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2009年4月[Sanada発 現場から]


「世界経済動向と身近な元気の出るお話」

 

[世界経済の行方、ポイントは基軸通貨・米ドル?!]
 国際復興開発銀行(IBRD)は、2009年の東アジア途上国・地域(日本、シンガポール、韓国などを除く)の経済成長率が5.4%になるとの見通しを示し、従来予測(6.7%)から下方修正、また昨年実績(暫定値)である8.0%を下回るとしています。
 一方、中国本土は財政出動を伴う景気刺激策を主たる背景として、主要国の中では最も高い成長率となる6.5%と高い成長率を維持、世界経済の成長を牽引するとの見通しが示されています。
 そして、IBRDによると、
「東アジア途上国の成長率は、世界的な金融危機に伴う輸出や国内需要の減少で2008年の8%成長から減速する。
 タイやカンボジア、マレーシアも1〜2%台のマイナス成長に転落する。
 先進国の金融システム不安や、世界的な景気悪化から脱却する難しさを踏まえると、途上国が高成長に回帰するまでには時間がかかる可能性がある。」
との見方を示しています。
 アジアの途上国の持続的な回復は先進国次第であり、またその先進国も相当なリスクを抱えているともコメントされており、まだまだ先行きは厳しいとの見通しが示されています。
 先のG20でも大きな成果が見られぬ中で終了しており、引き続きは一進一退の経済動向となると見ておきたいと思います。
 尚、私が関心を持って見ている、
「基軸通貨・米ドルの立ち位置」
については、今回は際立った動きが見られませんでした。
 しかし、中国本土政府機関が水面下で用意しているのではないかと見られた通貨の複数基軸体制に関する試案などは提案されず、
「米ドル・基軸を脅かすような動き」
もあまり見られず、取り敢えず、国際金融市場はひと段落しているのではないかとも見られます。
 ただ、こうした状況下、ノーベル経済学賞の受賞者で「ユーロの父」とも呼ばれているロバート・マンデル氏が、世界的な準備通貨の創設に向けて、
「来年、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに中国本土の通貨である人民元を加えるべきである。」
との考えを示した点、私は注目しています。
 マンデル氏は即ち、
「変動の大きい為替相場が昨年9月以降の世界的な金融危機の一因になった。
 今こそ変革の時である。
 人民元は現在、世界で3番目に重要な通貨といわれ、見方にもよるが日本円より重要とも言える。
 2010年に人民元をSDRに加えるべきだと確信する。
 そして、通貨バスケットの構成は、米ドルの比率を現在の45%から40%に引き下げ、ユーロの比率を29%に据え置き、円の比率を15%に据え置き、英ポンドを除外もしくは比率を現在の11%から5%に引き下げ、残りを人民元とすべきである。」
とコメントしました。
 こうした影響力の強い人の発言からすると、
「絶対的な基軸通貨・米ドル体制」
から、
「米ドル、ユーロ、人民元(プラスアルファ)」
の三極通貨、或いは複数通貨体制移行へのアイデアが今後も浮上してくる可能性が有り、これにより、世界の経済システムの根幹が変化する可能性もあり、大いに注視すべきであろうと私は見ています。
 いずれにしても、世界経済の安定化には、通貨体制の安定が不可欠であり、その世界の通貨体制の行方には大いに関心を払っていくべきであると私は考えています。
  皆様方は、如何、ご覧になられますか?

