経営者は、精神論だけではなかなかビジネスを成り立たせることは出来ず、霞を食べて生きていくわけにもいきませんので、やはり知恵を働かせねばなりません。
この知恵、一般論ではなかなか通用せず、個別案件で具体的に頭を働かせ、絞っていかなくてはならないものでありますが、そうは言っても体系的に考え、戦略を考えていかなくてはなりません。
そうした意味で、企業経営の視点から先ず、考えなくてはならないことの一つは、
「成長戦略」
を如何に立てていくかということではないでしょうか?
リスク対比リターンの極大化を意識しつつ、経営戦略を考えると、
「与えられた経営資源を最大限に生かして成果を挙げていきつつ、その中で将来の発展の種となる成長分野を拡大していくことにある。」
と言えましょう。
そして、そのステップを整理して考えていくと、
(1)それまでのビジネス領域の中から、不必要なものを削除していく。
(2)ビジネス撤退によって生まれた余剰の経営資源の効率的利用方法を考える。
(3)既存のコア分野を維持しつつ、新規事業を立ち上げ、次の成長分野の「種」を作る。
といったことを行なうことが不可欠となります。
不必要な分野の削除には、事業のリストラ、資産のリストラ、人材のリストラと痛みを伴う危険性がありますが、しかし、それには「倫理観」を持ちつつ、果敢に取り組まなければなりません。
更にまた、ここでは、ビジネスの四要素たる「ひと、もの、金、情報」の再配分を行なうといった意識も必要となります。
そして、その際に注意すべきは、
1.製品
品質、デザイン、特徴、ブランド、パッケージ、サイズ、サービス、保証、返品
2.価格
表示価格、値引き、流通に対する割引、支払期限・条件、信用取引条件
3.販売
販路、仕分け、在庫・配送、品揃え
4.販売推進
セールス・プロモーション、広告、PR
といった分野からの自社の、
「比較競争優位」
を考え、その比較競争優位分野に、上述した方法によって搾り出し、余剰となった経営資源を改めて全力投入する必要があります。
ここが俗に言う、
「選択と集中」
ということになるのでしょう。
さて、それでは「比較競争優位」を考える場合には、何が必要でありましょうか?
比較競争優位を意識するとは、即ち、自社が顧客から選ばれる企業となることを意識するということに等しいでありましょう。
そして、だからこそ、先ずは、
(1)自社の独自性を顧客に認知してもらう。
(2)顧客から見て、魅力のあるサービスや製品を量と価格を安定化させて、安定供給、提供していく。
(3)自社の特異性を生かして他者に負けない独自の競争力を高めていく。
ことにあり、その結果として、
「自社にしか出来ない、しかし、世界の人々が必ず、必要とするサービスや製品を提供する、所謂“オンリーワン企業”になる。」
ことが肝要であります。
そして、オンリーワン企業になっても意識すべきことは、必ず、追随者が出てくるということであります。
オンリーワンに甘んじていると、
「奢る平家は久しからず」
であり、常に、
「自社のファン」
を持ち続けることが重要であり、そのためには顧客に何度も何度も自社をリピートしてもらうことが第一歩となりましょう。
従って、お客様が、「見込み客」から「お客様」となり、更には「生涯顧客」となるように、丁寧にアプローチをしていくことがこの段階では大切となるのです。
そして、こうした企業を運営していく経営者たる者は、ドラッカー先生の言う、
「変化を当然かつ健全なものと捉えて、新規分野に突入していく。」
という精神を持ち、
「慎重に考え、大胆に行動する。」
という人間の奥深さを持たなければならないのでありましょう。
ここまでが、私が認識する体系化の一つの基本であります。
そして、ここから先は、上述したとおり、個別案件、Deal by Deal、Case by Caseで立ち向かうこととなりましょう。
こうして何としても日本に多くのオンリーワン企業を生み、何処の国の人からも、また、たとえ、
「日本人はあまり好きではない。」
と言っている外国人であっても、
「その企業はあまり好きではない。」
といっている人からであっても、日本からしか、その会社からでしか、そのサービスや製品を買うことができないと言わせるような企業を、日本は増やしていくべきではないでしょうか。
皆様方はどのようにお考えになられますか? |