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2021年1月[Sanada発 現場から]


北東アジアの動向、バルカン半島情勢、そして真田の見る世界


 今回は、韓国と中国本土、そしてバルカン半島に関するコメントを申しあげた上で、最近、真田が感じていることをコメントさせて戴きたいと思います。
 ご参考になれば幸いです。

[韓国と中国本土の動きに対する一つの見方]
 世界的にも、またアジアでも社会は混沌としてきており、その混沌は更に深まる様相を見せてきていると私は感じています。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、それそのものが人々にとって、特に弱者の立場にある人々にとって恐怖となると共に、私たちに、
「疑心暗鬼と言う心のウイルスによる混沌」
と、
「混沌が深まる中、サイバーセキュリティに関する世界的な脆弱性を背景とした混沌」
が加わり、
「何が真実なのか、何が混沌の源にあるのか?」
かが分からず、一般庶民の不安は増すばかりとなっています。
 こうした中、韓国と中国本土で見られている状況について、取り上げて、概観をしてみたいと思います。
 混沌となっていることは、もちろん、これだけではないのですが、ちょっと眺めておきます。

韓国の混沌の種
韓国の国内では、
「今年4月の韓国総選挙後、与党・共に民主党が予想以上に大勝し、それを背景とした、左派的な動きが強まり、今の韓国社会の底辺にある、企業、特に大企業の既得権に対する不満にこたえる為、共に民主党議員が提案した企業規制法案は何と約300本に迫る状態にある。
この中には致命的なポイズン条項を含む法案があり、否、そうした法案があまりにも多く、大韓民国の主敵が北朝鮮から企業に変わったかのように錯覚するほどである。」
との声が出てきています。
 もちろん、既得権益層の権益を調整し、富の公平分配に向けて動くことが必要ないかと言えば、そうではないと思います。
 しかし、今、共に民主党から相次ぎ提出されている法案の中身を見ると、
「結局は企業という少数を叩き、支持層を結集させ、腹をすかせた多数の歓心を買おうとするものに過ぎない。」
といった厳しい見方も出ています。
 そして、共に民主党の政策姿勢は、
「企業と労働者、大株主と少数株主、大企業と中小下請け業者、大企業と消費者を対立させ、少数勢力を崖っぷちに追い込む内容を盛り込み、少数側はどんな過ちを犯したのかも分からないまま叩かれるようにしていく。」
ものではないかとの声も出ています。
 朝鮮民族国家樹立に向けた動きを急いでいるようにも見られる文政権と与党・共に民主党の動きは、
「理想を追い求める一方、現実との折り合いをつける姿勢が見られず、不安定である。」
と真田には見えます。

中国本土の混沌の種
 毛沢東支持勢力が主流であった苦節の期間を経て、ケ小平氏が中国本土の事実上のリーダーとして少しずつ浮上してくると中国本土にも変化の兆しが見られ始めました。
そして、1978年以降に始まった中国本土の改革開放政策をケ小平氏が打ち出すと、中国本土は今日の発展のスタート点に立ち、今日まで大きく発展してきました。
ところが、その発展の潮目も、新型コロナウイルス感染拡大による混沌と米中対立という二つの重圧の下で大きな曲がり角を迎えようとしているのではないでしょうか。
 こうした中、中国本土国内のレポートを詳細に眺めていくと、その経済実態にも不安が見え隠れしています。
例えば、中国本土南部・広東省東莞市には、現在、大小14万もの製造業の会社が集まり、前述した「改革開放路線」の先頭に立ち、また、近郊にある香港、マカオ、そして海南島などを貿易窓口として発展、
「世界の工場」
として発展した中国本土を支えてきた街の一つがこの東莞であります。
 私も1994〜1997年の香港駐在時にはしばしばこの東莞を訪問、刻々と発展するその姿に脅威すら感じたほどでありました。
 ところが、今、その東莞にある工場には止まったままの大型機械が並び、注文を受けながら出荷できずにいる海外向けの商品が並び、僅かに生産されている商魂の販売先は国内向け、それも今後、回復、増加するかどうか不明との報告がなされているのを目にしています。
 英米による対中包囲網によって、輸出に不安が残る中、回復していると言われている内需にも限界があるということになれば、中国本土経済は急速に悪化する可能性がある、特にこれに人口構成の変化による高齢者人口の増加による国内消費力が低下していけば、中国本土の内需は急速に冷え込んでいく可能性も見え隠れします。
 中国本土の混沌の種も、今後もフォローしていく必要がありそうです。

