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2010年2月[Sanada発 現場から]


「拡大する中国本土と環境ビジネス」

 

 国際情勢が大きく変化する中で、やはり中国本土の動きは注目されます。
 そうした中、今日は先ず、経済動向を占う一つのポイントである為替について、一言コメントした上で、中国本土について、コメントをしていきたいと思います。

[為替動向]
 為替相場展開には神経を払われる企業の皆様方も多いかと思います。
 特に円・米ドル相場の動きは企業経営の根幹の一つとなっているところもおありになるかと思いますが、先行きの読みは全く難しいです。
 私は、あくまでも「基軸通貨・米ドル体制」は簡単には崩れず、少なくとも、一旦は、米ドルが戻してくると昨年10月以降から期待をしていますが、今ひとつです。
 そうした中、為替のプロの私の知人は、3月まではこうした状況が続くと見ているようです。
  ご参考まで、まずは彼の分析を引用させて戴きます。

「米ドル・円の軟調な展開となっている。
 これは月初に発表された米雇用統計が 期待外れであったことに端を発する。
 加えて、先週発表されたオバマ米大統領 による金融規制案発表をきっかけに世界的に株価が軟調となったことで「リスク資産売り、安全資産買い」の動きが起きており、これが円買いへとつながっている。
 今後、経済指標などにおいて米国独自の悪材料が出れば米ドルの下落スピードに拍車がかかる可能性がある。
 なお、90円台を切る米ドル・円は、ややオーバーシュートの水準ではあるが、その水準訂正のための米ドル買いが見られるのは本邦投資家が新年度入りする4月以降となろう。
 テクニカル分析では、一目均衡表(月足)において相場の方向性を示す基準線が下向きとなっているため、潜在的に下降トレンドを継続している。
 しかしながらこれは3月までで、4月から水平となるため、その時期から米ドルが買われる可能性を念頭にいれておきたい。」

とのことであります。
 やっと、少なくとも一旦は米ドルが本格的に戻ってくる、そして米国経済が世界の基軸として一旦は戻る、春以降は大いに期待したいと思います。

[中国本土の底力について]
 さて、目先の為替動向はそうであるとしても、やはり世界経済の中核の一つとして台頭してきている中国本土については、皆様方のご関心も高いものと思います。
 そこで、次に「中国本土の底力」について、ちょっと考えてみたいと思います。

 中国本土の経済成長は依然として、世界レベルでの相対比較で見ると堅調であり、国内総生産=GDP=で見ても、ドイツを引き離し、単独の第三位、それどころか、これまでGDPで見て、世界第二位の経済大国の地位を長年確保してきた日本をいよいよ追い抜き、一気に引き離すであろうとの見方が強まってきています。
 私から見ると、GDPの規模が大きいことは、ある意味では、マルサスの人口論の背景にもあるように、
「消費者の数、労働者の数が多いこと。」
に大きく影響される訳であり、世界第一の人口大国・中国本土がその経済発展とともに急速に拡大していくことは、必然とも考えています。
 また、そうした意味で、その中国本土よりも人口拡大の予測がなされつつ、経済発展基調を維持するインドも大いに注目しなければならないと考えています。
 そして、逆に言えば、人口大国であるにも拘らず、GDPが拡大してこない発展途上国は、一人当たりの国内総生産、国民所得が拡大せず、貧国のままで留まっているといった課題を抱えているとも考えられ、まして、そうした途上国が、人口大国であるにも拘わらず、経済成長が停滞するということは、社会不安などにもつながる危険性もあると見ておかなければならないでありましょう。
 しかし、とにかく、いずれにしても、中国本土は、人口も拡大しつつ、経済成長は更にその速度を上回る拡大してきており、だからこそ、
「世界の生産現場として、また世界の消費市場として」
今現在は大いに注目されていると言えるのではないでしょうか。
 もちろん、中国本土には依然として、富の不均等な分配状況、国有企業の非効率問題や、水面下に隠れていると不良債権問題、農業や食糧問題、環境問題など、さまざまな課題が存在しており、手放しで、その発展を喜べる状況にはありませんが、世界水準で見れば、やはり、相対的には、
「その政治力、外交力、軍事力と共に経済力も大いに拡大しており、世界の国家の中で底力のある国」
であると評価してよいのではないかと考えています。
 そうした中でまた、中国本土では自動車の新工場建設計画が急増、外資との合弁事業を展開する企業だけでなく、自主ブランドメーカーも生産を増強しており、上位10社で2009年に約1,200万台だった生産能力は2012年には約2,100万台に達するとの予測も出ており、現在の世界の中核産業の一つである「自動車産業」に於ける中国本土の存在感の拡大は、正にその「底力」の表れであると私は見ています。
 自動車産業のみならず、また世界の素材産業の軸である鉄鋼生産についても、世界鉄鋼協会のデータによると、
「2009年の世界の粗鋼生産量は前年対比8%減の12億1,970万トンとなり、2年連続で前年割れとなったが、欧米に比べ景気回復が早い中国本土は13.5%増を記録した。
 これにより、世界の粗鋼生産シェアの半分近くは中国本土が確保、その生産規模は米国の約10倍に達している。(因みに中国本土の生産量は5億6,780万トンと過去最高の水準を更新。世界の粗鋼シェアは2008年から8.9ポイント上昇し、46.6%となっている。)」
と報告されています。
 こうした実体経済での状況を見ても、中国本土は、その人口を背景としてのみならず、経済力そのものの底力もつけてきていると見ておきたいと思います。