[元気の出るお話、三題]
 世界経済はまだまだ本格的な回復軌道に入っておらず、また日本経済も、ひと段落したと言われるものの、本格的な回復までにはまだまだといった状況にあるかと思います。
 しかし、こうした中、
「悲観的な話ばかりをしてはならない。
 景気回復に悪影響を与える。」
とも言えましょう。
 だからこそ、私も出来る限り、各地で開催される講演会などでもそうしたお話を申し上げているのでありますが、しかし、時として、
「あなた(=真田)は元気だからいい。
 しかし、実態はもっと厳しい。」
というお声もお聞きしますし、また、私が特に気にしておりますことは、
「日本国民の意識が勝ち組と負け組といった形で二分化され、日本自体に大きな亀裂が生じるのではないか?」
ということであり、国民皆が様々な声に耳を傾ける必要もあるのではないかとも考えています。
 そこで、今回は最近お聞きした元気の出るお話を三題。
 先日も名古屋、四日市、岐阜、知多、埼玉、東京、そして会津若松と回らせて戴く中、元気の出るお話を伺いました。
 そのいくつかをここで簡単にご紹介させて戴きたいと思います。
 一つ目のお話。
 元気のよい自動車ディーラー経営者の方のお話です。
「この不況期の今、お客様は低価格車帯の自動車を志向している。
 そこで、店頭の自動車展示は全て、この低価格者帯に絞り、セールスもそこを重点攻撃してみた。
 また、原則として一車種・一価格として販売、更にお客様には、この不況下で自動車を購入するという消費行為を行うことにより、日本経済を支えて戴いているとの実感を味わってもらえるようなセールスを展開、お客様の皆さんにも喜んで戴いている。」
と胸を張られ、景気減速となった今も売り上げを着実に伸ばされているそうです。
 二つ目。
 これは苦学の末、観光ビジネスに従事、その後、独立した方のお話です。
 独立後、観光ビジネスだけでは、ビジネスのポートフォリオが弱いと感じられたこの経営者の方は、
「冠婚葬祭の送迎バス、特に葬祭の送迎バス運営のビジネスの必要性を強く感じられた。」
そうであり、規制分野であったこのビジネスの許可を取るために、その必要性を監督官庁に対して四年間にも亘って説得され、認可を取られると共に、バス会社に対してそうしたビジネスを持ちかけたそうなのですが、
「葬祭関連のお仕事など縁起が悪い。」
と断られ、自ら、バスとその運転手を自社で保有、確保しこのビジネスに参入され成功されたそうです。
 しかし、当初はこうしたアイデアがあってもそれを具現化する資金が一切無い。
 特に、認可をした監督官庁は、
「認可した企業がすぐに倒産しては困るので、先ずは開業当初暫くの間は現金を最低5,000万円、預金として保有しなさい。」
との条件をつけてきて大変困ったそうです。
 銀行も当時、まだまだベンチャー企業であったこの会社にはお金を貸してくれない。
 その時に、サラリーマンだった頃にお客様であったお金持ちの方が、
「私はお金があるがアイデアはない。
  もしよいアイデアが有ったら、持ってきなさい。
  投資や融資をしてあげる。」
と言っていたことを思い出し、本件のアイデアと共に資金貸与の依頼をすると、その資金を貸してくださり、何とかビジネスをスタートすることに漕ぎ着けた。
 次に問題なのは、バスを買うお金が無いこと。
 そこに、こうした認可取得をしたということを聞きつけたバス製造会社数社が、この会社にバスを売りに来たので、一番よい条件を示してくれたバス製造会社に対して、
「営業が軌道に乗る三ヵ月後からバス購入代金の支払いを開始、分割して支払う。」
との条件を飲んでもらうと共に、当面はバスの所有権の50%はそのまま、そのバス製造会社に渡し、信用してもらい、こうしたことを経て、何とかバス確保に漕ぎ着けた。
 そしてこのビジネスは最終的には当たったそうですが、きちんと軌道に乗るまでは、社長自ら月給を12万円に抑えるといった姿勢を債権者や多くの関係者に示して、ビジネスに最も大切な信用を勝ち得たそうです。
 資金無しでもビジネスをスタートし、成功された事例です。
 そして三つ目。
 これは南会津町長のお話です。
 とにかく町民のためにと心を裂く町長の姿は素晴らしく、志と気合を感じる方なのですが、町の行政として様々なことをなさっている中、特に私が感じたのは、次のお話です。
「わが町は自然環境もよく、人情の厚い町。
 シックハウス症候群で苦しむ人が増えているという話を聞いた我々は、町のインフラをこうした人々のために先ず提供した。
 そうして、町に住み、馴染んで健康が回復されてきたシックハウス症候群の人々に対して、一度、わが町で農業でもして見ませんかとお誘いすると、皆喜んで、町の農業に参画を始められた。
 すると、高齢社会であった町のおじいちゃん、おばあちゃんが、多くの若い人たちに農業を教えながら、共に耕作をしながら、みるみる元気になっていく、そしてそうした中で、こうした高齢の方々が昔を思い出しつつ、地域の特産品を作り始め、またこれが新たな観光資源となりつつある。」
と町自体が好循環で拡大していることを語っていらっしゃいました。
 まだまだたくさん、元気の出るお話はあります。
 これらのお話の共通するところは、
「皆が喜び、皆が幸せになる。」
ということをベースに、ちょっとした気配りからアイデアを加えていくことにあるのではないかと思います。
 きっと、私たちにもできると思います、志と気合を以って、この苦難を皆で乗り越えていこうとする気概さえあれば!!
 今日もまた、新しい元気の出るお話に触れてきたいと思っています。


来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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