 こうした中韓に限らず、不確定要因が増えている現行の世界、じっくり、しっかりと情勢分析をしていく必要がありそうです。

[バルカン半島に対する見方]
バルカン半島で米中の対立が起こっているとの見方があります。

半島は世界的に見ると、パワーゲームの現場となる傾向はあり、朝鮮半島と共に、このバルカン半島も不安定な地域と見られていますが、ご高尚の通り、バルカン半島は、更にまた、
「ヨーロッパの火薬庫」
とも言われる、
「知性学的ポイントの一つ」
にもなっています。
こうした中、中国本土にとって、このバルカン半島は、
「ヨーロッパへの入り口」
となっており、既に、中国本土の影響力を強めている、
「イランやアゼルバイジャン」
に続いて、中国本土の、
「バルカン半島侵入傾向?!」
は顕在化しているものと見られます。
具体的には、中国本土は、このバルカン半島諸国に対して、
「借款供与攻勢、孔子学院などの建設運営、ファーウェイのオペレーション拡大」
などの具体的な行動を示しています。
そして、例えば、今年に入ると、上述したような動きに加えて、新型コロナウイルス感染拡大を背景として、セルベア共和国の首都・ベオグラードを中心に、セルビアに入り込むべく、
「マスク外交」
を展開、これらの国々を、
「親中諸国」
にしていきました。
 一方、米国の中途半端な外交戦略の結果、混乱が深まったと見る向きが多いことから、旧ユーゴスラビア諸国には、
「反米感情が強い」
という国は多いと見られていましたが、トランプ大統領の、
「セルビアとコソボの経済関係正常化に関する関与」
などが評価され、ここにきて、
「バルカン半島に於ける米国の評判は改善している。」
ものと思われ、トランプ大統領は、こうしたことを背景にして、
「中国本土への牽制」
スタンスも強めています。
そして、具体的には、
「米国支援によるバルカン半島のインフラ支援拡大」
といった姿も見られるようになってきています。
こうしたことをしながら、
「中国本土の一帯一路戦略に対応しながら、信用できない(ファーウェイ)の5Gを排除しよう!!」
といったキャンペーンをアメリカが展開し、セルビアへの反攻が見られています。
そして、こうしたバルカン半島に対する米国のスタンスは、政権が、トランプ政権からバイデン政権になってもその姿勢は変わらないものと見られています。
否、バイデン政権は対中姿勢を強める可能性もあると見られてもいます。
今後の動向をフォローしたいと思います。

[真田が最近感じていること]
 今回は最後に、真田が感じていることを二つ申し上げます。
雑多なお話で恐縮ですが、ご覧下さい。

その1.ピンチはチャンス

私は、意識的に、
「慎重に、慎重に現状を分析、将来の見通しを厳しく予測をした上で、その厳しい予測に関しては、前向きに捉えていくこと。」
をモットーにしています。
ピンチの時代には、ピンチに悩んでいる人が多い、だからこそ、それらの悩み、課題を克服、解決してあげれば、その人たちから、
「ありがとう!」
と言って戴き、対価を得られるはずであるとも考えています。
(尚、その際に対価を得られないものは公共事業として、行政にお願いする必要がありますがーーー)
こうした中、例えば、私が聞いていることの中には、  
「新型コロナウイルス感染拡大を受けて、その対応が必要となるとの予測の下、それまで、レストランなどの空き席状況などを示すソフトを開発してきた企業が、地方自治体の緊急災害の避難所の空き状況を知らせるソフトを開発してもらえないかとの依頼の下、既存ソフトをいじり、台風避難所空き状況を即時に伝える情報ソフトを作り、避難民を惑わすことなく、スムーズに避難所に避難させることが出来た。
また、SNSの情報を集計して、先読みすると言うソフト開発をしてきた企業は、刻々と入る台風による河川の氾濫状況を動画なども含めたSNS情報で分析し、河川の氾濫予測を早く正確に出したと言う実績を上げた。」
と聞いています。
こうした事例は、厳しいビジネス環境下にあっても、詳細、かつ前向きにビジネスを検討した結果生まれた成果なのではないでしょうか?

