SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2017年6月[Sanada発 現場から]


韓国と中国本土


 今回は日本とは近く、日本に様々な影響力を与える韓国と中国本土についてのトピックスを取り上げたいと思います。

[韓国経済の現状]

 韓国経済については、日本にとっても、関係が少なくなく、一定の関心を持って、フォローしていくべきかと思います。
 即ち、例えば、日本企業の対韓投資残高は300億米ドルを超えており、また、東レやデンソーなどの日本主要企業の一部は、韓国国内市場はもとより、韓国を輸出拠点の一部として、韓国進出、韓国企業との連携をしており、また、日本の中堅・中小企業の一部には、日本企業に対する核心部品の供与ばかりでなく、韓国企業への供与も行っており、こうした企業にとっては、韓国経済の状況は、ビジネスそのものにも影響しますので、韓国経済のフォローは不可欠となりましょう。
 こうした中、北朝鮮問題があるにも拘らず、比較的堅調に推移してきた韓国経済に関して、中央銀行である韓国銀行は、
「景気回復への期待が強まりつつある。」
とコメントしています。
 一方で、中国本土や北朝鮮、或いはロシアを向いて、相対的には国家運営をするであろう、従って、米国との関係を重視した暫定政権が進めてきたTHAADの配備も反故にするかもしれない文氏の大統領当選が米韓関係にどのように影響を与え、それが、韓国経済に如何に影響するのか、更には、まだまだ、流動的な北朝鮮問題の展開が韓国経済にとってどのように影響するのか等々をもう少し細かくフォローしていく必要があるかもしれません。
 しかし、今日は、以下に、上述した、韓国銀行が発表した本年1〜3月期の韓国経済概況の内容を基に、これをフォローし、韓国の中央銀行が見る韓国経済の現状を確認しておきたいと思います。
 ご参考になれば幸いです。

 韓国の本年1〜3月の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期対比0.9%増と、前期の増加率である0.5%から0.4ポイント上昇し、昨年4〜6月期の0.9%以来、3四半期ぶりの高い成長率となったことを韓国銀行は指摘、その上で、
「世界的な景気の回復で輸出が持ち直している上、建設投資と設備投資も伸び、景気回復への期待が徐々に膨らんでいる。」
と言った主旨の見方を示しています。
 そして、これを受け、韓国国内では、
「韓国銀行が示したデータは、市場の見通しであった0.7〜0.8%も上回った。
 このままのペースで景気の回復が続けば、年間の成長率は韓国銀行が今、示している見通しであるところの2.6%を上回る。」
との見方も出てきています。
 そうした総括をした上で、韓国銀行の発表内容を引用してみますと、
「本年1〜3月期のGDPの伸びは、設備投資の大幅増が続いていることに加え、建設投資と輸出がプラスに転じた影響が大きい。
設備投資の増加率は前期比4.3%と、前期の5.9%を下回ったが、前年同期対比では14.3%の高い伸び率となった。
 これは半導体が好況で、半導体製造装置など機械類の投資が急増した為と見られる。
 また、建設投資は分譲物件の増加などにより、前期のマイナス1.2%から5.3%のプラスに転じた。
 輸出も前期は前期対比でマイナス0.1%となったが、本年1〜3月期は半導体、機械・設備などを中心に1.9%増加し、また、輸入は機械および設備、精密機器などが増加し全体で4.3%増加している。
 民間消費は非耐久消費財とサービスが減少した半面、海外消費が伸び、増加率は同0.4%と、前期の0.2%を上回った。
業種別で見ると、輸出回復を追い風にした製造業の成長が牽引している。
 建設業も4.0%伸び、2015年7〜9月期の4.2%に次ぐ高さとなり、農林水産業も6.4%成長している。
 一方、サービス業は卸小売業および飲食宿泊業、文化およびその他サービス業などは、0.1%増となっている。」
とコメントされています。

 新政権の国家運営姿勢と北朝鮮問題の推移もフォローしつつ、今後の韓国経済の行方を眺めていきたいと思います。

[中国本土の覇権志向と軍事力]

