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2012年6月[Sanada発 現場から]


私は年初より、
「今年は、Government of Zero(G-0)の年」
即ち、誰もリーダーシップを取らない、否、取りきれない、世界は空回りしていく時代に入り、結果として、
「混沌の時代」
に入る可能性があると申し上げてきております。
実際に、世界的に見ても政局に変化が見られる中、再選されたとはいえロシアのプーチン大統領の権力掌握力は低下、フランスではサルコジ大統領が敗北、この結果としてドイツのメルケル首相との二人羽織体制であった、
「メルコジ体制」
が崩れ、欧州財政危機に新たな不安を生じさせる、更に、力を落としているとは言え、こうした状況にあって、英国は虎視眈々と大陸欧州の混乱に乗じて、再び、その影響力を強めようとしている、中国本土は、相対的、一般的には安泰と言えようが、政権交替を控えて、少なくとも今年は、国際社会では際立った動きは敢えて示さないようにしている、また、その他アジア諸国には相対的、一般的には中国本土同様堅調と言えるが、世界のリーダーシップを取るほどの影響力を有していない、中近東ではエジプトをはじめとして動きは出てきてはいるが、イランやシリアの混沌を抱え、アフリカは自身の混乱とこれに群がる大国の思惑が絡み合い混乱、中南米は未知数であり、また影響力は有していない、
更に大切なことは、肝心の基軸国家・米国は、その影響力を徐々に弱めていると見られている、
そして、日本、
これはもう、読者の皆様方、良く御存じの通り、
こうして考えてくると、世界はやはり、混沌の時代に突入してきているように、私には感じられます。
いい意味でも悪い意味でも、誰もリーダーシップを取らない時代は世界は空回りする過渡期に入る可能性が高まり、例え、それが一時的であったとしても、大小の差はあるとしても、混乱が生じることは回避できないものとも私は考えています。

[米国の対アジア外交姿勢について]

 

 さて、こうした中、それでも、世界のリーダーシップを取ろうとして動いている米国は、新たな覇権候補の台頭には意識を払っているようであります。
即ち、米国のパネッタ国防長官は、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で演説し、
「米国海軍の艦船の6割を2020年までにアジア太平洋地域に集中させる。」
との方針をここにきて明らかにしました。
パネッタ国防長官は、
「米国のアジアへの関与強化は、中国本土の発展・成長と対立するものではない。
海軍の艦船を、現在は太平洋と大西洋に5対5の割合で配備しているのを見直し、2020年までに6割を太平洋に集中させる。」
アジア太平洋地域での航行の自由を確保・維持することは重要である。」
とコメントし、南シナ海などに海洋進出を強める中国本土を牽制したとも受け止められる演説をしたのであります。
 これは、ある意味米国の自信の低下の表れとも考えられ、また中国本土の事実上の反発は必至、これに乗じて、北朝鮮やイラン、シリア、パキスタンといった勢力が相対的に中国本土側にアプローチを強めることなども予想され、
「米国の安定を求めようとする動きが、むしろ、混沌の火種を大きくする可能性」
も否定できないと思います。
 更に、一部国際金融市場関係者からは、
「経済的な混沌を意識、中近東を手薄にするかに見せかけ、敵は本能寺、中近東の勢力がテロも含めた軍事行動に出たところで、大義名分を示し、実際には一気に中近東情勢に軍事面も含めてコミットし、混沌、紛争and/or戦争の中での破壊、そして再建のサイクルを図り、その過程で、基軸通貨・米ドルの復活、経済再建を図りつつ、英米の覇権体制再強化が図られようとしているのではないかといった穿った見方まで飛び出してきています。
 はてさて、米国の真の思惑は?
 しっかりと国際情勢を見つめていきたいと思います。
 尚、中ロ両国は最近になって、米国による一方的なミサイル防衛システム拡大方針に異議を唱える姿勢を示している点、更に金融・貿易面での関係強化の姿勢を示唆している点、中国本土の次期指導部入りが確実視される習近平国家副主席と李克強副首相が、訪中しているロシアのプーチン大統領と相次いで会談して、戦略的パートナーシップをさらに深めることで一致した点、更に、中ロがシリアに協議を呼びかけている点なども留意しておきたいと思います。

[生産最適地]

ビジネスの世界におりますと、しばしば、
「生産最適地」
という言葉を耳にします。
 特に、上述したような混沌の時代には効率性を意識、リスク対比リターンの良い最適地を求めた動きが活発化することは、ある意味では当然かと思います。
 そして、生産の最適地とは、生産のみならず、調達、物流、販売、商品開発、資金運用調達、人材確保など様々な面から総合的に見て、
「最も生産するに適したところ」
が生産最適地であり、そこに立地してビジネスを展開をしていくことが肝要であるという概念がこうした言葉の背景にあります。
 更に、最近ではこれに時間軸を加え、即ち、
「今現在、生産最適地であるというだけでなく、中長期的な視点から見ても、生産最適地であり続けるであろうとするところを生産最適地とする。」
という考え方が加わり、
「たとえ、今現在が最適地であっても、中長期的には“最適地ではなくなる”可能性のあるところは、生産最適地とは敢えて言わない。」
という考え方を以って、
「生産最適地」
を判断、その「場所」に事業を展開していくことが傾向として見られています。
 最適地が変わるごとに、生産拠点を簡単に移動してはいけませんし、移動できたとしても、そのコストを考慮すると、それが容易ではないケースがあるからであります。
 ところで、こうした生産最適地を考えるに際しての、基本的な概念は、多分、古来からの学問であるところの、
「地理学」
にあるのではないかと思われます。
 地理学とは即ち、
「地球の表面と住民の状態並びにその相互関係を研究する学問である。
 主として海陸、山川、気候、生物などを研究する自然地理学と、人口、都市、産業、交通、政治、文化などを研究する人文地理学に大別される。」
とあります。
 そしてまた、その地理学はドイツで大きく発達したようで、専門用語の中にはドイツ語系のものが多いようなのですが、自然地理学、人文地理学、いずれにあっても、まず最初に学ぶポイントの一つは、
「Okumene:エクメーネ、地球上で人類が永続的に居住・活動している領域
Anokumene:アネクメーネ、地球上で、人類が居住しない、または一時的にしか居住しない領域」
であり、上述した「生産最適地」も、
「人類が永続的に活動し得る地域」
の選定の延長線上にあって、更に条件を付加して選定されていくものでありましょう。
 そして、その選定と確保に際しては、これまでの人類の長い歴史を見てみると、
「強者がエクメーネを相対的には多く確保し、弱者はアネクメーネに追いやられる傾向がある。」
「更に、強者の居住、活動していた地域が、万一、アネクメーネに劣化していくと、その過程に於いて、強者は相対的にエクメーネと見られる地域に乱入し、そこにもし、弱者がいれば、これを駆逐して自らのエクメーネとする。」
といった歴史の変遷があるのではないでしょうか。
 そこで、これらを総合して論理的にエクメーネを求め、その確保を容易としていく方法の一つとして、
「地政学」
即ち、
「政治現象と地理的条件との関係を研究する。」
といった学問分野も生まれ、やはり、この分野はドイツを軸にスイスなどでも発展していったのであります。
 もとより、昨年のタイの大洪水なども意識しながら、私たちはもう一度、地理学と地政学的視点を基にして、平和状態の中での戦いである「ビジネス戦争」に立ち向かっていかなくてはならないかもしれません。
 更に勉強していきたいと思います。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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