しかし、一方で、ピンチをチャンスに変える際に、
「初期投資コストを自己資本では賄いきれない人、企業」
にとっては、
「ピンチを生かせるのは余裕のある強者」
と言うことにもなりかねせん。
即ち、
「借入も含め資金調達を使用する際、資本力、金融体力のない人、企業は、先ずはキャッシュフローを守る体制を確立した上で、戦略投資を実行しなければならない。」
がこれは容易ではなく、結局は、
「ピンチをチャンスに変える予測に基づくアイデアがあったとしても、資金的余裕and/or資金調達の出来る体力が無ければ、アイデアは具現化できず、こうした結果として、強者と弱者の格差は拡大してしまう。」
と考えられます。
そして、そうした格差拡大を未然に予測する人は、例えば、弱者同士の淘汰、合併などを前提とした、
「中小企業の再編」
を唱える人もいます。
私はそれを完全に否定はしませんが、しかし、
「もしも、弱者をそのまま生かして、弱者同士の緩やかな連携を進め、そうしたことに対して金融機関も資金供与の姿勢を示していけば、中小企業同士再編させることなく、現行の日本経済を支えていくことができるのではないか。」
と考えており、
「むしろ、安易な中小企業の合併淘汰再編は日本経済を結果的には弱くする。」
とも考えています。

その2.不思議の国、日本
私は最近、欧米先進国の人たちの日本に向けた目が、再び、
「異質な民を見る目」
に変わりつつあるのではないかと感じています。
英米と中国本土が現在、
「価値観の共有ができるか否か?」
でもめている中、
「日本も価値観の共有が出来ない国」
と見られるようになれば、日本の国際社会に於ける立ち位置が悪化する危険性が出てきます。
私がかつて銀行員であった頃、米国のバンカーから、
「我々は論理的に分析をして将来を予測するのであるが、命を捨てて戦艦に突っ込んでくる日本人の思考回路はよく理解できなかった。
即ち、日本人の行動が理解不能であった。
そして、今、予測出来ないのがイスラムの自爆テロである。
こうしたことから、我々は、
昔神風、今イスラム
と言っている。」
との主旨のコメントを聞いたことがありました。
そして、今は、日本人は彼ら欧米戦士国の人たちと価値観を共有しているものと考えていましたが、菅政権になった日本を見て、彼らの一部からは、
「中国本土などの左傾国家と連携する可能性の出てきた、しかし情報統制、思想や言論統制を進め右傾国家化する可能性の出てきた日本」
との見方を聞くようになっています。
これを以て、
「よく分からぬ日本」
と言うことにもなるのでありましょう。
現行の世界では、やはり、日本としては、
「英米と価値観を共有する国、日本」
と言うことを鮮明に示しておく必要があり、修正をしていく必要があるのではないかと考えています。
但し、今後、中長期的に見ると、
「米国が負けるかもしれない、或いは、米中が突然関係改善して、米中によるジャパンパッシングが起こる危険性もあると考えると、日本も米国一辺倒にしてはいけない。」
と私は考えており、そうした点からも、日本としては、米国支持だけではなく、英国、英国連邦とも政治、外交、軍事的には価値観を共有すると言う意味で、
「英米支持」
を唱えて、
「英米と価値観を共有する国、日本」
を日本と言う国家としての姿勢を、国際社会に於いてしつかりと印象付けていくべきではないかと考えています。

 

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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