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2012年2月[Sanada発 現場から]


今月は2012年の見通し、大胆見解、並びに日本企業の海外展開に関する私見を取り上げてみました。

 ご参考になれば幸いです。

 

[私見 大胆見解 2012年の世界をどう見るか?]

 

 私は、

「2012年は混沌の年」

と見ています。

 国際金融中心の市場経済が実体経済以上に膨らみ、欧州をはじめとする財政危機の遠因となる中、世界の中核国はその地位を落とし、

「世界は無極化している=G−ZEROの時代到来か?!=」

などと認識され、更にその延長線上で、

「世界は全世界が関与しつつ、新たなる秩序を構築する時代に入る。」

などとも指摘されています。

 私もそうした現状認識を基本的にはしており、よって、こうした見方の下、2012年の世界を、私なりの視点から簡単に総括させて戴くと次のようなものになります。即ち、

  1. 一国主義に基づくグローバル化の時代は終焉し、リーマンショックから始まった経済危機の連続や米軍のイラクとアフガニスタンからの撤退は、むしろ世界を一層混沌に陥れる可能性がある。そうした中で、中近東、南アジアには政治的、軍事的混乱が起こる可能性が高まり、これらが背景となり、更なる経済的混乱が発生する可能性が存在している。尚、中近東情勢に関してみると、注目国はイランのみならず、サウジアラビアとトルコの対米姿勢にあると見られ、また、シリア、バーレーンなどに関しても注意を払う必要が出てこよう。
  2. 当面は、欧州危機、米国の景気回復力の行方が注目され、そして更に、中国本土の世界経済に於ける影響力拡大とその反面にある中国本土景気の減速に、リスクがあると見られる。そうした状況に対する活路を、世界全体は韓国、台湾を含むアジア諸国や一部活溌途上国に求める可能性がある。
  3. 世界の大国はもはや地域の軍事バランスを保つことが出来ず、北アフリカと中近東の不安定さは拡大、インドを含む南アジアもその影響を受けざるを得ない。南アジアの混乱が発生すると、パキスタンやアフガニスタンを軸に、これは中国本土を巻き込む可能性が出てくることとなり、ひいては、朝鮮半島を軸にした新たな北東アジアの緊張という形で、地域情勢にも影響が出る可能性がある。
  4. 米国の対アジア政策、就中、対中警戒姿勢は、中国本土の周辺国であるフィリピンやベトナムをして、中国本土に対する自国の主張を強めることを後押ししよう。一方、中国本土では、米国を意識しつつ、国内で「ナショナリズム」を台頭させ、更に、人民解放軍が国内での相対的立場を強める可能性が出てきている。こうした状況下では、中国本土政府は、今後、ベトナムやフィリピンのみならず、日本や韓国を含む近隣諸国の挑発に対して、海軍力並びに経済力を背景とした対応姿勢を示す可能性がある。更に中国本土は雇用機会の造成を意識しつつ、原子力産業・宇宙航空産業にも注力、その延長線上で兵器製造をも含む軍事大国化の芽が出てくる可能性もあり得る。
  5. 米国経済、就中、米国の実体経済は実はまだまだ深刻な状態にある。大統領選挙までは政治家の人気獲得の為に財政出動を伴う景気対策を取る可能性があるが、大統領選挙後は一転、財政支出削減策を決定する可能性があり、対米輸出に大きく依存する韓国や中国本土といった国家はその余波を大きく受ける可能性がある。一方、間一度、米国経済自身に目を向けると、雇用環境に改善が見られず、これが個人の収入増に繋がらず、よって、たとえ企業業績が改善しても、米国のGDPの約70%を占める民間消費には、改善の兆しはあると言われつつも、なかなか火がつかない。更には米国企業自身が新たな設備投資拡大に転ずる勢いをもなかなか強めないであろう。
  6. 現行のユーロ経済圏の不安は政策的対応が事実上不可能といった状態までも示唆しているといった見方すら出てきている。こうした見方を前提とすると、2011年に見たユーロ経済圏の不確実性と不安定性は拡大する可能性がある。いずれにしても、欧州を大きな輸出地域として依存している中国本土経済もこれらによって減速、その結果、中国本土経済と関係が深い韓国や日本も悪影響を受ける可能性も出てきている。今一度、欧州問題の余波を簡単に整理すると、欧州経済は財政問題を背景に、各国国債の時価の低下をも谷須、これにより、各国国債を保有している欧州系金融機関の損失拡大と資本注入の必要性を高め、これら欧州系銀行の金融仲介機能の低下は欧州経済のみならず、米国経済やアジア経済の資金繰りにも影響を与える危険性を高める。そして、こうした結果として実体経済の低迷を引き起こす。また、財政の視点から見る歳入の減少、そして歳出の削減による景気刺激力の低下、実体経済の資金調達コストの上昇といった形で負の連鎖が拡大していく可能性をも、まだまだ秘めている状況にある。
  7. 世界的に見ても、未解決の宗教、派閥、民族間の緊張が拡大し、地域の不安定感が拡大する。有効な地域間の安全保障の枠組みが欠如する中、独裁政治が危機に瀕する一方、新たに生まれる民主的政権にも誕生の困難さが存在し、世界は混沌の度を増す危険性を孕む。こうしたことから見ると、昨年末に誕生した「金正恩」氏率いる北朝鮮の新体制にも当然に潜在的な不安が付きまとうと見ておかなければならない。
  8. パキスタンは支持率の低い文民政治の時代が続く中、核兵器を保有し、軍部の干渉は増し、治安の悪化は顕著となる危険性を持つ。そのパキスタンと政治的・軍事的関係が深いと見られる北朝鮮にもその影響が及ぶと考えておくべきであろう。結果として、北朝鮮もパキスタンと同様に、その不安定性を意識した国家運営を強いられる。更に、これらの国、即ち、パキスタンや北朝鮮に対する一定の影響力を持つと見られている中国本土は、これら二国に対して如何なる対応を示すのか、そうした中国本土の動きに対して米国、更にはロシアが如何なる対応を示すのかも注目される。
  9. また、アフリカ地域にも同様のリスクは見られ、エジプトの新政権はどうなるか?リビアはどの方向に向かうか?分断後のスーダンは本当に安定的か?大衆迎合的な動きを示す南アフリカの政治家の動向は南アフリカ自身と南部アフリカの安定に対して如何なる影響を与えるのかについても注意を払わなくてはならない。
  10. そして最後に南北アメリカ大陸については、今年10月に予定されているベネズエラの大統領選挙を一つのリトマス試験紙としたい。ベネズエラはロシアや中国本土も意識をする国家であり、特に中国本土の対米国大陸外交の中では一つの重要国として位置づけられていると考えられることから、大統領選挙の行方がこうした米中ロといった大国たちに如何なる影響を与えるかは注視しなければならない。

