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2009年3月[Sanada発 現場から]


「中国経済は魅力か?!」

 

 2008年前半にはサブ・プライム・ローン問題が顕在化し、米国経済を中心に世界的な景気鈍化が懸念され、わが国でもこの問題と建築許可基準の厳格化などが加わり、金融機関の融資スタンスの厳格化が本格化し、金融面を起因とした資金循環の悪化が見られ、景気鈍化が顕著となりました。
 そして、昨年9月に発生したいわゆるリーマン・ショック以降の世界は、それまでの、過度の信用創造を否定するが如く、極端な信用収縮が発生し、世界経済は一気に混乱、そして混沌の状況へ、文字通り、急落をしました。
 今もなお、そうした状態は続き、2009年は1年間を通して、世界経済に回復が見られず、日米欧三極経済圏共にマイナス成長となると言われています。
 こうした視点から、日本経済、世界経済を総括すると、
「2009年は日米欧三極経済圏全てが同時にマイナス成長となる可能性がある。
 これは極めて稀な事態であり、世界的な経済危機の影響が少なくとも2009年一杯は残ると見る向きが大宗である。
 こうした中、中国経済の発展に対する期待は2009年も強いであろう。」
と私は見ています。
国際通貨基金(=以下、IMF)資料
経済成長率(%)
 
2007年
2008年暫定値
2009年予想値
世界全体
5.0
3.7
0.5
日本
2.1
0.5
-2.6
米国
2.0
1.4
-1.6
ユーロ経済圏
2.6
1.2
-2.0
中国
11.9
9.7
6.7

参考:GDP規模と一人当たりGDP(As of 2007)
GDP
一人当たりGDP
米国
13兆8,112億米ドル
46,040米ドル
日本
4兆3,767億米ドル
37,670米ドル
中国
3兆2,801億米ドル
2,360米ドル

 さて、こうした見方のある中、本年2月26日に発表された「中華人民共和国2008年度国民経済及び社会成長統計広報(中華人民共和国国家統計局)」では、中国経済に関する総括の中で、
「2008年、全国民は史上まれな自然災害と国際金融危機の衝撃による影響を克服した上で国民経済は比較的に早く成長し、各社会事業も新たに成果を収めた。」
としたうえで、
「初歩的な試算によれば、一年間の国内総生産高は30兆670億人民元になり、前年対比9.0%増となる。
 産業別で見ると、第一次産業は3兆4,000億人民元増えて5.5%増、第二次産業は14兆6,183億人民元の増加で9.3%増、第三次産業の増加値は12兆487億人民元で、9.5%の成長となった。
 第一次産業の増加分が国内総生産高に占める比率は11.3%であり、前年より0.2%上回った。
 第二次産業は同48.6%で、0.1%の成長、第三次産業は同40.1%と0.3%下回った。
 一方、市民消費価格は前年より5.9%高くなった。
 その内の食料品価格は14.3%、固定資産投資価格は8.9%とそれぞれ上昇した。
 工業品出荷価格は6.9%上昇したが、その内訳は生産資料価格は7.7%、生活資料価格は4.1%、原材料、燃料、動力の購入価格は10.5%とそれぞれ上昇している。
 農産物製造価格は14.1%上昇、農業生産肥料・飼料の価格は20.3%上昇した。
 大、中都市70箇所の住宅販売価格は6.5%上昇し、その内の新設住宅価格は7.1%、セカンドハンド住宅価格は6.7%とそれぞれ上昇、住宅賃貸価格は1.4%高くなっている。
 2008年末現在、全中国で就職者は7億7,480万人があり、前年末より490万人が増えた。
 その内の都市部就職者が3億210万人で、860万人増え、新たに1,113万人増加した。
 年末の都市部登録失業率は4.2%で、前年末より0.2%上昇している。
 また、2008年末現在の国家外貨準備高は1兆9,460億米ドルで、前年末より4,178億米ドル増加、また年末の米ドル対人民元の両替相場は6.8346で、前年末より6.9%の人民元高となっている。
 そして最後に、一年間の税収額は5兆7,862億人民元となり(但し、関税、農地占用税と契約税を含まず)、前年対比8,413億人民元増、比率にして17.0%増となっている。」
との総括が示され、中国政府の自国経済に対する自己採点が示されました。

 そして私が見るところ、
「中国は、人口が13億5,000万人に近づき、GDP規模も上述の通り世界第3位となり、また2009年の経済成長率も、財政状況が国際比較では相対的に良い中、財政出動を伴う景気対策が核となって、“実需の消費”と“実需のインフラ開発”が刺激され、6.7%程度と見込まれ、その一方でCPIは4%程度と安定化し、外貨準備高も世界一を維持、為替レートは人民元がやや強めで推移する、そして株価も再び増加に転じて資産効果を示すといった好材料が見られ、中国経済は世界経済に先立ち、早期に回復を示す。」
との見方も出来るものと考えています。
 また、2009年は日米欧という、いわゆる三極経済圏の経済成長率が軒並みマイナス成長を予測される中、経済成長率が鈍化するとはいえ、世界第3位の国内総生産規模を持つ中国が相対比較においては7%前後の高成長を続け、世界経済の成長を牽引するとの見方を、国際機関である国際復興開発銀行も、その中国経済に関するリポートで発表した上で、このレポートの中で、国際復興開発銀行は、
「中国は経済のバランスを工業や投資から、サービスや消費にシフトするため、より積極的な行動を取るべきである。」
との具体的な意見(=注文)を示しています。
 即ち、同レポートでは、2010年までを目標に中国政府が推進してきている5カ年計画の進捗状況を検証した上で、
「経済構造シフトに向けた動きが限られているため、巨額の経常黒字の縮小、エネルギー効率の改善、都市部と農村部の所得格差の縮小といった問題の改善が妨げられている。」
との結論を示し、世界の金融危機の影響が深刻化する中、世界経済の牽引役的存在である中国に対して厳しい注文を行ったと言えます。
 そして更に国際復興開発銀行は、中国に対して、
「人民元相場の押し上げや、社会保障、ヘルスケア、教育などへの支出を拡大すべきである。」
とも提唱しており、こうした見方、提唱に対して、中国政府は基本的に応じてくるものと私は考えており、こうしたところにも、中国経済の発展の魅力、外国企業が中国経済と関わる魅力が潜んでいるのではないでしょうか。


来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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