最近は、各地でお話していると、中堅・中小企業経営者の方々から、
「景気はいつ回復するのか?」
「何をしたらすぐに利益が出るであろうか?」
といったご質問をよくお受けします。
厳しい現業の世界で、一日一日を生きる皆様方にとっては、本当に難しい時代であると思っています。
こうした中、私は、今回の米国発経済危機は、
「行き過ぎた信用創造によって膨らんでいた世界経済が、突然の信用失墜によって、急速なる信用収縮によって齎された結果である。」
と見ており、よって、
「信用、信頼が回復しないと本格的な景気回復も始まらない。
そうした中で、如何にテクニカルなノウハウを求めても、個別企業経営の改善にはなかなか繋がらないと考えています。
今日はそうした考え方を基にして、つまらないことを申し上げます。
世の中は本当に混沌の様相を呈してきていると思います。
いや、私が今日、ここで申し上げたいのは、単純に、
「経済が混乱している。」
「世の中の軍事情勢が悪化している。」
「地球環境が破壊されつつある。」
といったものを背景として申し上げているのではありません。
私は、こうした世の中を構築する、人間の行動の基本にある、
「人間の心」
に混沌の様相が見られているのではないかと思っているのです。
世の中では、
「右の頬を叩かれたたら左の頬を出す。」
のではなく、
「目には目を、歯には歯を」
の考え方が強くなっているようであり、更にそうした人々の心を操り、疑心暗鬼の心を更に深めるように、
「インターネットを含めた様々な情報過多」
の世の中の中で、
「何が一体真実なのか?」
を判断していく材料そのものが、
「混沌」
としており、
「人を信じる」
という優しい心が大いに損なわれていると私は感じているのです。
私は、ビジネスはもちろん、地球上の動物の中で高度に進化した人間が住む社会は、
「信頼」
によって形成、発展していると思うのですが、
「だまされた者は愚かである。」
「だます人間よりだまされる人間になりなさいといった考え方は止めなさい。」
との様相が強まる人間社会にあって、
「何を人間の倫理観の基軸として生きていけばよいのか。」
が分からなくなっていると思います。
今の世の中を、
「信頼関係の無い社会」
とは決して申しませんが、
「信頼関係の薄い社会」
になっていると思われ、こうした世の中にあっては、
「人類のこれ以上のプラス面での成長の速度は大いに鈍化する。」
と考えられ、こうした中では、せっかくビジネス・スキルや事業の展開を検討して利潤拡大を目指しても、その後に一体、私たちにどんなものが残るのか疑問であります。
そもそも人々の価値観は大いに多様性があり、その中でそれぞれが幸せを求めていると思いますが、
「他人を損なわない。
他人に迷惑をかけない。
他者を尊重する。」
ということを先ずはベースにして、自分の幸せを考えるべきであり、例えば、
「他人を傷つけても自らの利益を追求する。
間接的であれば他者に迷惑をかけても一応は許される。
他者に自らの価値観を押し付ける。」
といった行動パターンを多くの人間が採り始めると、どうしても社会は混沌に陥り、更に他者に不信感を持つような世の中になってしまうと思います。
今日はつまらぬことを書いてしまいましたが、日ごろ、経営の参考に、国際情勢分析のために等々、色々と考えているつもりなのですが、どうも、最近はそうしたことをすること自体、
「虚しい」
と感じることが多く、そしてその虚しさの背景には、
「人々の、他者を尊重する、他者を信頼する心の衰退」
があるのではないかと感じていることから、こんなことを書いてしまいました。
繰り返しになりますが、高度に進化した人間の最大の徳は、
「他者を、愛を以って尊重し、信頼することにある。」
と私は信じています。
青臭いことを申し上げていますが、これが無ければ、様々な経営スキルもビジネス・ノウハウも生きてこないと私は思います。
皆様方は如何、お考えになられますか?
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