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2012年12月[Sanada発 現場から]


世界経済の今後と日本

 
[世界経済成長見通し]

 

米国の民間シンクタンクであるコンファレンスボードは、「世界経済見通し2013」という報告書を発表しました。

この報告書は、各国の資本力、生産性、人口構造の変化に伴う労働力見通しなどを総合的に定量分析、その上で定性分析も加えて総合分析されたものが示されており、世界経済の今後を眺める一つの参考になるものと思います。

そして、これを読むと、この中では、
「世界経済の見通しは引き続き厳しい。
そうした中、新興国の経済構造が現在とは変化し、過去のような高度成長は不可能になると予想される。」
とコメントされており、これからすると、私には、
「世界的な長期不況となる可能性も見え隠れしている。」
とも感じられるのであります。

即ち、この報告書の中では、
「2013年の世界経済の成長率は3.0%と、2012年の3.2%から低下する。
先進国経済では引き続き低成長が見込まれる。
そして、中国本土やインドなど新興国の成長減速も顕在化する。」
とコメント、来年の世界経済については、更に厳しい見方を示しています。

そして、こうした見方に対して、国際金融市場などでは、
「2012年は新興国が先進国の不振を埋め合わせすることができなかった。
そして2013年もそうなるだろう。
米国の『財政の崖』、中国本土の権力移行、ユーロ圏の改革といった不確実性が、貿易や投資面で、引き続き世界的に悪影響を与える可能性が高い。」
との意見が強まっています。

確かに、こうした見方、意見は一つの見方であり、またお気づきの通り、世界経済の今後については、不確定要因も多々あるとから、シナリオが変化すること、特に良い方に変化することも期待されますが、現状では、一旦は、厳しい視点から世界経済を眺めなければいけないように思います。

そうした意味で実体経済を拡大させる、世界協調の景気浮揚策が今は必要ではないかと私は考えています。

覇権よりも均衡、世界的な「協調」の意識が強い米国のオバマ大統領に対する期待はそうした意味からも高いのですが、どう展開していくか?世界第二位の経済大国となった中国本土の習近平新体制はどのように動くのか?日本の新政権はデフレや円高、電力問題などの諸問題を解決できるような処方箋を示すことが出来るのか?など、様々な視点から今後の世界情勢をダブル・チェックしていく必要がありそうです。

価値と企業活動のヒント

上述したとおり、世界経済情勢と言うビジネス環境の根幹に不安が見られています。
こうした中、私は今年前半から、
「2012年は混沌の年である。
そして、大きな価値観の変更を余儀なくされる、そんな出来事の兆候が見られる年であるかもしれない。
こうした状況にあっては、ビジネスも、これまでの常識や殻を打ち破って、進取の精神を以って立ち向かわなければならない。」
との主旨のことを申し上げてきております。

それでは、そもそもビジネスの世界では何故、この価値に意識を払わなければならないのでしょうか?
多分それは、
「価値は、品質、価格、納期の視点を支える基礎ポイントであり、これを以って比較競争優位を生み、ビジネスを成功に導いていく原点の一つだからである。」
といったことが言えるからではないでしょうか?
そもそも、ビジネスの世界で言うところの「価値」とは、

  • 使用価値
  • 交換価値

を指し、この使用と交換という視点で考えると、
「無形資産」
に価値を見出すことは大変難しいことであります。

しかし、そもそもの価値の定義は、
「物事の役に立つ性質や程度」
などと定義されていますから、評価のしにくい無形資産も十分に、
「価値」
として意識すべきものであり、否、様々なことが高度化、複雑化、多様化している現行の世界にあっては、むしろ、こうした
「無形資産に価値を見出し、価値を見出させるように、価値を気づかさせるように、マーケットを上手に誘導しながら、ここで比較競争優位を確立する。」
ことがビジネス成功の大きなポイントになるかもしれません。

こうして考えてくると、
「価値」
はビジネス的な視点からの価値ではなく、哲学的視点から見た、
「価値」
にもっと意識を払うとよいかもしれません。

即ち、価値を、

  • 人間の好悪の対象となる性質
  • 故人の好悪とは無関係にして、誰もがよいと承認すべき普遍的な性質であり、例えば真・善・美といったものに価値を見つけること。

などを意識してビジネスを展開していくと成功のきっかけはあるかもしれないということであります。

そして、それは決して大きなことばかりではなく、意外に近くのビジネスの場にあるかもしれません。

例えば、お味噌の人気が落ちているところで、駅近くのスタンドで、新鮮ジュースならぬ、新鮮味噌スープスタンドを経営、これに健康的という付加価値も付けて上手に売り出していく、もなかの皮の中に乾燥味噌汁の元を入れ、そのもなかの皮に可愛い絵をつけ、その絵を楽しみながら、簡単な味噌汁を作り味わってもらうなどを通して、味噌の売れ行き再拡大に貢献するなどといった事例も出ている、こうした事例がその一つの典型かもしれません。

ヒントは私たちの本当に身近なところにもある、是非、突破口を見出していきましょう。

次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。

 


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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