上述した通り、今年は混沌の年と私は考えていますが、混沌の源は分からないこと、予測しがたいことにあると私は考えています。
「分からないこと。」
私には、知らないことはもとより、分からないことがたくさんあります。
人間は完全ではなく、分からないことがあるのは、ある意味では当然かもしれませんが、
「分からないことを分かるように努力すること。」
はとても大切であると思います。
自らの知識と知恵を総動員して、少なくとも、自らの中では、
「論理を整えて理解をする、即ち、分かること。」
が大切であり、その過程となる、分かるように努力することは、少なくとも、とても大切なことであると私は考えています。
そして、こうした努力は、一般的、相対的に見ると、私たち日本人よりは、アングロ・サクソン・ジューイッシュの人たちは得意ではないかと考えています。
昨年の六月になりますか、米国のバーナンキFRB議長が、米国景気が予想に反して低迷し、更に低迷を続けるのではないかとの状態になった際、
「米国景気の回復の遅れについては、その正確な理由が分からない。」
との趣旨のコメントした際、市場関係者は心の底では大きな不安を感じました。
「分からない。」
ということは不安を助長し、
「分からない。」
ということはその問題に対する解決策を導きづらくすることに繋がります。
従って、きちんと分かるように努力し、その上できちんと行動していくことが、知恵ある人間としては、不可欠です。
これは例えば、企業経営の基本行動にも当てはまるのではないでしょうか?
企業経営の理念を達成すべく動く際、やはり大切なことは、
「外部分析」
「内部分析」
をして現状認識をすることであります。
また、意外に忘れているのは、マクロ経済分析や、業界動向、そして顧客ニーズを掴むマーケティングとともに、他社動向であります。
近くの他社動向には目を向けていても、外国の業界他社は?周辺ビジネスを行なう他社は?
即ち、こうしたことを綿密に行ないながら、
「自社の世界全体に於ける立ち位置をしっかりと把握する。」
という現状認識をし、分かることが、分からないことがたくさんあるこの混沌の時代には大切なことなのではないでしょうか?
そしてまた、同時に自社内部の、
「ひと、もの、資金、情報といった自社が保有する経営資源は何か。」
を改めて確認し、この自社の強み、弱みと周辺ビジネス環境、自社の立ち位置をミックスして、今後、自社が進むべき道を模索していくということが大切であり、これも、やはりまた、
「分かる。」
ことから始まるのであり、
「分からない。」
では不安ばかりが先行します。
そして、逆に、分かれば、例えば、課題が明確になる、課題が明確になれば、その課題を克服すべき方策を考え、それを実現し、当初見込みどおりに課題が克服されていけば、
「問題は解決、即ち、この方式をしつこく、しつこく続けていけば、極端に言えば、出来ないことはなくなるはず。」
であります。
やはり、「分かること」は大切であり、
「分からないことが存在することを承知の上で、分かるように努力すること。」
が私たちが生きていく上では、特に今のような時代には大切なことではないでしょうか?
今日も一つでも分かるように生きる、そのことに対して、努力をしていきたいと思います。 |