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2011年2月[Sanada発 現場から]


[世界経済は大きく変化していく?!注目はやはり新興国]

お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、1月の産経新聞の記事を見ておりましたら、

「日本が購買力平価でみた国内総生産(GDP)で今年、インドに抜かれて世界4位に転落することが国際コンサルタント会社、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の報告書で分かった。」

と報じられました。

またもや、日本凋落の見通しをも示した記事であります。

更にこれによると、

「中国本土やインドなど新興7カ国の購買力平価でみたGDPは2017年に先進7カ国を追い抜く見通しで、2008年の金融危機をきっかけに世界の経済地図の変化が加速している。」

とも報告されているようであります。

 即ち、同報告書は2009〜2050年にわたり、購買力平価でみた20カ国・地域(G20)とスペイン、ナイジェリア、ベトナムの各GDPを予測し比較しているようでありますが、これによると2011年のインドの購買力平価でみたGDPは4兆4,129億米ドルに達し、日本の4兆3,223億米ドルを抜いて3位に浮上、2017年には新興7カ国(中国本土、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコ、トルコ)の購買力平価でみたGDPの総計が35兆1,692億米ドルになり、先進7カ国(米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ)の34兆8,335億米ドルを上回ることになると報告しています。

 2019年には中国本土が米国を抜き世界一に、インドも2047年に米国を追い抜くと予測しています。

 更に、2009〜2050年の年平均経済成長率予測では、

(1)ベトナム8・8%

(2)インド8・1%

(3)ナイジェリア7・9%

(4)中国本土5・9%

となっており、ドイツは1・3%、日本は最下位の1.0%となっています。

 PwCは2006、2008年にも同様の報告書を出していますが、

「金融危機の影響が少なく力強い経済成長を続ける新興国と、経済対策で財政赤字が膨らみ景気回復が遅れる先進国の差が大きくなった。

18世紀後半から19世紀にかけての産業革命で西欧列強が力をつけたが、時代は逆戻りして、旧経済大国である中国本土とインドが再び台頭してきた。」

とコメントしています。

また、同報告書によると、新興国の中でも特に、今後は生産年齢人口が劇的に減ると予測されている中露よりも、若年層が多いインド、インドネシア、ブラジルなどは高い成長力を維持すると見ている点も注目され、ボリューム・ゾーンでのビジネスを目指すマス・ビジネス型企業の中長期的なターゲット・ゾーンはむしろインド・インドネシア・ブラジルといった国々となるかもしれないことを示唆しています。

こうした見通し、大いに注目したいと思います。

但し、

(1)購買力平価は何を基に算出し、根拠としているのか、それは将来の為替相場にもきちんと反映されて経済成長率を予測しているのか?(例えば、この購買力平価で計算されると、日本円はもっと為替レートが米ドルをはじめ、他の通貨に対して弱くなっているものと予想され、そうであるとすれば、日本の輸出はより回復している可能性がある、ということは日本経済の凋落はこの予測よりも激しくはなっていない可能性もあるとも予測され、この辺のところの論理が曖昧なることから、こうした予測の結論だけを見て何十年も先を予測しても大きな意味は無いかもしれないとも考える余地はあり、参考程度としてもよいかもしれないということ。)

(2)GDP規模が縮小しても、量よりも質で勝負していく方向性を先進国、特に日本などの先進国が目指していく、或いは目指していくべきであると考えられ、国家経済を見るスタンダード、基準といったものが、向こう20〜30年間で大きく変わるものと予想される。

と私は見ており、やはり、単純にこうした結論に引っ張られることなく、

「あくまでも参考にしつつ、今後の戦略に利用すること。」

が大切ではないかと私は考えています。

 そして、大量生産大量販売型のビジネスを主とする企業にとっては、やはり、こうしたボリューム・ゾーンでのビジネス展開をイメージした戦略作りが必要となりましょう。


[中国本土ビジネスを巡る一つのチャンス事例]

 私は、2008年9月のリーマン・ショック以降、米国は、地球環境と資源・エネルギー問題を絡めて、金融システムを軸のまま、改めて世界経済の秩序を再構築し、その経済的な覇権も維持してくるような動きを示していると見ています。

 そして、そうした中で、具体的、表面的に見えるビジネスの軸として、

*電気自動車化

*鉄道の高速化

*電力の原子力発電分野拡大

を推進してくる、否、既に推進してきているものと言えましょう。

 こうした世界的な経済の動きの中で、地域・国別セグメントで見ると、注目すべきは、やはり、上述したように拡大する中国本土でありましょう。

 GDP規模は既に日本を超えたと言われる経済成長率を見ると、このクラスの世界的経済大国の中で圧倒的に高い成長率を記録、また貿易規模は世界第二位、輸出は世界一位、対外信用力の高さを担保する外貨準備高も圧倒的な第一位であり、鉄鋼、造船、自動車といった現代の産業の核分野に於いても、質はともあれ、量の面では世界のトップクラスに入る中国本土は間違いなく、

