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2011年7月[Sanada発 現場から]


国際通貨基金では、今年の経済成長見通しを若干、下方修正しています。
今回は先ず、その見通しを眺めた上で、・米ドル円為替相場見通しについて、簡単にコメントしてみたいと思います。

[国際通貨基金が示した世界経済成長見通しについて]

 

国際機関である国際通貨基金(IMF)は、世界経済見通しを改定しました。

世界成長については0.1%の下方修正である4.3%を予測、しかし、2012年は当初見通し通り4.5%を予測しています。

また、中国本土、インド、ロシアについては当初見通し通りとしています。

しかし、米国については下方修正、そして欧州については、来年度に関して下方修正しています。

一方、日本の2011年の実質成長率はマイナス0.7%と予測、下方修正しています。

東日本大震災に伴う電力供給への懸念などが理由となっています。

詳細は以下の通りです。

  2011年 2012年
世界全体 4.3 4.5
米国 2.5 2.7
ユーロ経済圏 2.0 1.7
日本 −0.7 2.9
中国本土 9.6 9.5
インド 8.2

7.8

ロシア 4.8

4.5

 世界経済全体の成長見通しについては、

「一時的には減速しており、下振れリスクが再び増している。

しかし、年後半には再加速するであろう。」

と予測しています。

そして、従来のコメント通り、

「先進国と新興・途上国間の経済成長率の格差が大きいという状態は続くであろう。」

とコメントしている点も注視したいと思います。

 世界経済全体の下振れリスクのポイントとしては、

*ユーロ圏での市場の信認が一段と悪化しかねないこと。

*米国経済の回復が予想以上に弱いこと。

*日本の震災が短期的には他国に影響を与えること。

などを挙げています。

 一方、新興・途上国経済については、

「引き続き高成長を維持する。

中国本土の成長率は2011〜2012年を通じて9%台半ば、インドは8%前後と見込んでいる。」

と発表しています。

 今年は中近東アフリカ問題や日本の東北大震災、そして米国経済の予想以上の減速などもあり、引き続き、先進国経済は力強さに欠け、中国本土やインドなどの新興国経済に依存する傾向が続くものと見られています。

 しかし、その中国本土経済にも減速兆候が見られ、インドも今ひとつといった点も垣間見られ、やや不安が残る世界経済情勢となっている点、留意しておきたいと思います。

 

 こうした中、各国の経済成長に少なからぬ影響を与える円・米ドル相場展開について、日本経済の相対的な低下などが見られるにも拘わらず、何故、円の対米ドル為替相場が円の価値低下に向かわないのか、不思議な部分があります。

 国際金融市場の視点は、世界の中心通貨である米ドル、ユーロ、円を相対比較しながら分析をするのが常で、絶対評価ではないことから、

*米国の財政問題

*欧州のギリシャ問題の再燃

などと日本の現状を相対比較すると、まだまだ変動に向けた動きには至らないと判断しているようにも思います。

 今後は悪化する日本の貿易収支、そして経常収支も本格的に悪化すると視点が変わり、日本円が売られる局面はありましょうが、なかなかその反転の時期が読みにくくなっています。

 引き続き、動向をフォローしたいと思いますが、ここで私の知人の為替のプロのコメントを引用させて戴きます。

 ご覧ください。

「ギリシャ問題をめぐってユーロが乱高下している。

先週はS&Pがギリシャの長期国債格付けを世界各国でもっとも低いCCCへと格下げしデフォルトの可能性が高まっていると指摘したこと、またIMFからの支援条件となっている財政緊縮に向けた大連立の試みが失敗したことを受けてユーロが大きく売られた。

その後週後半にはギリシャ救済に向けてドイツが譲歩し民間投資家に負担を強制しないことに同意したことにより、問題解決にむけて前進したとの見方からユーロが買い戻された。

ユーロは日米に先んじて欧州中央銀行が4月に利上げを実施し、トリシェ総裁が7月の政策委員会での追加利上げを示唆していることからユーロは年初からみると高値圏で推移している。

