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2011年11月[Sanada発 現場から]


 ギリシャ問題に端を発した欧州の財政赤字問題の焦点は、その赤字の源となる国債を誰が保有しているのか、それを保有している人の資産内容の劣化とその主たる保有者たる欧州(イギリス系、フランス系、ドイツ系、スイス系などの金融機関)主要金融機関に対する信用不安に広がっていますが、欧州首脳会談での解決策に関する基本合意を見て、少しは改善に向けたムードは出ていました。

しかしながら、当のギリシャが再建案にすんなりとは応じず、その上、たとえ国際金融市場でのこうした解決策を経ても、資本注入による解決策を経ないとの状況から、これら金融機関に対する不安が残り、その結果、欧州地域の経済の血=資金=を運ぶ心臓の弱体化によって、欧州経済は血の循環が悪化し、景気はなかなか反転しない、よって、まだまだ不安が残っているとの見方が強いようであります。

更に、その欧州の金融機関との関係が深く、かつ、欧州以上に財政問題が実は深刻な米国には、

「基軸通貨・米ドルの弱体化」

という課題があり、基軸通貨が本当に弱体化してしまうと、欧州の状況どころではないといった不安が市場には強く、欧州の改善に向けた動きがそのまま米ドルの回復の動きには繋がらない、よって、米ドルはユーロに対して売られると共に、円に対しても売られ、結果として一時的な更なる米ドル安・円高が見られるという、日本にとっては踏んだり蹴ったりの状況が垣間見られます。

世界は本当に混沌であります。

そこで、今回は混沌の世界見通しと米国の経済動向について、簡単にコメントしてみたいと思います。

[混沌の世界情勢]

 

私の見るところ世界は混沌です。

日本も混沌です。

世界は、

*東西冷戦終結後の唯一の超大国・米国の登場

*それに伴う基軸通貨・米ドルの拡大

を背景に、米国が世界経済のブラックホール的存在となり、世界のものとサービスを吸収、その対価として吐き出した紙切れである米ドルが世界に溢れ、現在の世界は実体経済以上に資金が溢れています。(例えば、外国為替市場の取引でみると、実体経済の取引比率はどう見積もっても全体の10%に満たないものと見られています。また、為替のプロの次の最新コメントをご覧ください。曰く、「先週は週央に開催されたユーロ圏首脳会議をにらみつつ市場参加者のリスク回避志向を反映し円が買われる展開であった。これを受けて米ドル/円もじりじりと値を下げその安値を75.66へと更新した。米ドル/円が戦後最安値を更新しながらも、これまでのように急落とならなかったのは75円台でミセス・ワタナベと呼ばれる本邦個人が外国為替証拠金取引を通して大きく買い越したからだ。東京金融取引所(くりっく365)が公表している残高データによると、米ドル/円のロング・ポジションは今月に入って149,838枚増加しておりこれは約15億米ドルとなる。くりっく365は日本の全外国為替証拠金取引の約10%を占めると見られており、市場全体では15億米ドルのネット買い越しがあったと考えられる。」とのこと。いいか悪いか、正しいか正しくないかは分かりませんが、とにかく現在の国際金融市場では、例えばこうしたミセス、ワタナベのような動きの影響も受けているようであります。)

 即ち、行き過ぎた信用創造による実体経済以上に溢れた資金を一旦吸収しないと世界経済にはなど、どのような対処療法を施しても、新たな副作用、問題が発生すると私は考えています。

 しかしながら、

*一度味わった経済的繁栄はそのまますぐには手放したくない。

*世界人口を現水準で支えていくためには、急激な金融収縮はむしろ混乱を引き起こす。

といった背景から、世界のリーダーたちはこの、行き過ぎた信用創造の是正にはどちらかと言えば消極的であります。

 従って、

「金融機関に対する不安は解消されず、世界経済も本格回復に向けて抜本的な対策を打たず、結果として、真の突破口が見いだせない。」

ということになるのでありましょう。

 更に、日本も、

*税制改革に関する問題

*TPP加盟問題

*沖縄問題

などを背景に、永田町自身が組織の組み換えに向けた動きを示すムードがあり、その結果として、一時的な混乱、混沌があるかもしれません。

 こうした混沌の状況にあるからこそ、私たち庶民は一旦、

「原点回帰=自らの立ち位置を自らしっかりと見極めること」

をする必要があるのではないでしょうか?

 まだまだ、日本を含む世界の混乱と混沌は続きそうであります。

[米国の経済見通し]

ギリシャの財政問題が混迷化し、それに端を発した欧州の金融危機拡大が懸念され、更にその延長線上で、欧州との金融関係が深い米国の金融システムが悪化、その結果として、金融面を背景とした米国の実体経済の低迷が懸念される中、米国の中央銀行たる「連邦準備理事会(FRB)」は、実質経済成長率見通しを下方修正しています。

即ち、2011年(10〜12月期の前年同期対比)は1.6〜1.7%とし、前回6月の予測値である2.7〜2.9%から下方修正すると共に2012〜2013年も下方修正しています。

こうした一方でまた、物価見通しは2011年を上方修正しており(尚、2012年以降は、今のところほぼ前回と同じ水準としています。)FRBでは、

「今後、経済成長率が徐々に上がっていく。」

との見方を維持しながらも、そのペースはこれまでの想定よりも遅いとの判断をしたことから、国際金融市場には、

「米国に対する更なる懸念」

も広がる可能性があるとの見方が出ています。

 尚、内訳を見ると、

(1)個人消費支出の価格指数は2011年(10〜12月期の前年同期対比)をプラス1.8〜1.9%とする。

(2)失業率見通しは2011年(10〜12月期の平均)で9.0〜9.1%とする。

などとなっています。

 良いか悪いかは別にして、世界経済を牽引してきた米国経済の先行き不透明は新たな、大きな衝撃を世界経済に対して与える可能性もあり、引き続き、注視していきたいと思います。

 

これからも、引き続きどうぞよろしく御願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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