 私には、
「中華人民共和国は現行の世界秩序の変化を主導的に起こそうとしている。」
としか、どうしても見えません。
 例えば、国際社会に対しては、
「一帯一路構想=シルクロード構想」
を示しつつ、中国本土の影響力を強めようとしています。
 既に12兆米ドルを超えた国内総生産規模などを背景として、中国本土は、
「経済力にものを言わせた世界統治」
に強い関心を示している私は見ています。
 また、そうした意味で、私は、
「中国本土の覇権=Hegemony=に対する強い野心」
を感ぜざるを得ません。
 しかし、真に覇権を意識するのであれば、
「軍事力」
の背景の無い覇権は意味が無いことを中国本土は十分に認識しているはずであり、実際に、中国本土は、軍事的覇権の拡大に関してもかなり踏み込んだ戦略を取ってきているものと私は見ています。
 そして、

  1. 現実的には海洋権益の拡大を意識した制海権の拡大を意識しているものと見られますが、グローバルな視点からの覇権を意識して、
  2. 宇宙開発を中心とする制宙権の拡大を意識、中国本土一国・単独での宇宙開発に注力している。

と見られます。
 さて、それでは、その中国本土の軍事面を司っている組織は何になりましょうか?
 それは、
「人民解放軍」
であります。
 中国本土は、かつて国共合作で大日本帝国の侵略に打ち勝った後、国共内戦が発生、その結果、毛沢東率いる中国共産党が勝利し、1949年に中華人民共和国か
建国されましたが、その建国の立役者たる、
「人民解放軍」
のそもそもの存立理念は、
「資本家や地主から搾取される人民を解放し、貧富の格差を打破しようと言うスローガン」
の中に込められていました。
 そして、社会主義国家・中華人民共和国建国の後は、当時、中国本土が目指してきたマルクス・レーニン主義に於ける、
「国家の軍隊は、人民を抑圧、搾取し、侵略、植民地支配の為の手段である。
 一方、人民解放軍は、人民のために革命を遂行・防衛する為の存在であり、国軍ではあり得ないのである。」
との考え方の下、今も、あくまでも、
「人民」
を意識した存在であります。
 よって、国務院と人民解放軍には上下関係も隷属関係もありません。
 そして、人民解放軍の指揮権は、事実上、
「中国共産党の中央軍事委員会」
が持つということになります。
 尚、その中央軍事委員会の基本姿勢は、孫子の兵法に見られる、
「戦わずして勝つ。」
ということにあり、その為には、

  1. 国際世論を含む世論戦に勝つこと、こうしたことを前提に、「嘘も100回言えば本当になる。」との国際世論戦略を展開し、仮想敵国の国際的なイメージの低下を図る。
  2. 脅したり、すかしたりする心理戦を展開し、仮想敵国にダメージを与える。
  3. 国際法を生かした法律戦を展開し、中国本土に対する支持を集める一方、国際的な範疇意識の抑制を図る。

といった具体的な戦略を取った上で、その後、必要に応じて、いよいよ本当の武力行為に出るという戦略を持っているように思われます。
 ところが、今、中国本土の人民解放軍は、本来はもっともっと現在の為政者の抑圧や搾取から中華人民を解放しなくてはならないはずであるのに、国家間の覇権争いの道具とされ、私の見るところでは、間違いのない、
「国軍」
として、
「仮想敵国」
と戦うことを前提とした軍隊となっているものと思います。
 こうした、人民の為の軍隊ではなく、中華人民共和国の国軍と化した、否、中国共産党の軍隊と化した人民解放軍が今後、どのような行動を取るのか引き続きフォローしていきたいと思います。
 尚、この人民解放軍は、朝鮮半島問題に関しては、
「血の同盟関係で結ばれている北朝鮮の人民は今、金正恩氏とその取り巻き達に支配、搾取され苦しんでいる。
 その朝鮮人民を解放する為に行動を起こす。」
と言った論理を以って、米軍と呼応、金正恩政権に圧力をかけ、
「北朝鮮の核開発とミサイル開発の即時停止、そうした意味での現状維持」
を具現化する、また、万一、それでも金正恩政権が核開発とミサイル開発を注視しなければ、必要に応じて、本当に、北朝鮮に対して、瞬時に金正恩氏とその取り巻きを削除する為の軍事攻撃を実施する可能性もあると私は見ています。
 そして、こうした行動を取っていけば、米軍と人民解放軍の関係改善に資するといった副次的産物も期待できるかもしれないと中国本土は考えているかもしれません。
 一方、逆に核開発とミサイル開発を北朝鮮が終えてしまえば、人民解放軍は北朝鮮の朝鮮人民軍を従えて、新たな北東アジアの軍事覇権の構築に向かう可能性があることも私は否定しません。
いずれにしても、今後の動向を注視したいと思います。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会分科会
Copyright (C) 2004 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved