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2011年8月[Sanada発 現場から]


 中国本土の動静については、様々な角度から関心が寄せられていますが、高速鉄道衝突事件や南シナ海での領海問題など、ここのところ、マイナス面での評価も見られるニュースが出てきています。
 そこで、今月号では、中国本土経済に対する期待と不安の一端、そして、中国本土と米国の軍事的軋轢の可能性についてコメントをしていきたいと思います。

[中国本土経済に対する期待と不安の一端について]

 

 日本の東北大震災、欧州の財政問題、米国の財政問題など、世界経済を牽引してきた三極経済の不冴えの状況は依然として続いています。

 そして、だからこそ、その人口の多さと潜在的な経済力の拡大が顕在化してきた中国本土に対する世界の期待は更に強まっているものと思います。

そして、実際に中国本土政府は、この期に乗じて、一気に中国本土経済の基盤を拡充していく姿勢を示しています。

私はまた、その具体策の一つが、

「第12次5カ年計画(2011〜2015年)の期間中に、ハイテク製造設備、新エネルギー、新素材、バイオ技術、次世代通信技術、新エネ車などの分野での成長を促すための1兆5,000億米ドルの投資計画」

にあると見ています。

そして、こうした中国本土の動きを大いに期待している者の一人であります。

しかしながら、最近、中国本土経済の高速度成長に若干の陰りが見え始める中、これらの新興産業向け大規模な投資計画の見直しが進められているとの見方が中国本土から聞こえてきます。

まだまだ、私の友人ベースからの情報ですから、確報ではないのですが、そうした兆候が見られるといった中国本土国内マスコミ報道もあり、気にしているところであります。

特に、汚職問題で揺れる高速鉄道や、生産過剰が問題となっている風力発電への投資が削減される可能性があるとも見られ、こうした点について、中国本土政府筋からも、

「投資削減は、高速鉄道分野の政府高官の汚職事件、風力発電分野での過剰投資問題が発端である。

固定資産投資は中国の経済成長持続の牽引役ではあるが、現在の投資レベルを続けるのは不可能ではないか。」

との見方も出てきていると伝えられており、懸念が強まっています。

 最近の問題と共に、引き続き、こうした点も意識しながら、中国本土国内の状況をきめ細かくフォローしていきたいと思います。

[制宙権争いと米中関係について]

さて、突然ではありますが、私は徹底した平和主義者です。でも、弱い者虐めをする人に対しては徹底抗戦をします。そもそも力の勝負を考える人には、

「優しさ」

の心が乏しいと感じており、だからこそ、私は、

「自らを強いと感じる人には他者に対しては優しくあって欲しい。」

と望む者であります。

ですから、現実論的に見ると云々という視点はあっても、

「武力」

を語ることを、私自身、良しとしません。

 しかし、こうした考えを基にしつつも、今日は、以下、ちょっと世界のPower Balanceに関するコメントを少しだけ、述べさせて戴きたいと思います。

 そもそも今の世界に於いて覇権を握ろうとすれば、

「人々が生きていく為に必要なもの、即ち、水、食糧、エネルギー、原材料のスタンダードを押さえる。

 その上で、これらをお金で押さえる金融の世界を押さえる。

 更に、軍事力を掌握すれば覇権確保は間違いなし。」

と言えましょうが、この最後の軍事力までを抑えるのに一貫して必要なものが、現状では、

「制空権ならぬ制宙権」

ではないでしょうか?

 宇宙に於ける覇権掌握は軍事、情報、通信網を把握することに繋がり、経済面、政治・外交面に対しても大きな影響を与えます。

 そうした意味で、米ロの戦いの中に割り込むように、最近参画してきている中国本土の動きを無視してはならないと私は見ています。

 中国本土の保有する人工衛星の数は現在、米ロに遠く及びませんが、それでも最近の動きを見ていると、中国本土の動きは大いに注目されています。

 そして、実際に、米国国内などでは、次のような見方をしていると私は認識しています。

 即ち、

「中国本土は、最新武器で自国の人工衛星を破壊し、過去20年以上の間で初めて衛星攻撃兵器の実験に成功した国となって、各国の間に懸念と恐怖を広めた。

 こうした挑戦的な示威行動は、米国の軍事、情報衛星を危険にさらし、宇宙での軍拡競争の危険もはらむものだ。

 一方、ブッシュ前政権以降、米国政府は、その好戦的態度と宇宙での軍備管理条約の検討さえ拒否することによって中国本土を責める資格すら失っている。

 米国政権は方針をもっと大きく転換して、衛星攻撃兵器の実験や使用を禁止するための交渉に参加すべきである。

中国本土の実験では、約500マイルの高度で老朽化した通信衛星が破壊された。

ミサイルが粉砕した無数の破片には今後10年かそれ以上の間、航空機や衛星に危険を及ぼす大きさのものもある。

中国本土は既に、軍事偵察や核実験の探知、ハイテク兵器の誘導に用いられる米国の衛星を破壊できることを実証したことになる。

中国本土政府は他国の持つ衛星の目をくらますか、宇宙空間にある目標にミサイルを誘導する方法を開発し始めたと思われる。

宇宙での行動の自由は、空軍国、海軍国としての米国にとって重要であり、宇宙で活動する米国の権利に対する、他国の干渉を阻止する必要性もあると米国国民は認識している。

如何なる好戦的な宇宙開発国であっても、宇宙に於ける新たな軍拡競争ではなく、軍備管理条約を通じてそれに対抗すべきである。」

といった考え方であります。

 いずれにしても、宇宙開発が軍拡に、そして新たな覇権争いに結びつく可能性無しとは言えません。

そうしたことを背景に、米国は軍事的な視点を一旦、アジアに移し、中露を睨む姿勢を取りそうでありますし、これにより、アジアの緊張は一時的かもしれませんが高まる可能性も出てきています。

 そして、このような国際情勢を見つめたビジネス展開の必要性が今後、更に強まっていくのではないでしょうか?

 

これからも、引き続きどうぞよろしく御願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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