SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2020年10月[Sanada発 現場から]


日本経済と世界経済概観


  今月は、日本経済と世界経済の現状を各国政府や国際機関の発表を基にして概観してみたい。

日本政府・内閣府は、日本経済の本年4〜6月の実績は歴史的な低迷状況となったと発表している。
新型コロナウイルスによるパンデミックが拡大、経済を押し下げた為に、日本のGDPはこの40年で最も悪化した状況となっているということである。
即ち、内閣府によると、日本の本年4〜6月のGDPは前四半期対比年換算で27.8%減少したとしており、これは、比較可能なデータが発表された1980年以来、最悪の状況となっているのである。
そして、こうした低迷の背景として考えられることは、本年4月と5月に日本政府が緊急事態宣言を発表し、人々が家に留まり、また、企業もビジネス機会を相当程度失った為、日本のGDPの約60%を占める個人消費が急落したことが大きな背景として上げられている。
また、世界的な経済活動の低迷により日本の輸出も減少し、特に日本経済の軸となる自動車輸出は急激に減少している。
そして、日本政府によると、本年7月の日本の輸出は前年同月対比19.2%減少した。
輸入も前年同月対比22.3%減と大幅に減少し、貿易収支は、約116億円、約1億1千万米ドルの黒字となっている。
尚、日本政府によると、日本の7月の貿易収支は4ヶ月ぶりに黒字となったことにはなる。
そして、こうしたことから、日本政府は、
「今後は、内需拡大を意識しながら、日本経済の再生を図りたい。」
との考え方も示唆し始めている。
筆者もこうした考え方に基本的には賛成であるが、その前提として、
「量を追うだけでなく、或いは量よりもむしろ質を追うビジネスの追求」
を考えるべきであると考えている。
いずれにしても、今後の動向をフォローしたい。

また、日本や世界の主要国同様、東南アジア諸国の経済成長も、コロナウイルスのパンデミックにより急激に悪化している。
東南アジアの主要経済国政府は、本年4月から6月までの四半期の国内総生産データを発表したが、例えばシンガポールのGDP成長率は前年同期対比マイナス13.2%となった。
これは、比較可能なデータが利用可能になった1976年以来、最も急激なマイナス成長である。
同じく、タイの同期間のGDP成長率もマイナス12.2%となっている。
これは、タイがアジア金融危機に見舞われた1998年以来の最悪の状況である。
また、マレーシアのGDP成長率はマイナス17.1%、フィリピンもマイナス16.5%となっている。
そして、この地域最大の人口を誇るインドネシアはマイナス5.3%となり、アジア通貨危機から21年ぶりにマイナス成長を記録した。
東南アジア地域の観光は、パンデミックへの対応として課された旅行制限から大きな打撃を受け、更に個人消費もまた、人々の外出や事業活動が抑制されたために急激に悪化しており、こうしたことが背景となったマイナス成長と見られている。
尚、専門家は、状況が悪化し続けると、海外投資家の資金がこれらの新興経済国から逃避していくことを懸念している。

一方、韓国では国際機関である経済協力開発機構=OECDの見解を基にして、以下のような動きが見られている。
即ち、OECDは、韓国経済に関する報告書を公表し、経済成長率見通しについて、6月のマイナス1.2%からマイナス0.8%へと上方修正した。
OECDは、韓国が新型コロナウイルス感染症拡大を抑制したと評価、OECDが成長率を上方修正したのは加盟国の中で韓国が唯一となっている。
但し、ここにきての韓国での感染再拡大がどう影響するか注視したい。

 もう少し詳細を見る。
OECDは、
「韓国経済報告書(OECD Economic Surveys:Korea 2020)」
を発表した。(OECDは2年周期で加盟国の経済動向・政策などを総合的に分析・評価し、政策勧告事項も含めた国別検討報告書を出しているものである。)
その中で、韓国の本年の経済成長率展見通しがマイナス0.8%になっているが、今回、見通しが上方修正されたことにより、韓国は、2位のトルコ(マイナス4.8%)に4ポイント差をつけたと韓国国内ではこれが大々的に報道されている。
主要国では、日本(マイナス6.0%)、ドイツ(マイナス6.6%)、カナダ(マイナス8.0%)、イタリア(マイナス11.3%)、フランス(マイナス11.4%)、英国(マイナス11.5%)、37カ国・地域の展望値平均(マイナス7.5%)となっており、韓国経済の相対的な良さをOECDが示したことをTake Chanceしての韓国国内報道となっている。
そして、
「これは、世界経済を危機に陥れている新型コロナウイルス感染症に韓国が最もうまく対応している。
OECDは、迅速かつ効果的な防疫措置により、韓国は新型コロナウイルス感染症を最もうまく抑制したと讃えている。」
とOECDが韓国政府の対応を評価していると伝え、不動産対策等で失敗している政権の経済政策に対する批判をかわそうと必死である。
今後の動向をフォローしたい。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会分科会
Copyright (C) 2019 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved