SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2009年12月[Sanada発 現場から]


「来年の日本経済は?そして投機性資金は規制されるか?!」

 

[世界経済動向の中で見る日本経済の見通しについて]
 世界経済の先行きに不透明感が残る中、日本経済の先行きも不安視されています。
 私がここで、取り上げる視点は、日本企業、特に中堅中小企業の経営的視点から見た経済動向であり、日本企業を取り巻く経営環境は、
*米ドル安・円高による悪影響
*デフレ下での原材料、原油価格の高騰による利益環境の相対的悪化
*エコカー減税、エコポイント等による政策効果の剥げ落ち不安
*売上不振が続く中、限界比率を越える売上高が確保できぬことから生じる不安
といった短期的不安と、
*少子高齢化、人口減少に伴う、潜在的消費者、潜在的労働者数の減少に伴う不安
*財政収支悪化に対する懸念拡大
*不透明な政治体制と日米関係に対する不安
*成長産業分野の弱体化
といった中長期的な不安が絡み合い、日本国内外で、共に日本経済に対して厳しい見方を示しています。
 各国はここにきて、景気刺激策で持ち直しを見せ、特に新興国は既にインフレを懸念、それを意識した景気拡大策への転換を示す姿勢を示唆しているにも拘わらず、日本には、
「米ドル安・円高進展下での株安状況」
が見られ、不安は更に増長されています。
 こうした日本を尻目に、世界は、
*上述したとおり、新興国経済の比重の高まり
*米ドル基軸通貨体制の相対的弱体化
*投機性資金の流入を大きな背景としたと見られる原材料、エネルギー価格の上昇
*地球環境問題対応の拡大
*脱化石エネルギーを一つのキーワードとした電気自動車化、原子力発電の拡大、鉄道の高速化といった産業構造の転換
*欧州発金融不安再発懸念の持続
*中国本土の様々な面での存在感拡大と米国とのG−2体制確立の見通し
といったものが変化として予想されています。
 こうした中で、ただでさえ、高齢化・人口減少化と潜在成長力の低下が不可避と見られる日本にとっては、いつも、私がこのレポートで申し上げているとおり、
「外貨獲得が可能な企業や人材の育成、発展」
を大命題として、
「一騎当千の人、企業を一人でも、一社でも多く輩出すること。」
その為には、
「マニュアル化できない技術を持った人、企業を輩出、新興国は元より、先進国との比較競争優位を確保すること。」
「一般的には、少量(可能な限り大量)多品種、高品質、高利潤の経営を目指す。」
「また、世界が必要とするものやサービスを量と価格を安定的にして、世界に安定供給できる企業をたくさん持つ国となること。」
「水、食糧、原材料、エネルギーといった人々が生きていくために必要なものを意識した経営戦略を意識すること。」
「メンテナンスでのスタンダードを確保し、目立たぬ分野での影の世界的スタンダードを獲得すること。」
「そして、こうして世界に貢献する平和的な国・日本を世界にアピール、日本国民はそれを誇りとして生きる国家となること。」
を目指すべきではないかと考えています。
 皆様方は如何、ご覧になられますか?
 尚、私には定量分析を出来るだけの定量データの情報と情報処理ツールがないため、各金融機関が最近発表しているデータを基にして、以下の表を作成しました。
 ご参考まで、ご覧ください。
出所:日本国内各金融機関発表データより筆者が修正したいずれも推定値
単位:特段の明記のないものは前年度対比の増減率%

 
2009年
2010年
GDP成長率
日本
-3.0
2.0
米国
-2.5
2.5
欧州
-4.1
0.5
中国本土
8.5
9.0
年平均円米ドル相場
90円
95円
年平均円ユーロ相場
126円
130円
原油価格
69米ドル
85米ドル
日本
 鉱工業生産
-10.2
7.5
 消費者物価
-1.4
-0.5
 失業率
5.7
5.5
 経常収支
17.5兆円の黒字
19兆円の黒字

[投機マネーの抑制について]
 こうした状況下、私が最近、いつも気になっていることは、
「投機的な動きが実体経済を傷つけているのではないか?」
ということであります。
 投機的な動きに翻弄され、泣くのはいつも多くの弱者である、という仮説が成り立つのであれば、やはり投機性マネーは抑制しなければなりません。
 さて、著名雑誌・エコノミストによれば、世界の主要市場では、投機性の資金の動きが活発化、投機性資金と実需資金の比率は9:1となっており、投機性の資金が、実体経済を揺さぶっているのではないかといった主旨の見方をしています。
 また、こうした中、中国本土などに代表される新興国は、投機マネーの自国への流入を抑制することを目的に、資本規制を導入しようとしています。
 一方で、こうした新興国の動きは、世界の投資家の新興国向け投資の動きを今後、抑制する危険性も孕んでいるとの声も聞かれます。
 国際金融市場では、欧米の政策金利がゼロ金利に近いことや、米ドルの下落を背景にして行き場を失った米ドル資金が、今後、高成長経済や高金利市場となっている新興国に、投機マネーとして流入するとの見方をしていますが、新興国はこれを懸念、一方で、こうした新興国の動きを懸念する投資家は新興国向け投資を抑制するとの姿勢を示唆、ここで、双方の力の綱引きも見られるようになっています。
 新興国にとっては、投機マネーが流入、これを受けて自国通貨が上昇すれば、輸出競争力が減退、また、固定相場を採用している場合には、為替介入の影響でインフレになりかねず、いずれの場合も、国家の経済運営が複雑になる恐れもありましょう。
 逆に、世界経済が回復して欧米の緩和政策が終了、米ドル相場が安定すれば、新興国に流入していた投機マネーは、一挙に流出、その結果として、その後の新興国経済は人為的な景気低迷に陥る危険性もあるとも言えます。
 こうしたことから、冒頭に申し上げましたとおり、ブラジルやロシア、インドネシアはここ6週間、投機マネーの抑制策を打ち出していると思われます。
 例えば、ブラジルは本年10月、海外からの株式・債券への投資資金を対象に2%の金融取引税を導入、国内企業が発行した米国預託証書(ADR)の取引に1.5%の税金を導入しました。
 こうした動きは今後もしっかりとチェックしていきたいと思います。
 一方でまた、国際通貨基金(IMF)は、新興国の経済成長率は、本年は1.7%と、2008年の6.0%、2007年の8.3%から大きく減速すると見ていますが、しかし、先進国の本年の経済成長率見通しが約3.4%のマイナスであることを考えると、新興国の今年の経済成長率は良好といえましょう。
 しかし、来年の経済成長率は5%程度になる見通しで、依然として、2007年のピークを大幅に下回っています。
 こうした新興国経済を今後、世界の主要投資家は、どのように評価し、その結果としてどのような投資行動を示すのか?一方で、新興国は投機性資金を自国経済に役立つ資金と見るのか、自国経済を傷つける資金と見るのか?或いは投機性資金をある程度コントロールできると見ているのか?などチェックしていきたいと思います。
 皆様方は如何ご覧になられますか?

 

 皆様方、どうぞ、良い年をお迎えください。
 そして、
 来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会
Copyright (C) 2004 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved