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2018年9月[Sanada発 現場から]


コスタリカとラオス


[はじめに]
 今月は、何の関連もありませんが、私が関心を持つコスタリカとラオスについての私見をご披露申し上げたいと思います。
 直ぐに、読者の皆様のビジネスに繋がるような地域ではありませんが、何かのご参考になれば幸いであります。

[コスタリカの首都、サンホセ]
中米のコスタリカの首都であり、最大都市はサンホセであります。
このサンホセは、サンホセ州の州都でもあります。
面積は、市域で44.62平方キロメートル、標高は1,161メートルの高原都市です。
また、人口は2015年現在、都市圏 で215万人強となり、都市圏の人口密度は1056.2人/平方キロメートルとなっています。
そのサンホセは、しかし、かつては重要性のない小さな村であったようです。
ところが、1824年に国家元首のフアン・モラ・フェルナンデスがスペインの植民都市だったカルタゴからサンホセに政庁を移すことを決定、それによって、町は急成長したことにより、18世紀半ばに都市の起源を持つこのサンホセは、他のラテンアメリカの首都と異なり、スペインの植民都市色が全くないと言われています。
町の人たちの合言葉は、
「ブラビーダ!!」
その、意味は、
「素朴な人生を!!」
ということのようで、
「くよくよせず、なんとでもなる。
先ずは、今を素直に喜び、楽しんで生きよう!!」
というものです。
そして、自らは、
「平和を好む国民」
とし、例えば、コスタリカを見ると、現在、対外的な国防を専らの目的とした組織は存在していません。
コスタリカに存在しているのは、治安警備隊を含めた「警察」ということになります。
但し、こうした警察組織の予算は、隣国のニカラグアの国軍の3倍近くあり、コスタリカと国境問題を抱えるニカラグアはコスタリカが、
「『軍』を展開している。」
としばしば非難している点は付記しておきたいと思います。
しかし、何れにしてもコスタリカは、1983年に、
「永世非武装中立」
をモンヘ大統領が宣言しています。
一方、コスタリカ経済を眺めてみると、2013年のコスタリカのGDPは約496億米ドルであります。
しかし、人口が少ないこともあり、一人当たりのGDPは10,528米ドルと、先進国水準に入るレベルにあります。
植民地時代には世界でも最も貧しい地域の一つだったコスタリカが、第二次世界大戦後からは「中米の優等生」と呼ばれ、19世紀以来のコーヒー・バナナの輸出を背景に、政治の安定とあいまって経済成長が続いたとされています。
更に、1960年代以降外資導入による工業化が進み、現在では農業国から工業国となって中米でパナマの次に豊かな国となっています。
しかし、1990年代以降は、南米大陸の麻薬が北米や欧州にわたる際の中継地点とされた影響で、麻薬の一大消費地となってしまっており、治安の悪化と社会の不安定化が進んでいるとの見方もあります。
主な輸出品は、コーヒー、バナナ、サトウキビ、パイナップル、メロン、コンピュータ部品などで、特にコンピュータ部品は1990年代後半のインテル社の進出が、好影響を与えているようです。
さて、コスタリカは、果たして、中米の楽園なのか?治安悪化の地なのか?一度、確かめに行ってみたいと思います。

[中国本土に発展を期待されているラオス]
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の10カ国の中で最も国力が弱い国はラオスではないかと私は見ています。
人口も少なく、国土面積も狭く、周辺諸国に囲まれた内陸国として、その立ち位置は難しい国と映ります。
ラオス、正式名称、ラオス人民民主共和国は、東南アジアのインドシナ半島に位置する共和制国家であり、通貨はキープ、人口約691万人、首都はビエンチャンであります。
上述したように、国土面積は日本の約63%と小さく、更にその狭い国土の約70%は高原や山岳地帯であり、こうした地理的に見ても、経済活動を行うには難しい国であります。
こうした難しい立ち位置を持つことから、ラオスは、現在、
「永世中立国」
を宣言し、国家としての存続を図ろうとし、国家運営を図っていますが、経済力の弱さから、中国本土の強い影響を受けているとも見られます。
その経済ですが、
「ラオスの主要産業は農業であり、人口の78%が従事しGDPの41%を占める。」
と言う農業国家の状態にあり、私のストレートな表現を許して戴ければ、
「食べること、生きることに精一杯の国」
とも見られます。
一方で、古くからの文化を持ち、これを背景にして、
「精神文化は高い。」
との見方もあり、
「自然な時の流れ」
を感じられる国とも言われています。