「世界の経済大国」

として今後の世界経済、ビジネスの分野に大きな影響を与えてくるものと思います。

 そして、上述をしたような米国の動きを意識しつつも、或いは、むしろ意識して、中国本土も、電気自動車、鉄道の高速化、原子力発電分野を拡大していこうとする動きが顕著となっているのではないかと私は見ています。

 そこには国家としての勢いと、それを支える戦略的国家発展計画が底辺に存在しているようにも、私には感じられます。

 しかし、こうした一方で、中国本土には中国本土の特性を生かした、そして国際社会を意識した経済発展戦略も存在しているものと私は考えています。

 そして、例えば、環境と資源、そして環境問題を意識して、中国本土にも、

「太陽光発電の建設拡大」

「電気自動車化への転換」

の積極的な導入に向けた動きも見られ、またそうした延長線上、太陽電池の製造拡大に向けた動きが急ピッチで進んでいると私は見ています。

 私がご縁を持つ、日本企業の太陽光発電業務に関与している方から戴いた「太陽電池」に関する資料などを見ると、例えば、中国本土には、既に、

(1)太陽電池セル主要メーカー:大手7社、中堅9社

(2)薄膜Si太陽電池主要メーカー:14社

(3)シリコン原料主要メーカー:17社

(4)Siインゴット・ウェハー主要メーカー:18社

が存在しており、こうした太陽電池関連企業の集積しているクラスターを見ていくと、主として、

(1)無錫、蘇州なども含めた上海圏

(2)河北省

(3)四川省

などが中心となっています。

 中国本土が強いのは、その旺盛な需要を背景として、

「外資に市場としての魅力」

を大いにアピールした上で、こうした太陽光関連企業を中国本土に引き込んだ上で、外資系企業が持つ技術を果敢に学んでいこうとする力であり、また、場合によっては、そうした外資系企業を絵画で買収しようとする動きも示し始めていることではないでしょうか。

 そして、当然に、太陽電池に限らず、中国本土は今後、世界の経済の成長分野に於いて、強い国家観、鳥瞰図的・複眼的世界観に基づいた発展戦略を立て、またそれを具体的に実行してくるのではないか、だからこそ、中国本土ビジネスは面白く、また、ある意味では、脅威でもあると私は考えています。


[見せろ、日本のビジネスマンの心意気]

 そして、今回の原稿の最後に是非とも、皆様方にお伝えしたいことは、

「日本のビジネスマンの心意気を示そう!!」

ということであります。

 私は全国各地を回っているといつも、

「今の日本は今の日本のままで十分に世界と伍していける。」

と感じます。

 そして、今の日本に危機を感じることは、日本の実力そのものではなく、むしろ、

「あまりにも悲観的な気持ち」

であり、こころの問題ではないかと感じています。

 もちろん、冷静に客観的に、論理的に今の課題を認識し、それを克服する努力を行なってはいけませんが、その上で、大切なものは、

「心持ち」

であると確信しています。

 そうした中、私が色々な方とお話をしていると、実績を挙げていらっしゃる方々は、きちんとした現状認識をされていると思います。

 今日の原稿の最後には、そうしたご意見の中で、皆様方のご参考にもなる見方をされている日本の中堅経営者の方のご意見をご紹介させてください。

 以下の通りです。

「最近の新聞報道によると日本の貿易黒字は対中(香港を含む)、対台湾、対韓国で大きく増大しているそうです。

また対日貿易赤字を名目国内総生産(GDP)比率でみると台湾が7.2%、韓国が3.6%と急上昇するなど、アジア域内貿易では日本「独り勝ち」の状態で、円高の下でも、対アジア向けは値上げにより日本メーカーの円ベースでの輸出単価が維持されているようです。

これらは、

@技術集約度の高いブラックボックス(素材、部品、装置)の日本への集中

A技術集約度が中程度の最終組み立て製品の韓国、台湾への集中

B労働集約型の最終組み立て工程の中国、東南アジア諸国への集中ーーーという域内分業

が成立しつつあり、サムスンなどが躍進すればするほど、韓国は日本からブラックボックスの高価格製品の輸入を増やさざるを得ないという構図になっているようです。

我社もこのブラックボックスに関与できる製品開発を進める事で生き残りをかけて行きたいと思います。」

正に、

「世界の人々が必要としている商品、ノウハウを日本が提供し、世界の人々に喜んで戴きながら対価を得る、これぞ平和的共存共栄の典型的である。」

と私は考えます。

 日本はまだまだいける、

「これぞ、ニッポンの生きる道」

であると私は確信しています。

 皆様方は一体どのようにお考えになられますか?

 

これからも、引き続きどうぞよろしく御願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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