お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、1月の産経新聞の記事を見ておりましたら、
「日本が購買力平価でみた国内総生産(GDP)で今年、インドに抜かれて世界4位に転落することが国際コンサルタント会社、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の報告書で分かった。」
と報じられました。
またもや、日本凋落の見通しをも示した記事であります。
更にこれによると、
「中国本土やインドなど新興7カ国の購買力平価でみたGDPは2017年に先進7カ国を追い抜く見通しで、2008年の金融危機をきっかけに世界の経済地図の変化が加速している。」
とも報告されているようであります。
即ち、同報告書は2009〜2050年にわたり、購買力平価でみた20カ国・地域(G20)とスペイン、ナイジェリア、ベトナムの各GDPを予測し比較しているようでありますが、これによると2011年のインドの購買力平価でみたGDPは4兆4,129億米ドルに達し、日本の4兆3,223億米ドルを抜いて3位に浮上、2017年には新興7カ国(中国本土、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコ、トルコ)の購買力平価でみたGDPの総計が35兆1,692億米ドルになり、先進7カ国(米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ)の34兆8,335億米ドルを上回ることになると報告しています。
2019年には中国本土が米国を抜き世界一に、インドも2047年に米国を追い抜くと予測しています。
更に、2009〜2050年の年平均経済成長率予測では、
(1)ベトナム8・8%
(2)インド8・1%
(3)ナイジェリア7・9%
(4)中国本土5・9%
となっており、ドイツは1・3%、日本は最下位の1.0%となっています。
PwCは2006、2008年にも同様の報告書を出していますが、
「金融危機の影響が少なく力強い経済成長を続ける新興国と、経済対策で財政赤字が膨らみ景気回復が遅れる先進国の差が大きくなった。
18世紀後半から19世紀にかけての産業革命で西欧列強が力をつけたが、時代は逆戻りして、旧経済大国である中国本土とインドが再び台頭してきた。」
とコメントしています。
また、同報告書によると、新興国の中でも特に、今後は生産年齢人口が劇的に減ると予測されている中露よりも、若年層が多いインド、インドネシア、ブラジルなどは高い成長力を維持すると見ている点も注目され、ボリューム・ゾーンでのビジネスを目指すマス・ビジネス型企業の中長期的なターゲット・ゾーンはむしろインド・インドネシア・ブラジルといった国々となるかもしれないことを示唆しています。
こうした見通し、大いに注目したいと思います。
但し、
(1)購買力平価は何を基に算出し、根拠としているのか、それは将来の為替相場にもきちんと反映されて経済成長率を予測しているのか?(例えば、この購買力平価で計算されると、日本円はもっと為替レートが米ドルをはじめ、他の通貨に対して弱くなっているものと予想され、そうであるとすれば、日本の輸出はより回復している可能性がある、ということは日本経済の凋落はこの予測よりも激しくはなっていない可能性もあるとも予測され、この辺のところの論理が曖昧なることから、こうした予測の結論だけを見て何十年も先を予測しても大きな意味は無いかもしれないとも考える余地はあり、参考程度としてもよいかもしれないということ。)
(2)GDP規模が縮小しても、量よりも質で勝負していく方向性を先進国、特に日本などの先進国が目指していく、或いは目指していくべきであると考えられ、国家経済を見るスタンダード、基準といったものが、向こう20〜30年間で大きく変わるものと予想される。
と私は見ており、やはり、単純にこうした結論に引っ張られることなく、
「あくまでも参考にしつつ、今後の戦略に利用すること。」
が大切ではないかと私は考えています。
そして、大量生産大量販売型のビジネスを主とする企業にとっては、やはり、こうしたボリューム・ゾーンでのビジネス展開をイメージした戦略作りが必要となりましょう。 |