しかしながら、OECDが公表している購買力平価ではユーロ/米ドルは1.24、つまり現在の1.43台から比べるとユーロは15%の“割高”状態にあるといえる。

今後米経済の回復が確認されFRBの利上げ開始が視野に入ってくれば ”割高"解消に向けてユーロ/米ドルが売られる可能性が高い。

ユーロ/米ドルは年末までに1.30を目指すものと予想する。

なお、米ドル/円についてはOECDの購買力平価111.44から28%の”割安“となっている。

こちらも米利上げが視野に入る今年末までには”割安是正“の動きが見られる ものと予想する。」

とのことであります。

 参考にしていきたいと思います。

[日本の進むべき方向性についての一考]

ところで、私は常日頃から、日本の今後の経済を支えていく企業の中心は、

「少量・多品種・高品質・高利潤」

に支えられた中小企業であり、そうした企業には、

「例え、従業員数が少なくとも、例え年商が小さくとも、高利益率を維持し、従業員に高い給与を支払ってもらいたい。」

と考えており、またそのような中小企業が日本全国各地に、また第一次産業も含めた全業種にパッチワークのように存在してもらえれば、日本の産業構造は様々なポートフォリオを持ち、好不況の変動にも強い筋肉質になると考えています。

また、こうした企業になれば、

「日本に居ながらにして、生産やサービス等の日本内外に提供してもらい、外貨を稼げる企業となってもらう。」

ことが可能となり、日本オリジンの無国籍企業化した大企業も含めて、いわゆるマス・ビジネスを展開している世界の大企業の中で、自社の製品やノウハウを最も高く評価してくれる販売先を相手に、適切なる高利潤が確保できる企業との安定取引が出来るようになると考えています。

 そして、こうした動きの中で、

「世界の人々が本当に必要なものやサービスを出来れば唯一、そのわが社だけが提供できる、その提供も、量と価格を出来る限り安定化させて提供できる、いわゆるオンリーワン企業化していくことが出来れば、中小企業であっても長く生き残れることが出来るようになるでありましょう。

そして、そうした企業は、マニュアル化できない技術を持ち、またマニュアル化できないものをマニュアル化しようと努力して他者との比較競争優位を保ち、或いは他者があまり好まないビジネスのメンテナンス部門に大いに食い込んでいく、はたまた、いわゆるプロトタイプではない、大量生産に入る一歩手前の試作品の生産を受け持つものづくり企業となるなどして他者、特に外国勢との比較競争優位を明確に維持しつつ、生き残っていくことが可能となるのではないでしょうか。

また、こうした動きを可能とする人材の育成、即ち、

「一人の人がこれまでの倍の働きをして、倍のお給料を貰って、倍の消費をすることが出来るような、一騎当千の人材を育てる教育改革」

もここで必要不可欠となるはずです。

 こうした理念や方針の下で進めば、日本に雇用機会も残り、そして、税金を払ってくれる企業や個人の存続ができるようになるはずなのであります。

そしてまた、こうした考え方で、日本政府が進める産業構造改革案を進めれば、即ち、

(1)インフラ産業のシステム輸出拡大

(2)環境・エネルギービジネスへの参入拡大

(3)文化産業への参入拡大

(4)医療・介護・健康分野への参入拡大

(5)ロボット産業

などの分野、具体的には、高速鉄道、水ビジネス、画像診断処理、介護・福祉などの分野に対して、ひと、もの、資金、情報を集中して投じていけば、

「間違いなく、日本国内に雇用を残しながら、税金を払ってくれる企業が居残るはずである。」

と私は考えています。

 このような流れの中で、法人税改革、研究開発、IT化、人材強化、産業金融の強化などが更に推進されていけば、日本は新たな形での、

「真のものづくり大国」

となっていくのではないでしょうか?

 今が正に日本にとっての一つの大きな正念場です。

 

これからも、引き続きどうぞよろしく御願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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