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2020年12月[Sanada発 現場から]


国際経済情勢と東アジアの軍事情勢について


  新型コロナウイルス感染拡大の中で世界経済は混沌としています。

[国際経済情勢]
こうした中、国際的な信認を受けている国際機関として有名な国際通貨基金(IMF)は、今般、世界の経済成長率予想を前回の6月発表の見通しから上方修正しました。
上方修正の主な背景として、IMFは、
「新型コロナウイルスの感染拡大による経済の落ち込みが想定より抑えられたこと、
財政政策を中心に各国で機動的な対応が見られたこと」
を上げています。
しかし一方で、来年の成長率については新型コロナウイルス対応により小幅下方修正しており、
「実体経済を大きく痛めている今回の新型コロナウイルス問題の影響の大きさ」
を示唆する見通しとなっています。

2020年10月13日に発表されたIMFの最新の世界経済見通し(WEO)を概観すると、
「2020年の世界成長率予想をマイナス4.4%と6月時点の予想から0.8%上方修正した。
一方で、2021年成長率はプラス5.2%と予想し、前回の5.4%から0.2%引き下げた。
主要国・地域では、米国の2020年成長率をマイナス4.3%と前回のマイナス8.0%から大幅上方修正しているが、2021年の予想値はプラス3.1%と前回から1.4%の下方修正となっている。」
と言う点が特筆されましょう。

今回発表された2020年の主要な国・地域の経済成長率見通しの数値としては、以下のようになっています。
前年対比%
世界全体         ー4.4
先進国                    ー5.8
アメリカ                  ー4.3
ユーロ経済圏            ー8.3
日本           ー5.3
新興国                    ー3.3
中国本土                  +0.9
インド                    ー10.3
ブラジル                  ー5.8
ロシア                    ー4.1

国際機関である国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、世界経済はコロナウイルス危機の深さから回復していると述べたが、一方、
「この災難はまだ終わっていない。」
とも警告している。
10月6日火曜日のオンライン・スピーチで、IMFのゲオルギエワ専務理事は、
「本年6月にIMFは2020年の世界全体のGDPは深刻な収縮状況に陥り、マイナス成長となることを予測した。
しかし、今日の状況は、それほど悲惨な状況ではなくなってきている。」
とコメントしつつ、警戒は続けるべきであるとの見方を示している。
今後の動向をフォローしたい。

一方、同じく国際機関である世界銀行は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、南アジアでは人口の25%が史上最悪のリセッション(景気後退)に直面し、数百万人が極貧状態に陥っていると指摘しています。
世銀は今年の南アジアの成長率がマイナス7.7%になると予測し、民間セクターが最も大きな打撃を受け、個人消費の急速な回復は見込めないと見ています。
そして、
「人々の生活への影響は国内総生産(GDP)の見通しよりも大きくなるだろう。
これは、貧困率の急上昇を示唆している。」
とコメントもしている。
尚、南アジア最大のインド経済は、今年、9.5%のマイナス成長になると予想されています。
世界の成長センターの一つである南アジア経済も新型コロナウイルス感染拡大を受け、大きく痛んでいると見ておく必要があると思います。

[東アジアの軍事情勢]
 さて私は、東アジアの軍事的安全に関しては、
「波高し」
の状況になっていると見ています。

米国の世界的なプレゼンスが様々な視点から低下する中、
「トランプ大統領の世界各地からの米軍撤退政策姿勢」
が更に、こうした不安定さをした増長しているように思われます。
そして、こうして起こる、
「力の真空地帯」
の間隙を縫って、
「共産主義、社会主義国家」
である東アジアの中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国の軍事的な動きは表に裏に活発化してきていると私は認識しています。
「表」
とは例えば、中国本土の昨今の南シナ海台湾海峡、東シナ海尖閣列島、渤海湾での軍事活動の活発化に見られ、北朝鮮の核開発の再活発化に見られます。
「裏」
にとは、例えば、中国本土や北朝鮮による、見られる、世界的な、
「サイバーテロ活動」
に見られます。

こうした中、今日、一点、申し上げておきたい点は、
「中国本土や北朝鮮の軍隊は厳格に言えば国軍ではない。」
ということです。
イランの革命防衛隊もそうですが、世界には国軍ではないけれど、国軍同様、或いは国軍以上に権力者に近い軍隊もありますが中国本土と北朝鮮に見られる特徴の一つは、

「いずれも党軍である。」
ということです。
即ち、中国本土の人民解放軍も北朝鮮の朝鮮人民軍いずれも、厳格に言えば、両国の
「公式軍隊」
ではなく、それぞれ中国共産党、朝鮮労働党の傘下にある、
「党軍」
であり、中国本土や北朝鮮の軍人たちが忠誠の対象とするのは、
「国家や国民ではなく、党ではないか。」
と見なくてはならないかと思います。
そして、こうした状態が顕著に出た一つの事件は、
「1989年6月4日に発生した天安門事件」
とも言え、
「人民解放軍は人民に対して銃口を向けた。」
のであります。
そして、私は、中国本土の習近平国家主席も北朝鮮の金正恩委員長も軍服は着ていないから、
「文民である。」
とはかならずしも言えず、むしろ、
「軍人のネイチャーに近い。」
と考えるべきであり、従って、
「中国本土や北朝鮮は、軍に対する文民統制がなされていない国家である。」
と認識しておくべきではないかと私は考えています。
そして、こうした視点から、日本にとっては危険な国がすぐ近くにあると認識、国防意識を強めておくべきかと思います。

尚、最後に一点、韓国の主要紙である朝鮮日報のコラムの一つを抜粋します。

「われわれは国家と国民に忠誠である大韓民国陸軍だ。
韓国陸軍の将兵が毎朝、点呼のときに叫ぶ服務信条だ。
秋長官の息子が服務していたKATUSA(在韓米軍部隊に配属された韓国軍兵士)もまた、米軍ではなく韓国陸軍の所属だ。
政権与党の元代表かつ現職法相という人物の息子への特別待遇疑惑をかばう、最近の様子を見ると、大韓民国の国軍ではなく、民主党の党軍になるのではないかと怖くなる。
韓国の国軍は誰に対して忠誠でいるのだろうか。」

こうしたコラムを読んでいると、日本としては、
「韓国も、中国本土や北朝鮮同様、軍に対する文民統制はなされていなくなっているのか?」
と心配になります。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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