さて、ラオスの経済を国際機関であるIMFのデータによって概観すると、2013年のラオスのGDPは100億米ドル、一人当たりのGDPは1,475米ドルとなっており、世界平均の15%に満たない経済水準に留まっており、国際連合による基準に基づき、後発開発途上国と位置づけられていると言う不名誉な状況にもあり、更に、2011年にアジア開発銀行が公表した資料によると、1日2米ドル未満で暮らす貧困層は国民の60%を超える412万人と推定されてもいます。
その近年の歴史を見ると、ラオス人民民主共和国樹立以降、ラオスでは社会主義化が進められましたが、タイからの国境封鎖や旱魃、インフレと農産物・日用品の不足などによって、一旦、社会主義化のスピードが緩和、1983年に再び社会主義化を目指ましたが、当時のソ連のペレストロイカの動きと呼応して、1986年には市場原理の導入、対外経済開放を基本とする新経済メカニズムが導入されました。
しかし、旧ソ連やベトナムなどの東側諸国からの多大な援助に依存する経済構造から脱却出来ず、東側諸国の崩壊によって、ラオスは再び、大きな経済危機の状態となりました。
そしてまた、この時期に価格の自由化を行ったことによって、激しいインフレと通貨・キープが大幅に下落するなどラオス経済は大混乱に陥りました。
当時のラオス政府はこの際に、IMFのアドバイスのもと、経済引き締め政策を実施、また、西側先進国との関係を改善し、国際機関や西側先進国からの援助が増大した結果、1992年には経済がやっと安定しました。
その後、1997年7月に隣国・タイで始まったアジア通貨危機はラオスにも大きな影響を与えました。
現在、ラオス国内ではタイバーツが自国通貨のキープと同じように流通し、バーツ経済圏に取り込まれ、また米ドルも通用するので、ホテルやレストランから市場や街の雑貨屋まで、この3つのどの通貨でも支払いができるようになっています。
そして、最近では中国本土の影響力が増し、人民元も通用するようになってきています。
こうした中、やっと社会的安定感が増すと共に、ルアン・パバンの町、ワット・プーと関連古代遺産群と言った世界遺産を背景にして、ラオス政府は、観光産業の育成に努力した結果、ここにきて観光産業が急速に発達してきています。
観光のほか、国土の約半分を占める森林から得られる木材、ナムグム・ダムを始めとする水力発電の隣国タイへの売電、対外援助などが主な外貨源となっています。
この中でも特に水力発電は注目されており、ラオスは東南アジアのバッテリーとも呼ばれるようになっています。
そして、21世紀に入ると、外国企業の投資促進のため、国内に経済特別区が設けられ、2012年には10個所となり、中国本土やタイなどの賃金水準が上昇する中、安い労働力を求める企業の注目を集め、海外からの援助や投資が拡大、とりわけ、隣の大国である中国本土の進出は目覚ましいです。
2007年には、ビエンチャンに中国本土系の店舗が集まるショッピングモールが出来、首都には中国本土が建設した公園が完成、ダム工事など主に日本が行ってきたインフラ整備にも中国本土が進出するなど、ラオス国民の間には中国本土に対する好感度が広がっているとされています。
一方、ラオスに中国本土が進出する理由は、メコン川地域に豊富に眠っているとされるボーキサイトやカリウムといった資源を獲得する為とも見られ、ラオスには中国本土に対する警戒感もありますが、ラオス経済の自立の難しさから、今後は更に中国本土に取り込まれていくのではないかと見られています。

今回は、皆様とは少し遠い国、コスタリカとラオスを眺めて見ました。
今後の動向をフォローして戴ければと思います。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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