争優位を持つ商品、技術、サービスを、日本が生きていける程度に対価を戴きながら、それ以上は世界に還元するという範囲で、
「いいものを日本が生きていける程度に安く、世界に提供することが出来る国家」
という体制を作り、
「世界の人々の生活に貢献をし、その喜びを対価の形で戴き、尊敬されながら生存していく、Product and Hospitality Nation/Japanを構築する。」
ことを念頭に置き、世界の中での、
「日本発、世界に貢献するプロジェクト」
をたくさん排出していき、その結果として、
「仙人国家=専人国家」
となる、
目立たぬものの、しっかりと世界の人々の役に立ちながら、生きていく国家となるべきであると考えています。
そして、日本が少しでも、世界の中で「強者」に囚われない自律国家となるよう、明確な国家ビジョン作りを進められればと私は考えています。
|