[環境ビジネスの可能性と中国本土]
 一昨年9月のリーマン・ショック以降、世界経済は低迷を続けていますが、ここにきて、やっと回復の兆しが見られ、特に先進国に比べて、新興国経済は回復が本格化しつつあると言えましょう。
 しかし、
「行き過ぎた信用創造によって膨らんだバブル経済が、突然の信用失墜によって急落、急激な信用収縮に陥り、混沌の経済状態になってしまった。」
という教訓から、国際金融大国・米国に於いても、信用創造に対する規制が加わったことから、リーマン・ショック以前の経済規模にまで、世界経済の規模は簡単には回復しない。」と見ておくべきでありましょう。
  従って、その落ち込み分は他のビジネス・モデルによってカバーしていかなくてはならないと思うのですが、私はその一部分は、環境関連のビジネス・モデルによってカバーされるものと考えています。
 また、世界のリーダー国家・米国はまた、
「新しいビジネス・モデルとなるであろう環境関連ビジネスに於いて、主導権、即ち、環境関連のルール作りとルール管理の地位を確保し、世界に於けるリーダー国家としての地位を維持していく。」
との姿勢を貫き、
「覇権国家」
としての地位を確保し続けるという戦略に出てくるものと見ています。
 従って、私の視点からすると、今後の世界経済の中で、環境ビジネスに関与していくためには、こうした大局的な状況を意識していくことが肝要であると考えています。
 そして、その上で、更に環境ビジネスを具体的に推進していこうとすると、以下のような点を意識していくべきであると私は考えています。
 即ち、
* 関与したい環境ビジネスは国内で行うのか?海外で行うのか?或いは内外双方で行うのか?
* 関与する環境ビジネスはハードか?ソフトか?或いはハード・ソフト共にか?
* 当該環境ビジネスの中で、何処で利益を上げるのか?誰から利益を受けるのか?
* 当該環境ビジネスの市場規模は一帯どの程度と推測されるのか?
* また、その継続性はどの程度あるのか?
* 当該環境ビジネスの資金回収リスクはどの程度あるのか?また、為替リスクを抱える可能性はあるのか?
* 日本政府や国際機関の関与の可能性はどの程度あるのか?
といった点をしっかりと意識して、具体化を目指していくべきであると考えています。
 そして、注力していく分野としては、
「資源・エネルギー問題と環境」
をきちんと意識したビジネス展開を考えていくべきであり、例えば、
「風力、太陽光、バイオマスといったいわゆるクリーン電力」
の分野を意識、更にもう一歩踏み込み、
* 家庭用燃料電池
* 電気自動車
* 太陽光発電
* 鉄道の高速化事業
といった分野を具体的なビジネスの場として捉えていくことが、先ずは近道かもしれません。
 そして、日本政府も、
「エコ住宅、エコ家電、エコカー」
といった分野に注力すべしとの姿勢を示唆しており、こうしたことを前提に、
「一気に日本の社会インフラそのものの改革を行い、その結果として、日本人のライフスタイルそのものを改善していく。」
ことまで念頭に置いた具体的なビジネス展開をしていくべきではないかと私は考えています。
 そして、その環境ビジネスの主たる、そして大きな戦場に「中国本土」が挙げられていると私は見ています。
 今後、中国本土を舞台に日本勢が如何なる環境ビジネス展開を進めるのか、環境スタンダード(ルール作り)を構築していく上からも、積極的な関与が必要なのではないかと私は考えています。

 皆様方は如何ご覧になられますか?
 

 次回号もまた、どうぞよろしくお願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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