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2011年12月[Sanada発 現場から]


先月号でもお話申し上げましたように、世界も日本も混沌の渦の中に巻き込まれており、

「先の読みにくい状況」

が続いています。

 今後の予測が難しい経済環境でありますが、アジア開発銀行が見通しを示しています。

 今回はその見通しから概観していきたいと思います。

[アジア開発銀行、東アジア経済成長見通しについて]

 

国際機関であるアジア開発銀行は、恒例の経済見通しの中で、最新の東アジア新興国・地域経済概況についてコメントしています。

これによると、来年の国内総生産増加率は前年対比7.2%になると発表しています。

アジア諸国の経済を支える輸出の主要先である欧州が財政問題を抱え、この問題で今後も一連の債務危機などの影響が続くとの見方から、9月に行われた前回見通しである7.5%成長を0.3ポイント下方修正した模様であります。

即ち、今回の下方修正の要因は欧米先進国の低成長にあり、その欧州の経済成長率は0.5%と前回より0.8ポイント下げられ、米国も2.1%、日本も2.5%へとそれぞれ下方修正されています。

アジア開発銀行では、

「欧州発の混乱によって、東アジアの貿易などが受ける潜在リスクはまだまだ残っており危険な状態である。」

との認識を示唆しており、更なる悪化もあり得るとのニュアンスも残していると私は見ています。

 また、国別での動向を見ると、世界経済の牽引車的役割を果たしている中国本土であっても、前回より0.3ポイント下方修正されています。

欧州危機による輸出の減速に加え、中国本土政府が不動産価格高騰の抑制などを推進しようとしている点が下方修正の背景にありますが、内需を中心に8.8%成長が予想されており、まだまだ相対的には高成長を維持すると見てよいでありましょう。

一方、経済成長に対する貿易依存度が高い韓国や台湾、香港、シンガポールといったところは米欧の影響が受け易く、経済成長はこのため鈍化するとの見方がなされています。

 また、ASEAN諸国も同様に減速するであろうと見られる中、洪水被害を受けたタイについては、特に、

「サプライチェーンの立て直しが見られ、本年の2%成長から、来年には4.5%成長に回復する。」

といった強気の見通しが示されています。

 尚、アジア開発銀行は、欧州などの不透明な経済状態への対応策として、東アジアの各国・地域が、域内やほかの地域の新興国との輸出入を拡大するであろうと予測、またこれを推進すべきであり、金融政策などについても相互協力を加速すべきであると提言しています。

 こうしたコメント、提言なども意識しながら、来年のアジア経済を眺めていきたいと思います。

[楽天家の戦略志向]

ところで、こうした混沌の世界にあっても、私自身はとても楽天家であります。

 基本的には深刻に悩まない、何か動きつつ、いけないことを修正していく、結果が良くなるほうへと努力をして動いていけばそれでいいと考えるタイプの人間であり、まあ、

「いい加減な奴」

と言われても不思議ないほど、楽天家であります。

 従って、以下のようなコメントに説得力はないかもしれませんが、それでも私は楽天家、動いてみることのメリットも追求していきたいと考える人間であります。

 そこで一案。

「もしも、私が円高に悩む中小企業のメーカー経営者であったなら?」

つ想定して、

「一つの対応姿勢」

として以下のようなことを考え、また、企業経営者の方と具体化をしようとしています。

即ち、私は、

「決して円高(概念的には、実は、米ドル安、ユーロ安であり、円高ではない。この二つの通貨に対する相対的円高であり、円は決して強くない!!)には屈しない。」

と意識の下、

「円高を逆利用する方策」

を考えます。

 具体的には、円高のメリットを生かすという視点から、

「海外企業への出資、或いはM&Aによる経営権掌握とその効果的活用」

をイメージ、

「例えば、ウォン安とFTAによる市場開拓メリットが、現状では日本よりも強くなっている韓国の企業に的を絞り、わが社の核心部品を中核とした半製品を韓国企業と連携して生産、これにより、新規参入できる韓国企業には全体的な価格を従来の当該半製品製造会社よりも安く設定させながら、最終顧客にメリットを感じさせる形で販売する、一方では、わが社の核心部品をその韓国企業に高く買い取らせて、わが社の利益率を上げる。

 こうしたオペレーションを効果的にするため、当該韓国企業に出資をする。」

といったことを行い、韓国企業を上手に利用しつつ、わが社の利益率を少しでも上げていく努力をする。」

といったような逆転の発想的対応をしていきたいと思います。

 混沌の世の中、

「なんでもあり!!」

 様々な可能性を求めて、色々な対応策をシュミレーション、その上で実施していくことが、この時代には肝要なのではないでしょうか?

 

これからも、引き続きどうぞよろしく御願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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