ところで、私は、数の論理、力の論理で人の気持ちを蔑ろにしてねじ込むようなことをする人は、子供っぽい表現をすれば、
「大嫌い!!」
であります。
そうした意味で、大きな人口を背景に軌道に乗り急速な経済成長をしている中国が、今回の尖閣諸島問題での子供じみた対応をしたことに対しては、中国に対して、ある意味ではとても敬意を表していた私にとっては、大きな失望を感じました。正に、
「ブルータス(=中国)、お前も(力の論理で動く国なの)か?!」
です。
因みに私が中国に対して失望を感じたのは、日中間の領土問題そのものではなく、その解決を中国自身が「力」で持っていこうとしている点であります。
即ち、私はこれまで、中国が開発途上国を代表して、先進諸国の力の論理はおかしい、開発途上国にもその論理があり、先進国はそれを認識すべきだとの立場から、弱い者を代表して行動しているものと信じていた=正確に言うと、信じたかった=のに、結局は、中国自身も力をつけ、大国になる中、力の論理でものごとを解決しようとしているという点に大きな失望を感じたのであります。
また、中国国民のインタビューを見ても、「中国は“大国”なのだから、日本が船長を解放するのは当然である。」「日本を懲らしめなければならない。」といった主旨のコメントが出ており、そんな思考回路を持つ国民が表に出やすい国が世界の覇権を取れば、今以上に「力」の論理がはびこるのではないかと懸念されます。
温家宝首相は、中国は決して覇権主義を取らないと内外に声明を出しても俄かに信じがたいということでありましょう。そして、私のこうした懸念が当たってしまうことを恐れていたのですが、ブルータスお前もか、なのであります。
そしてまた、中国は、日本にも国民の意思や思いというものがあるのを知らなくてはなりません。国内の政府に対する不満や批判を恐れるのは中国、あなたの国だけではありません!!この問題はほっておくと、更に深刻な根源的な問題になる可能性があります。アジアは太平洋戦争時以来、再び混乱か?です。
そして、力の論理でねじ伏せていく人々に世界の真の「覇権」を貫徹した例はなく、例えば、政治家も選挙で決められないことに象徴される中国には、中国自身が覇権を望もうとも、否、望めば望むほど覇権は取れないと私は確信しました。(別に私が確信しても中国は何とも思わないでしょうがーーー)
ところで、そんな数の論理、力の論理に共通する点で私がビジネスをしてきて、つくづく感じることは、
「大量生産・大量販売・大量消費型のいわゆるマス・ビジネス」
には、数の論理を前面に出す、一種の「傲慢さ」があるということであり、私はこれにも、あまり共鳴が出来ません。(もちろんこうしたマス・ビジネスが必要でありますが、そこには倫理観を持って欲しいという意味であります。)
こうした中、私のとても大切な友人から以下のような話を受けました。
「最近弊社では、デザイナーさんを巻き込んで、少量でも価値のあるモノづくりを研究しております。
ところが、昨日取引先の大手量販会社の社長さんが、お客様の求めているのは、1に安さ、2に安さ、3に安さです。と仰っていました。
小生もこの量販会社に行くことがありますが、悪いものは売っていません。
少し自信が揺らぎました。」
とのことであります。
安いものを販売していく「皺」をものづくりの人に押し付けて、
「俺はお前の商品を大量に売ってやるのだから安くしろ。」
と押し付けているような「姿勢」を私はこの量販会社の社長に感じるのです。
しかし、本来、販売を専門とする会社の社長であれば、きちんと良いものは良いと、それを消費者に伝えて、消費者にも満足してもらって、その上でその価値ある商品を「高く売ってあげること」にその仕事の醍醐味と心意気といったものがあると思うの。
だから、私には、こうした社長のことばは、単なる「利益を求めてビジネスをしている人」の言葉にしか聞こえず、共鳴できないのであります。
そして、だからこそ、私はこの大切な友人には、
「その社長は、本当にものの価値が分かっていないか、或いは、むしろその価値を十分に分かっていて、皆さんを利用してその鞘を抜いている人であるとしか思えない。
そうした人とは、けんかをせず、そうしたレベルでのビジネスのお付き合いをすればいいのです。
そんな人とずっぽりと仕事をしていくと、ものづくりの人は販売する人の奴隷になってしまいます。
貴社は、先ずは少量でも高品質、高利潤を守り、少数精鋭の企業を作り、一人当たりの営業利益を高めて、働く人にも、真に物の価値が分かるお客様にとっても心地よいビジネスを守り通してください。
また、そのために更なる技術力の向上にまい進してください。」
とお話をさせて戴きました。
考えてみれば、大企業である日本の総合電機メーカーですら、マス・ビジネスに頼りすぎ、その販売ルートを量販店といわれるアウトソーシング先に依存し過ぎたが故に、その量販店に価格を中心とするビジネスの主導権を握られ、その結果として、ビジネス基盤の一部が揺らいでいった背景の一つではないかと私は感じています。
いずれにしても、私は頑固です。
誰が何と言おうが、倫理観のない、弱者を思わない数の論理、力の論理には断固戦います!!
一方で、弱者自身は自力再生に向けた不断の努力を行なう必要があると考えます!!
そして、その結果として、もっともっと優しくて強い「日本」を構築していきたいと思います!! |