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2020年11月[Sanada発 現場から]


中東情勢と中国本土情勢について


  今回は、皆様には直接ご縁が少ないかもしれませんが、中東情勢についてコメントすると共に、
「価値観の共有ができるか否か?」
を背景とした中国本土情勢についての真田の見方をご紹介したいと思います。

[中東情勢について]
私は中東地域の不安定の中の安定、緊張状態には気を配っています。
いつどうなるか分からぬ不安定さがある、
「混沌」
の状態にあり、バランスが一つ崩れると一気に混乱、そして無政府状態にも陥る危険性があると見ています。
そして、トランプ大統領が目指す、
「米軍の中東地域からの撤退」
が具現化すれば、
「中東に力の真空地帯が出来るのではないか?」
との危惧を持っています。
こうした中、米国のトランプ大統領は、中東のイスラエルとバーレーンが国交正常化で合意したと発表したことはご高尚の通りであり、この動きは明らかにトランプ政権の外交成果と分かる発表をしました。
その内容を確認します。
イスラエルは8月中旬、同じく、米国・トランプ政権の仲立ちの下、アラブ首長国連邦(UAE)との国交正常化に合意したばかりであり、今回の動きを見ると、米国政府の仲介を受けてイスラエルと湾岸アラブ諸国の関係改善が今後も進む可能性があるとも見られ、これが、トランプ大統領の考える、
「力の真空地帯を齎さぬ一つの戦略」
とも見て取れます。
そして、今回の動きに関しては、トランプ大統領は具体的に、
「イスラエルのネタニヤフ首相、バーレーンのハマド・ビン・イサ国王と3者で電話会談を行った。
とても歴史的で、特別な出来事となった。」
と国交正常化を高く評価するコメントを示しました。
イスラエルとバーレーンは今後、大使館の相互開設や直行便の就航のほか、安全保障や科学技術など幅広い分野で協力を進めていくことで一致していると見られています。
そしてまた、米国政府が発表した3か国の共同声明によると、ホワイトハウスで15日に行われるイスラエルとUAEの正常化合意の調印式に合わせ、イスラエルとバーレーンは「平和宣言」にも署名しました。
湾岸アラブ諸国はイスラエルによるパレスチナの占領に反対し、イスラエルと国交を持つ国はこれまでは、エジプトとヨルダンに限られていましたが、UAE、バーレーンがイスラエルとの国交樹立を決断した背景には、最近のイランの脅威が高まっていることがあると見られ、そのイランの背後には中国本土が見え隠れしています。 
また、イスラム国家群の盟主を自負するトルコの動きも活発化しており、更にその背後にはロシアの影も見え隠れしています。
そうした中の出来事であるだけに、トランプ大統領は、
「中東諸国の多くが後に続くことを望んでいる。」
と期待感を示してもいます。
地域大国であり、イスラム国家群の盟主を自負するサウジアラビアは、イスラエルとの国交正常化には慎重姿勢を示しており、またオマーンなどが追随する可能性もあり、事態は不透明ですが、イランやトルコの動きを考えると湾岸諸国全体が動く可能性はあります。
そして、イスラエルのネタニヤフ首相は9月11日、ビデオ声明で、
「バーレーンが和平の輪に加わってくれたことに感謝する。」
と歓迎しています。
一方、パレスチナ自治政府は、
「パレスチナの権利に対する脅威である。」
と今回の合意を非難し、駐バーレーン大使を召還していますが、これは当然の動きでありましょう。
さて、米国のトランプ政権のイスラム連携へのくさび入れ、特に湾岸諸国崩しは拡大しくのでありましょうか、またそれが、米国大統領選挙にも有効となっていくのであろうか、注目されます。

[中国本土との価値観の共有について]
今、
「中国本土と価値観が共有できるのか?」
が世界の大きなキーワードとなっています。
経済発展著しく、潜在的な経済発展の余地はまだ残り、更に、一帯一路構想とAIIBのセット商品による実体経済での中国本土経済圏拡大を進める中国本土には、
「ビジネスチャンスは間違いなくある。」
との視点から、
「中国本土と経済関係を維持したい。」
と考える国、企業、ビジネスマンが多いことは間違いありません。
しかし、一方で、ビジネスの根幹を支える、
「信頼」
のベースとなる、
「価値観の共有」
に疑義が生じるとビジネスそのものが出来なくなっていく可能性があります。
そうした狭間で悩んでいる国は、日本や韓国だけではなく、ドイツやフランス、そしてEU諸国も同様です。
こうした中、今般、中国本土と欧州連合(EU)の首脳会談が、9月14日(現地時間)にオンライン会議形式で行われ、首脳同士の会話の中では、市場開放や人権問題が出たようです。
中国本土、EU双方が今年末までで終了することにした中国本土・EU間の包括的投資協定が重要議題でありましたが、会議に出席した欧州側首脳3人は、人権と貿易を前面に押し出し、中国本土の習近平国家主席に圧力を加え、習金平国家主席はこれに反発、結局、この日、双方の共同声明は出なかった形となりました。
この会議には習主席、シャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、EU輪番議長国であるドイツのメルケル首相が出席して、議論がなされました。
会議は習主席をはじめとする出席者たちが両手を振って挨拶するなど、和気あいあいとしたムードで始まったと報告されていましたが、非公開会議が終わって、一部公開された発言を確認すると、相手に対する圧力や警告メッセージが込められていたと理解されています。
それほど会議の雰囲気は実際には厳しく、例えば、ミシェル議長は会議後の記者会見で、「欧州は貿易相手国(player)であって、貿易を行う場(playing field)ではない。
我々はより多くの公正性を望む。」
とコメントしたと伝えられています。
投資・貿易に於いて、中国本土が公正な政策を展開していないという不満があると言うことでありましょう。
また、中国本土との貿易関係が緊密なドイツのメルケル首相も、
「中国本土が市場開放を意味する投資協定を本当に望んでいるのか明言して欲しい。」
とコメントを加え、対等なビジネスパートナーとなる意思が中国本土にあるのか否かを尋ねたと報告されています。
EU側は更にまた、中国本土の人権問題も取り上げ、ミシェル議長は、
「習主席に香港の住民の安全、新疆ウイグル自治区やチベット少数民族の待遇に関する懸念を重ねて提起した。」
ともコメントしています。
さて、今回の会議を受けて、中国本土が如何に動いてくるのか?人民解放軍の反応も含めて、注視したいと思います。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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