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2018年7月[Sanada発 現場から]


外国人の見た日本


[はじめに]
今回は、外国人の見た「日本」に対するコメントを取り上げてみたいと思います。
その一つは、有名なライシャワー教授の著書から試図纏めてみた日本論です。
全般的に、良く評価してくれています。
もう一つは私の知人のコメントです。
これは大変厳しいコメントです。
読み比べて戴ければ幸いです。

[ライシャワー教授の見た日本]
第二次世界対戦後の日本の経済発展の背景について、著名なるライシャワー(Dr.Edwin.O.Reischauer)博士・元駐日大使は、その著書の中で、下記のような主旨のコメントをされています。
私なりに、そのコメントを日本語にし、更に、それを外的要因と内的要因に分類したものが以下の通りであります。
[外的要因]
1. 米国が多くの日本の製品を購入し、巨大な市場を日本に提供したこと。
2. 第二次世界大戦後、世界の安定化に伴い、日本は良質のエネルギー資源を確保することが出来るようになったこと。
3. 米国との連携により防衛費を極小化出来る様になったこと。
[内的要因]
1. 辛い仕事をやり抜く国民が存在したこと、教育水準が高いこと、技術水準が高いこと、そして、政治的安定、財政の安定を求める能力に長けていること。
2. 国家として、工業力の確立に向けて注力し、産業分野への投資を優先したこと。
3. 戦災によるゼロからの出発という「捨てるものの無い者の強み」が上手に発揮されたこと。
4. 民間企業の発展方向性と政府の国家産業発展の方向性がバランスよく整合性を持ったこと。
[内的・外的要因]
戦争による領土の縮小が、むしろ、国家運営コストの削減を齎し、その国家的余力を国内産業発展に注いだこと。
と言った点をライシャワー博士は上げています。
ライシャワー博士が指摘されたこうした点を意識すると、今の日本の低迷の背景はある程度理解できます。
即ち、
1. 米国の日本に対する市場提供の度合いは低下し、むしろ、国家関係が必ずしも良好とは言えない中国本土の度合いが増している。
2. 化石エネルギーコスト上昇の中、東北大震災・福島原発事故を背景に、核エネルギーの確保に向けての方向性が一変したこと。
3. 米国との連携の下、米国から大きな防衛負担を強いられるようになってきていること。
4. 裕福となる中、辛い仕事をやり抜く国民が相対的には減少、諸外国との間で相対的な教育水準、技術水準の高さと言う比較競争優位が失われていること、政治的安定を求めるが故、必要な変化が見られぬこと、そして、財政赤字は劣悪の状況となっていること。
5. 第三次産業のウェイトが高まる中、工業力の確立に向けた熱意が相対的には低下していること。
6. ゼロからの出発のメリットが失われ、むしろ、高度成長による成功体験が国家発展には足かせとなっていること。
7. 民間企業と国家戦略の整合性に乱れが見えていること。
8. 体制維持のためのコストが増加し、国内産業発展に注いだ国家的余力が損なわれていること。
などから、かつての経済発展の背景が大きく毀損していると思われます。
その上、先進国となり、潜在的なインフラ開発の需要も少なくなり、潜在的な消費財を求める需要も弱く、更に、今後は少子高齢化を背景とした人口減少も加わり、日本が、少なくとも、
「安定成長という名の低成長」
となることは必然ではないかと思います。
従って、ここでは、大きく発想を変え、国家全体として、
「先進国化、人口減少化に伴う国内需要の低迷」
を一定程度前提としつつ、
「グローバルマーケットを意識した大量生産・大量販売型マスビジネスを推進できるグローバル大企業の育成」
に注力する一方で、
「日本内外のマーケットを意識し、少量変量、多品種、高品質、そして高利潤を追求し得る実力ある中堅・中小企業」
の育成に国家として注力すべきであり、その為に必要な人材を生むための大胆な国家教育改革の推進、選挙制度の改革、財政赤字削減に向けた財政支出方針の大幅な転換、そして、年金制度・国民皆保険制度の抜本的な改革を先ず、勇気を持って実行することが日本にとっては急務のことであると私は考えています。

[ある外国人から聞いた日本に見られる忖度の評価]
皆様もお気づきのように、最近は、
「忖度」
という言葉が突然流行するようになりました。
学生たちもしばしば、
「忖度」
という言葉を使っていますし、その浸透度は顕著なものがあります。
そして、ご存知のように、この忖度という言葉の意味は、
「忖」も「度」も「はかる」という意であり、他人の気持ちをおしはかること。」
と言う理解がなされています。
ところで、この忖度と言う言葉と類似する言葉の一つとして、私は、
「思い遣る」
と言う言葉があると思います。
即ち、思い遣るとは、
「他人の身の上や心情を推し量って、同情する。また、配慮する。
遠く隔たっている人や物事を思う。思いをはせる。」
と言った意味と解釈されています。
しかし、一方で、私はその言葉の違いについて、現行の日本人の使い方を見ると、一般的には、
「思い遣るは、基本的には同じ目線から、愛情を持って、相手、他人のことを慮る。」
と言った温かいイメージが強い一方、
「忖度は、下の者が上の者の思いを推し量るとともに、上の者の意向に合わせて言動することまで含む意味である。」
と理解されます。
類似していると申し上げましたが、現状では、上述したように、
「大きな違いを持つ言葉」
として利用されているようです。
ところで、英語を母国語とする外国人にこうした違いを説明しようとすると、とても難しく、また、この二つの言葉にそれぞれぴったりと当てはまる一語で示す英語の言葉はないように思います。
そして、敢えて一言で示すとすれば、
「consider」
「conjecture」
あるいは、むしろ、もっとシンプルに、
「guess」
と言う言葉が当てはまるのではないかと私の拙い英語力では思いますが、やはり、
「sontaku」
を英語一言で表現することは相応しくないと私は考えます。
こうした中、ある英語を母国語とする外国人が、例の、
「森友学園問題で、検察が財務省のこの事件関係者の刑事訴追が難しい。」
と言う報道が流れる一方、民間企業である、
「神戸製鋼は文書改ざん、データ改ざんに関連して訴追される。」
との報道が流れた直後に、
「日本は、検察までもが忖度するのか?」
と語った上で、公的な局面で忖度が行われているとは即ち、
「日本は人治国家であると言う印象を持つ。」
とコメントすると共に、今回の検察の動きを見ていると、
「日本には三権分立の精神は浸透しておらず、即ち、統治=Governanceがきちんとなされていない国家であると言う印象も持つ。」
と語っていました。
「もりかけ問題」
については、関係者たちは、日本国民に対して、もっと、
「透明性=Transparency」
を高めて説明する必要があることはもちろん、こうした、
「外国人たちの日本に対する不信感の払拭」
を図る上からも必要ではないかと感じたコメントでありました。?
日本に対する外国人の目は、かなり厳しくなっているように思います。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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