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2010年10月[Sanada発 現場から]


「今後の世界経済に対する一つの見方」

今年の11月は米国に於いては中間選挙が行なわれますが、世界にとっても大事なその11月という時期に、韓国・ソウルではG−20の会議が開催される予定となっています。

新興国経済の台頭により、相対的に力を落としているG−8にとって代わり、この「主要20カ国・地域(G20)は、世界経済に対して強い影響を及ぼすようになっていると見ておくべきでありましょう。

そして、そのG−20の首脳会議では、

「国際機関などが、韓国や中国本土など一部の新興国に対し、利上げなど出口戦略の本格化を勧告する。」

との見方が強まっています。

 出口戦略は今回のG20首脳会議の重要議題の一つとなると見られており、現在は国ごとに金融危機からの脱却速度に差があるため、G20は成長率、財政の健全性、インフレリスクなどを考慮し、それぞれ異なる金融・財政政策を取ることを容認する方向と見られていますが、それでも韓国や中国本土に利上げを勧告する理由は、

「景気回復ペースが速く、インフレ懸念が高まっている。」

ということにあるようです。

 そして、こうした国際社会の意向を意識する韓国の中央銀行である韓国銀行は、本年内に、少なくとも1回の利上げを実施するのではないかとの観測も出てきています。

国際収支の黒字幅が大きく、政府債務が相対的に少ない国については、金融引き締め(=利上げ)を先行実施するのが望ましいとの見方が国際通貨基金を中心に強まっており、政治的に中国本土や韓国に圧力を加えるものではないとの見方もあるが、一方では、経済拡大の顕著である中国本土や韓国に対する「牽制」の意味合いも込められているのではないかとも見られています。

 いずれにしても、今後の動向を注視したいと思います。


「強者の論理とビジネスの世界」

ところで、私は、数の論理、力の論理で人の気持ちを蔑ろにしてねじ込むようなことをする人は、子供っぽい表現をすれば、

「大嫌い!!」

であります。

 そうした意味で、大きな人口を背景に軌道に乗り急速な経済成長をしている中国が、今回の尖閣諸島問題での子供じみた対応をしたことに対しては、中国に対して、ある意味ではとても敬意を表していた私にとっては、大きな失望を感じました。正に、

「ブルータス(=中国)、お前も(力の論理で動く国なの)か?!」

です。

因みに私が中国に対して失望を感じたのは、日中間の領土問題そのものではなく、その解決を中国自身が「力」で持っていこうとしている点であります。

即ち、私はこれまで、中国が開発途上国を代表して、先進諸国の力の論理はおかしい、開発途上国にもその論理があり、先進国はそれを認識すべきだとの立場から、弱い者を代表して行動しているものと信じていた=正確に言うと、信じたかった=のに、結局は、中国自身も力をつけ、大国になる中、力の論理でものごとを解決しようとしているという点に大きな失望を感じたのであります。

また、中国国民のインタビューを見ても、「中国は“大国”なのだから、日本が船長を解放するのは当然である。」「日本を懲らしめなければならない。」といった主旨のコメントが出ており、そんな思考回路を持つ国民が表に出やすい国が世界の覇権を取れば、今以上に「力」の論理がはびこるのではないかと懸念されます。
温家宝首相は、中国は決して覇権主義を取らないと内外に声明を出しても俄かに信じがたいということでありましょう。そして、私のこうした懸念が当たってしまうことを恐れていたのですが、ブルータスお前もか、なのであります。

そしてまた、中国は、日本にも国民の意思や思いというものがあるのを知らなくてはなりません。国内の政府に対する不満や批判を恐れるのは中国、あなたの国だけではありません!!この問題はほっておくと、更に深刻な根源的な問題になる可能性があります。アジアは太平洋戦争時以来、再び混乱か?です。

そして、力の論理でねじ伏せていく人々に世界の真の「覇権」を貫徹した例はなく、例えば、政治家も選挙で決められないことに象徴される中国には、中国自身が覇権を望もうとも、否、望めば望むほど覇権は取れないと私は確信しました。(別に私が確信しても中国は何とも思わないでしょうがーーー)

ところで、そんな数の論理、力の論理に共通する点で私がビジネスをしてきて、つくづく感じることは、

「大量生産・大量販売・大量消費型のいわゆるマス・ビジネス」

には、数の論理を前面に出す、一種の「傲慢さ」があるということであり、私はこれにも、あまり共鳴が出来ません。(もちろんこうしたマス・ビジネスが必要でありますが、そこには倫理観を持って欲しいという意味であります。)

 こうした中、私のとても大切な友人から以下のような話を受けました。

「最近弊社では、デザイナーさんを巻き込んで、少量でも価値のあるモノづくりを研究しております。

ところが、昨日取引先の大手量販会社の社長さんが、お客様の求めているのは、1に安さ、2に安さ、3に安さです。と仰っていました。

小生もこの量販会社に行くことがありますが、悪いものは売っていません。

少し自信が揺らぎました。」

とのことであります。

 安いものを販売していく「皺」をものづくりの人に押し付けて、

「俺はお前の商品を大量に売ってやるのだから安くしろ。」

と押し付けているような「姿勢」を私はこの量販会社の社長に感じるのです。

 しかし、本来、販売を専門とする会社の社長であれば、きちんと良いものは良いと、それを消費者に伝えて、消費者にも満足してもらって、その上でその価値ある商品を「高く売ってあげること」にその仕事の醍醐味と心意気といったものがあると思うの。

だから、私には、こうした社長のことばは、単なる「利益を求めてビジネスをしている人」の言葉にしか聞こえず、共鳴できないのであります。

 そして、だからこそ、私はこの大切な友人には、

「その社長は、本当にものの価値が分かっていないか、或いは、むしろその価値を十分に分かっていて、皆さんを利用してその鞘を抜いている人であるとしか思えない。

 そうした人とは、けんかをせず、そうしたレベルでのビジネスのお付き合いをすればいいのです。

 そんな人とずっぽりと仕事をしていくと、ものづくりの人は販売する人の奴隷になってしまいます。

貴社は、先ずは少量でも高品質、高利潤を守り、少数精鋭の企業を作り、一人当たりの営業利益を高めて、働く人にも、真に物の価値が分かるお客様にとっても心地よいビジネスを守り通してください。

また、そのために更なる技術力の向上にまい進してください。」

とお話をさせて戴きました。

 考えてみれば、大企業である日本の総合電機メーカーですら、マス・ビジネスに頼りすぎ、その販売ルートを量販店といわれるアウトソーシング先に依存し過ぎたが故に、その量販店に価格を中心とするビジネスの主導権を握られ、その結果として、ビジネス基盤の一部が揺らいでいった背景の一つではないかと私は感じています。

 

いずれにしても、私は頑固です。

 誰が何と言おうが、倫理観のない、弱者を思わない数の論理、力の論理には断固戦います!!

 一方で、弱者自身は自力再生に向けた不断の努力を行なう必要があると考えます!!

 そして、その結果として、もっともっと優しくて強い「日本」を構築していきたいと思います!!

 

 次回号もまた、どうぞよろしくお願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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