さて、私はいつも、
「大量生産・大量販売型の、いわゆるマス・ビジネスに重きを置く企業は、どうしてもボリューム・ゾーンで販売をし、自社の従業員を食べさせていくだけの売上高を確保しなくてはならない、そしてまた、当然に採算分岐点を越えなければならない。
一方、少量多品種高品質高利潤型のビジネスに主として重きを置く企業は、むしろ少数精鋭の一騎当千の人材をフル活用して、ボリューム・ゾーンにはむしろ入らず、ニッチの世界で少ない生産、少ない商品数を市場提供して価格を引き上げ、高利潤を確保すべきであり、もしも、そうした中に、世界にわが社しか出来ない、そして世界が必ず必要とする商品があれば、オンリーワン企業として、日本に居ながらして外貨を含めた売上高が稼げる企業になる。
日本の中小企業は、第一次産業分野も含めて、基本的には後者となっていくことを目指すべきである。」
と考え、皆様方と議論、対応策を検討しています。
しかし、全ての分野、全ての企業がこうした状況には無く、
「オンリーワン分野を持ちつつも、ある程度のマス・ビジネスは不可欠である。」
「わが社は、やはりマス・ビジネス分野を主として展開していくしかない。」
といった企業がたくさんあることも事実です。
従って、多くの日本企業にとって、やはり、ボリューム・ゾーンは大切なビジネスの場であり、その中でも、就中、人口大国で、潜在的な消費者の数、潜在的な労働者の数が多い人口大国・中国本土は、
「大切なマーケット」
として認識されるものと思います。
こうした状況下、米国国内でも例えば、
「成長する中国本土の中産階級は、米国にとって巨大なチャンスである」
との認識が強まり、
「低迷する米経済を救うのは増殖を続ける中国本土の中産階級ではないか。
米国の経済成長は財政赤字と引き換えに手に入れたものであり、中国本土は商品の生産と販売を地道に続けたことで着実に富を蓄積してきた。
米国が慎重かつ懸命な行動をとれば、中国本土市場は巨大なビジネスチャンスとして米国に開放されるであろう。」
とし、中国本土を意識したビジネス展開を更に加速化する可能性を示唆しています。
更にまた、
「中国本土の中間所得層と富裕層は今後10年で3倍になる。」
との見方も出始めており、
「世帯年収が6万人民元を超える中間所得層以上の国民が2020年までに2億7,000万人増加、現在の1億4,800万人から4億1,500万人にまで膨らむ。
また、今後増加する中産階級と富裕層の4分の3は地方都市に集中する。」
との見方をしており、米国は産官学連携して、この分野へのアプローチを強めて、
「米国から、大量販売の先としての中国本土に対して、商品を出来る限り大量に販売していく。」
という方針を明確にしようとしています。
こうした基本姿勢がまた米国のものづくりを再生、そこにTPPといった形でのビジネス環境も整えて、
「米国製品の海外に売れ易い方向性を模索する。」
といった動きを見せていると私は認識しています。
こうした米国の動きなども参考にしながら、果たして、わが社は中国本土やインドといった、どちらかと言えば、
「マス・ビジネス」
を基軸とするビジネスが得意なのか?或いは少量(可能な限り大量)・多品種・高品質・高利潤のビジネス分野が得意でこちらに食い込んでいくべきかといったことを考えていくべきではないかと思います。
そうした意味からも、
「日本のものづくり中小企業は今、大きな岐路に立っている。」
と私は見ています。
皆様方は、如何、お考えになられますか? |