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2010年1月[Sanada発 現場から]


「日本はどうなるか?!改めて見直す」

 

[基軸通貨・米ドルの復権期待と、改めて日本経済を見通す]
 私は、即効性のある世界経済の回復については、
「米国経済の回復」
は不可欠であり、また米国経済の回復については、
「基軸通貨・米ドルの復権(一時的でもよいので)」
は不可欠であると考えています。
 そして、国際金融市場にはまた、
「基軸通貨・米ドルはそう容易くは崩壊しない。」
という見方もあり、ある意味では安心感を持って見る向きもあります。
 しかし、その米国経済、足元を見るとまだまだ決して安心は出来ないようです。
 それはまた、実体経済面での不安のみならず、金融面での不安にも及んでいると思います。
 例えば、景気対策のために、米国債=Treasury Bond=が大量に発行されていることによって、米国政府は資金調達の長期化を急いでいると見られる一方、国債の安定消化が厳しくなってきていることから、この結果として、国内・米ドル長期金利が上昇しています。
 更に、米国債をこれまでも大量に保有している安定引き受け手である日本政府と中国本土政府は、米国債の購入をスローダウンしてくるのではないかとの見方も、最近では出てきています。
 そして、この結果として、
「今はやや持ち直している米ドル為替相場も、結局は、再び、米ドル下落傾向が見えはじめ、基軸通貨・米ドル復活に水をさすのではないか。」
との不安を増幅しているように思います。
 更に、その過程では、米国政府は米ドル買い市場介入容認の動きを示すとも予測され始めており、市場では来るべき混乱に備えなければならないといった雰囲気も少しずつ芽生えているやに聞いています。
 国際金融面から見ても、米ドルはまだまだ不安定な状況にあるようです。
 尚、それでも尚、基軸通貨である米ドルを意識する動きは強く、今般、日中韓3カ国と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国は、世界的金融危機のような米ドル資金不足に共同で対処するため、域内の通貨交換協定「チェンマイ・イニシアチブ」を多国間化した共同基金を本年3月24日に発足させると発表している点、注目したいと思います。
 当初の基金規模は1,200億米ドルに設定されており、今後、こうした安全弁がアジア経済にどのような影響を与えるのかについても横睨みをしていきたいと思います。
 さて、このように見てくると、米国経済が不安定な中、日本経済の回復も遅れるのではないかとの見方を強めておくほうが安心かもしれません。
 そこで、今回は昨年末にご披露した今年の見通しに加えて、来年2011年に向けての中期的視点から日本経済を概観してみたいと思います。即ち、
[プラス要因]
*世界経済のゆっくりとした回復に伴い、円高などの影響はあるものの、外需部門は回復してくると期待される。
*輸出関連企業を中心に企業部門に改善が見られる。
*企業部門の改善に伴い設備投資にも下げ止まりが見られる。
*物価の安定が続き、更に金融政策も安定が続く。
*エコカー減税、エコポイント制度などが継続される。
[マイナス要因]
*雇用環境の悪化が続き、失業率の改善が見られない。
*民間消費、就中、個人消費の回復に力強さがない。
*住宅投資にも回復傾向が見られない。
*デフレ下での原材料・エネルギー価格の高騰が続く。
といったことが予想され、全体としては、2010年前半は景気停滞が続く、後半に持ち直しが見られ始め、2011年から安定回復へと向かうといった見方が一般的となっているようです。
 こうしたことを前提に昨年12月号で示した経済見通しに、2011年の予測を加えていくと下記のようになります。
 ご参考まで。
出所:日本国内各金融機関発表データより筆者が修正したいずれも推定値
単位:特段の明記のないものは前年度対比の増減率%

2009年
2010年
2011年
GDP成長率
日本
-3.0
2.0
2.5
米国
-2.5
2.5
3.0
欧州
-4.1
0.5
1.2
中国本土
8.5
9.0
10.0
年平均円米ドル相場
90円
95円
100〜105円
年平均円ユーロ相場
126円
130円
130〜135円
原油価格
69米ドル
85米ドル
85米〜90米ドル
日本
鉱工業生産
-10.2
7.5
7.0
消費者物価
-1.4
-0.5
0.0〜0.5
失業率
5.7
5.5
5.0
経常収支
17.5兆円の黒字
19兆円の黒字
20〜22兆円の黒字

[韓国が見るアジア経済]
 さて、ここで今回は少し視点を変えて、韓国が見るアジア経済について、簡単にコメントしておきたいと思います。
 即ち、韓国国内では、外資系金融機関が、韓国経済について、
「今年の韓国経済は5%成長する。」
と見通しを示していることに高い関心を寄せています。
 そして、韓国の国際金融センターは、こうした海外主要10金融機関の韓国経済展望値を比較、今年の韓国経済の成長率を平均5%と集計、更に来年の成長率は4.1%と予想されていると報告しています。
 こうした外資系金融機関の中では、例えばドイツ銀行と野村證券で5.5%、BNPパリバが5.4%と予想、またUBS(4.6%)、シティバンク(4.7%)、ゴールドマン・サックス(4.8%)などは比較的厳しい見方を示しているとも報告されており、国際通貨基金(4.5%)、経済協力開発機構(4.4%)、国際復興開発銀行(3.7%)などの国際金融機関は、韓国経済の本年度の成長率について、引き続き、厳しい見通しを示していることも報告しています。
 そして、こうした前提として、世界の主要国家の経済成長率について、
*米国:3.0%(私の見通しよりも0.5%高い)
*ユーロ経済圏:1.7%(私の見通しよりも1.2%高い)
*日本:1.5%(私の見通しよりも0.5%低い)
*中国本土:9.8%(私の見通しよりも0.8%高い)
*インド:7.9%
*シンガポール:6.2%
*インドネシア:5.6%
*台湾:5.3%
*マレーシア*5.1%
*韓国:5.0%
*香港:4.9%
*タイ:4.6%
*フィリピン:4.3%
などと予想しています。
 こうした海外勢の見方も参考にしながら、今年も経済を予測しつつ、頑張っていきたいと思います。

 皆様方は如何ご覧になられますか?

 

 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ド レスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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