といった状況を予想しています。

そして、これらは、明らかに、

「日本も、世界の混沌の渦の中に巻き込まれる。」

ということを想定しておくべきではないかということも意味しており、だからこそ、日本についても、

「単に現行のシステムを崩すだけではなく、悪しきを崩しながらも良きは維持しながら、如何に新しい世界に向かって動き出すかについての明確な理念とビジョンに基づいての“善なる破壊”を目指さないとむしろ混沌の度を深めることとなる。」

と見ておくべきではないかと思われます。

 そして最後に、こうした混沌の中では、私たち一人一人に関して言えば、

「原点回帰し、自らの立ち位置を見極め動く者にとっては、むしろ他者との比較優位を明確にするチャンスの時期が到来したとも言える。」

ということを付言して、これからの社会を生きていくべきであると述べたいと思います。

いずれにしても、引き続き、世界動向を注視、フォローしていきたいと思っています。

[私見 大胆見解 日本企業の海外展開に思う]

 最近は相対的な円高や放射能問題、或いは人口減少問題などを背景として、

「日本のビジネスの場としての魅力は低下している。」

との声は大量生産大量販売のマスのビジネスを中心としている大企業のみならず、中堅中小企業の経営者の方々からも聞かれ、その延長線上で、

「外国に生産拠点を新たに設置したい。

 ついては、対外投資に関するアドバイスなどをして欲しい。」

といったお話を戴くことが多いです。

 私は、原則的には、

「一般的、相対的には、言語の違い、通貨の違い、法律の違い、環境基準も含めた製造基準の違い、そして会計基準の違いといった違いによるリスクを乗り越えなければならない海外ビジネスは、国内ビジネスに比較するとリスクが高い割にはリターンが予測しにくいと考えており、従って、先ずは可能な限り、国内ビジネスに徹していくべきである。」

という考え方を持ってはいますが、今や、それだけではなかなかにほかの企業の生き残りもしにくい状況となっています。

 そこで、海外ビジネスに関する私見をお話していますが、そうした中で一番強く申し上げたい点は大きく二つであります。(もちろん、たくさんのことを申し上げたいですし、以下の二点だけすれば問題ないなどとは決して申し上げません。)

 即ち、

  1. 当該海外ビジネスによって想定される売上高とそれから得られる営業利益はどれくらいとなるのかを出来る限り明確にし、特に、それをビジネスフローから、つまり、原材料の調達は、量と価格の面から見てどの程度確実か?商品の売り先はどの程度間違いなく当社製品を購入してくれるのか?量と価格に関する引き取り保証は?これらを満たすだけの生産設備はどの程度のコストで手当てでき、その減価償却期間はどの程度か?更には、こうした海外ビジネス運営を任せる日本人と現地人はどの程度確保されており、またどのように教育していくか?といったことを出来る限り明確にし、その上で、年間営業利益を固めに出し、その上で、その確実な期間を出来る限り想定し、例えば、その想定期間が三年間であれば、想定営業利益X3年間を当初出資金として、その範囲内でのビジネス展開を意識しながら、再度の計画修正を図ることが大切である。
  2. 上述した形での事業計画を出来る限り細かく数値化し、実際にビジネス展開が始まった後は、その計画と実際の走り具合をチェックし、何が予想通りで何が想定外かを認識、その上で、その後のビジネス展開を機動的に修正していくことが大切である。

ということを私は申し上げています。

  混沌の世の中、慎重に考えた上で、大胆に行動する、そうした意識を以って、企業様に海外ビジネスも展開して戴ければと思っています。
 

引き続き、どうぞ、引き続きどうぞよろしく御願い申し上げます。

以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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