斑模様の世界経済の中、私は、
「外国為替市場は潮目が変わり始めている。」
と見ています。
特に、円・米ドル相場の潮目に変化が見られ、その相対では、
「韓国ウォンや人民元といったアジア通貨の相場の潮目も変わる可能性がある。」
とも見ています。
円・米ドル相場については、ご高尚の通り、現在、円安傾向が続いています。
これに関して、私の知る国際金融市場のプロは、
「日銀金融政策決定会合において発表された内容が事前に報道されていたものと大差がなかったため、米ドル/円相場はいわゆる“Buy on Rumor,Sell on Fact”となり一時的に90円台から88円台前半への2円の下落となったものの、その後に切り返し年初来高値を更新する腰の強さを見せた。
今回の円安はアベノミクスと称される安倍政権の政策が原因だと解説されることが多いがそれはきっかけにすぎない。
主因は『危機モードの後退』つまり『通常への回帰 Back to Normal』であると見ている。
2008年9月のリーマンショック,そして2009年10月に発覚したギリシャの財政粉飾に端を発した欧州債務危機は、経済の根幹をなしている金融システムの危機を想起させるものであった。
“危機”が意識されるマーケットにおいては市場参加者のリスク許容度が極端に低下し(いわゆるリスク・オフとよばれる状態)、通常のファンダメンタル分析では説明しづらい水準まで株式は売られ為替市場においては対外債権国通貨(=円)が買われた。
リーマンショックよって傷んだ米金融機関はすでに立ち直り、1年前に市場の話題をさらっていた欧州危機についても、欧州中央銀行のとった果敢な政策(3年物長期リファイナンスオペLTROの導入,南欧国債の無制限介入の表明)より危機意識は後退している。
先週、欧州中央銀行が公表したLTROの初回繰り上げ返済額が関係者の予想値を大幅に上回る額であったが、これは欧州の金融機関の健全性の回復が進んでいることを示唆している。
つまり、現状は『通常への回帰 Back to Normal』が進んでいるわけだ。
この点において現政権も同様の認識をもっているようで、先週の麻生財務相や西村内閣府副大臣のコメントは現状の為替相場を“行き過ぎた円高の修正”(=通常への回帰)という点で共通している。
ダボス会議においても甘利経済担当相が出席し各国要人から安倍政権の政策に対する理解を得たと報じられている。
メルケル独首相からアベノミクスについて批判めいたコメントがあったが、現政権の認識と対応は的確であり海外からの批判が拡大する可能性は小さい。
円相場はリーマンショック前後に対ドルで108円だったがその後3年で75円となった。
つまり30%の円高で行き過ぎた相場の動きであったことは否定しづらい事実である。
市場環境が平時に戻りつつある現状で、『通常への回帰 Back to Normal』の動きは継続しよう。」
と市場の見方を詳細に解説してくれています。
そして、私はこうした延長線上で、
「韓国ウォンは逆に行き過ぎたウォン安米ドル高、ウォン安円高が修正され、韓国政府の介入があってもウォン安の修正が一定程度は始まる。」
と見ています。
そして、これにより、韓国の企業の国際競争力がどの程度弱まるのか、その結果、韓国経済がどの程度悪影響を受けるのか、更にこうした結果が、朴新政権の政権掌握力に如何に影響を与えるかを注目しています。
混沌はまだまだ続き、下手をすると混乱へと、更に悪化する危険性をも孕んでいると見ながら、これからも企業経営を続けていかなければならないと私は見ています。
気持ちは明るく、そして、
「慎重に考え、結論を一度出したならば、大胆に行動する。」
日本の経営者は正に今、こうしたスタンスを必要とするビジネス環境の中らあるものと私は考えています。
次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。
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