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2010年12月[Sanada発 現場から]


「来年のアジア経済見通しについて」

ご高承の通り、国際機関であるアジア開発銀行(ADB)は、アジア大洋州地域(日本など域内先進国を除く)45カ国・地域の2010年の実質国内総生産(GDP)が8.6%成長となるとの見通しを発表しています。

こうした背景には、中国本土の経済成長などが挙げられており、9月時点の前回見通しを0.4ポイント上方修正されています。

そして、その一方で、2011年の経済成長率は7.3%成長に据え置かれました。

 また、東アジア(14カ国・地域)も9月より0.4ポイント上方修正し、8.8%成長とされています。

 更にまた、東南アジア諸国連合(ASEAN)については、7.5%と0.1ポイント上方修正されています。

タイが自動車など輸出の前年対比2桁増、フィリピンが海外送金増加による個人消費への寄与などでそれぞれ0.6ポイント上方修正され、シンガポールは据え置かれましたが、14%成長が見込まれています。

 南アジアの、インドも8.5%と高い伸びが予想されています。

 こうした一方で、先進国の2010年の経済成長率については、米国が2.8%に据え置かれ、日本は0.7ポイント、欧州(ユーロ圏)は0.2ポイントそれぞれ上方修正され、3.2%、1.5%と見られています。

 そして、ADBでは東アジアで半年前に比べ、急激な資本流入やインフレなどによる腰折れリスクが高まっていることが課題であるとの認識を示した上で、安定成長維持に向けて、域内の為替協調の必要性も指摘しています。

 

尚、こうした見通しの中で、やはり気に掛かるのは中国本土の情勢でありますが、その中国本土政府系Think-Tankである中国社会科学院(CASS)は、年次報告書の中で、

「中国本土の2011年の経済成長率は10%前後となる。」

との見通しを示しています。

投資の勢いが衰えるなかでも、今年の推定成長率である9.9%とほぼ変わらないと見ているものであります。

CASSはまた、来年のインフレ率は引き続き中程度となると予測。消費者物価指数(CPI)上昇率は3.3%となり、今年の推定CPI上昇率3.2%からやや加速する程度と見ています。

中国本土経済の最も重要な牽引役である固定資産投資の伸び率は、来年は20%となり、今年の推定伸び率23.5%から更に減速すると見ています。

こうした中国本土政府自身の見方も意識して、今後の動向を注視したいと思います。

一方、もう一つの元気の良いアジアの国である韓国については、韓国政府系Think-Tankである韓国開発研究院(KDI)が、韓国の2011年の経済成長率予測値を4.2%に下方修正しました。

韓国政府は公式予測を5%前後としていますが、内部では予測値を4%台半ばに引き下げることも検討されていると見られています。

 KDIは、韓国の経済成長率を今年が6.2%、来年が4.2%と予測、今年まで急速に回復した景気が来年からは潜在成長率の水準に戻ると予測したことにより下方修正したものの、来年は輸出が引き続き伸びる一方、民間消費は所得増とほぼ同じ4.1%の伸びを示し、設備投資も8.5%増えるとの見通しを示しているのであります。

 一方、国際的な活動をする投資銀行の予測値は、ウォン高と原材料価格の上昇で、輸出が影響を受けると見られるほか、欧州の財政危機など外部条件が依然として不透明なことから、韓国の経済成長見通しをKDIよりは厳しく見ています。

 また、韓国国内では、最近の韓国経済の成長の約半分は中国本土経済に依存しているとの見方も出ている点も注視したいと思います。

尚、主要機関が予測する韓国経済の来年度経済成長予測値は以下の通りとなっています。

出所 予想経済成長率(%)
IMF 4.5
OECD 4.3
KDI 4.2
LG経済研究院 4.0
三星経済研究所 3.8
BOAメリルリンチ 3.6
UBS 3.5
野村證券 3.5

「景気は我々の手で!!」

ところで、私は今年の年初に、

「今年は私たち庶民自身が自力再生を目指す年である。」

と申しました。

 しかし、私たちの心の中では、

「うまくできないことは、うまくいかないことは直ぐに人のせい、何かのせいにする。

 そして、うまくいかないことに対する原因追求をし、そしてその打開策を考えるという、本来すべきことを放棄している。」

といった動きがあるように思えてなりません。

これでは、

「自力再生」

など成し遂げられるわけもありません。

 そして、政治家なども含めて、基本的には多くの日本人が皆、こうした考え方で行動していることから、

「誰を頼っていても、根本的な打開策は見出せない。」

と私は考えます。

 だからこそ、

「自力再生」

を求めなければならないのに、

「あれをしてもだめ、これをしてもだめ」

と先ばかりを考えて結局何も行動しない、

今の日本の低迷には、私たち庶民自身のこうした行動の積み重ねが影響を与えている。これが一つの遠因となっているのではないかと私は考えています。

 そして、こうした考え方の下、日本の企業経営を考えていくと、

「現状では、日本企業が目指す方向性は、まずは、売上高の拡大を目指すことにある。

 リーマンショック以降、特に、本業での儲けを示す営業利益がなかなか伸びず、企業経営に課題を抱えている最近に於いて、

営業利益=売上高―総コスト(固定費+変動費)

という原理を意識すれば、人件費を含めた総コストの削減に、既にかなりの限界が見られる中では、値引き競争ではない形で売上高を拡大していくこと以外、営業利益拡大の道はない。

 そうであるとすれば、私たちが今、すべきことはただ一つ、

“先ずは売上高を拡大する”

ということである。

 そこで、売上高の拡大を意識するが、リーマンショック以降の不景気では、お客が買ってくれなくなった、世界的な不況だから仕方ないと考える人が多い。

 しかし、我々は独自に売上高拡大を模索すべきである。」

といったことが言えるのではないかと私は考えています。

 決して諦めず、打開の方向性を求める、何でもいいから考え、そして行動する、そうした意識が必要不可欠であると私は考えているのであります。

 そして具体的策が必要となるのですが、私には、

「具体策に王道はない。」

と考えており、例えば、

「中国企業に資本参加してもらい、資金と中国人の若い人材をその中国人株主から供給してもらうと共に、中国人株主の力を利用して海外に製品、ノウハウなどを提供し、Add onの売上高拡大を、中国市場を意識して目指す」

「商品の用途を、見方を変えて宣伝する。

 例えば、有名な話では、ある薬品、本来は肝臓によいとの効能で売り出したがあまり売れず、ところが肝臓によいことの副作用で色白の肌になるとの効能があったことから、こちらを前面に打ち出し、販売戦略を拡大したところ、これが当たり、売上高が増加したといったような、知恵と工夫によって売上高の拡大を図る。」

といったイメージで行動することが極めて大切になるはずであり、そうした知恵と工夫を元にまた行動することが更に重要であると私は考えています。

 皆様、来年も引き続き、或いは来年こそは、是非、自力再生を私たちの手で実現して参りましょう。

 永田町は頼りにしてはいけません。永田町が助けてくれれば見つけもの、程度に考えておきましょう。

 

次回号は来年になりますが、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
良い年の瀬をお過ごしください。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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